第三次世界大戦すなわち、日本も避けられないブレトンウッズ3へ
今世界を分断する新冷戦とも言える米露双方の思惑に従って、西側同盟国と反同盟国らが争う構図は次第に強まっています、それは1年以上前から米国が計画していたとハドソン博士が論評しているように、米国は東側と経済的な深まりを持とうとしていたヨーロッパを、切り離す事が戦略の一つの目的だったとしていることについて、そしてヨーロッパの物不足の・資源などの輸入依存国アジアや中南米などでも、米主体だったブレトンウッズ協定が、ロシア版Ver3として進行しつつあります。
日本を含む西洋側メディアの報道だけを見ていると、圧倒的に米・ウクライナ側の優位性が報道される割に、露プーチンは余裕しゃくしゃくなのをみて、多くの人は”気が狂った”とかこれこそフェイクだとか言っていますが、なんか腑に落ちませんがなぜでしょう。
一連のロシア側の説明報道が、西側のメディアがかき消すように部分報道しているおかげで、単なる独断的な侵略の様に見えるのが気になりませんか?アメリカの動きは第一次大戦時も第二次世界大戦時も、一貫してどちらかと言えば5%層(世界資本の…)の現状の優位性をなにがなんでも維持したいところからの動きでしかない事、俗に言う”グローバリスト”が現状では影響力を示せるバイデン政権・マクロン政権・NATO・ビックテックなどをたきつけていなかどうか?
バイデンがサウジ訪問した際も、コンタクトを拒否されるのも中立国への信頼を、彼が削いでいるからであり、中国が人民元決済を推し進める切っ掛けにもなっています、パキスタン首相の深夜の解任劇も議会に対して市民から反感を買った親露派の首相の政策阻止に、米が野党をけしかけ解任に追い込んだもので、特に西側メディアの報道だけを見ていれば、米の高官の不誠実な動き(圧力)を受けた様子など、微塵も見えてこないところが、日本に居る私たちから最も恐ろしいことです。
日本はご多聞に漏れず3月8日ウクライナに自衛隊防弾チョッキなどを、無償提供条件付きで武器輸出を認める”防衛装備移転三原則”の運用指針を変更しましたが、日本と安全保障上の協力関係に、新たな規定を加えた結果は見事にロシアから敵国認定されてしまった、これでは国内でつるし上げられる親露派勢のせせら笑う姿が見えてきそうです。
日本の正すべき方向は、早急な判断を控え直接関わらないのがこれまでの堅実な国の信条でしたが、ここやたら米国に煽られたツケは、確実に経済的にも安全保障的にも、国民に降りかかることになるのは、今に始まったことではなく、岸田政権は秋の参院選のためなのか、行方を知ってか知らずか、結果的に火に油を注ぐ選択になぜかご執心で、これが果たして国民寄りの英断なのか、ふと不安になりもします。
ここまでの話は、これまでの記事でも経緯を説明してきましたが、さてこれからの展開はいよいよ直接日本にも降りかかってくる話になってきます、米国の目標が制裁と孤立でロシアの経済を粉砕することであるなら、なぜ米同盟国のEUはロシアよりも経済的自由落下にあるのでしょうか?
経済的にはFRBが流動性を押し上げた後、ウォールストリートの株価は跳ね上がりました、中国の企業は記録上最悪の四半期を迎えています、米サウジ石油同盟の中立化で石油は西側に思うように流れず、現在の市場環境でETFのボリュームは急増、一部を除く投資家はV字型の回復をあきらめました、EU経済の低下・ヨーロッパ人を犠牲にして全て自営で賄えるアメリカの景気だけが上向いていきます。
現在のアメリカ市場や景気の状態は、かつての日本バブル景気初期の様子を彷彿させるものです、それを考えただけでも他国のインフレや、論外の長期デフレ状態とは明らかに”異質””例外”的な状態であることは、あれだけSDGsで米を出し抜いたEUも気付いているはずですが、同盟国のEU諸国の驚くべきは欧州委員会の委員長であるフォン・デア・ライエンを戦略的に配置し、追加の制裁を声高に発表させているのです。
ロシアとベラルーシの道路輸送会社はEUへの入国を禁止されて、これ以上の石炭輸入はありません、その損失は年間44億ユーロ以上ですよ、しかし最も裕福な西洋のクライアント達は困ることはありません、もちろん彼らはその主要な輸出品のいくつか、特に鉱物を必要としていますが、この結末はロシアがEUにますます多くの制裁を課し、EUは自国の経済を故意に崩壊させ、米国は全てをすくい上げることを意味します。
日本では殆ど報道されませんが、ヨーロッパ人が日常生活で感じる壊滅的な経済的影響の手がかり(ただし、最も裕福な5%ではない)は、給与と貯蓄をむさぼり食うインフレ、次の冬のエネルギー法案は悲壮感さえ漂います、スーパーマーケットから消える製品、休日の予約はほとんど凍結されているそうです、フランス大統領が食にあぶれる人には「第二次世界大戦のようなフードスタンプが可能である」と発表しました。
ドイツは、ワイマールのハイパーインフレーション復活に直面しています、ブラックロックのロブ・カピト社長は、「初めて、この世代は店に行き、彼らが望むものを手に入れることができないだろう」と言っています、アフリカの農民は今年、肥料をまったく買う余裕がなく、1億人を養うことができる量の農業生産を減らしています。
元NY連邦と米国財務省の第一人者であり、現在のクレディ・スイスの大宰相であるゾルタン・ポザール氏は、商品の埋蔵量(そしてここではロシアは無敵)がブレトンウッズ3と呼ばれるものの本質的な特徴を示しており、実際ロシア・中国・イラン・ユーラシア経済連合によって設計されているのは、ブレトンウッズ1後です。
ポザール氏は、歴史的に「戦争は過去には馬や兵士に動力を供給し、今日では兵士や燃料タンクや戦闘機に食料を供給するために、より多くの食料やエネルギーを供給している人々によって、勝ち取られている」と述べていますが、ちなみに中国は事実上すべてのものを大量に蓄積してきました。
さらにポザール氏は、現在のブレトンウッズ2システムが、どのようにデフレの衝動(グローバリゼーション、オープントレード、ジャストインタイムのサプライチェーン)を持っているかを指摘し、ブレトンウッズ3はインフレの衝動(グローバリゼーション、オータルキー、原材料の貯蔵)を提供し、海上貿易を保護できるようにする、サプライチェーンと追加の軍事支出であると言います。
当然その影響は圧倒的であり暗黙のうちに、不吉なことにこの状況は第三次世界大戦にさえつながる可能性があるということです、アメリカは自国のLNGを欧州に輸出すると決定しています、がロシア側のLNG供給網が、中国・インドなど脱グローバル国の諸国に構築され、軍事面でも完璧に保護されるのなら、圧倒的な脅威であり世界は完全に2分化の道を歩むことになりますが、日本はこのままでよいのでしょうか?
このアメリカのLNG?に対抗する新体制は、オイルマネー後の時代の中心にある、真のジオエコノミクスのゲームチェンジャーになり得ます、ロシアの対外防衛政策評議会のメンバーであるアレクサンダー・ロセフは、全体像の輪郭を示しますが、エネルギー金融研究所のチーフエナジーディレクターであるアレクセイ・グロモフが、これまでのところロシアはヨーロッパに、年間1,550億立方メートルのガスを販売していた、EUは2027年までにそれを取り除き2022年末までに供給を1,000億立方メートル削減することを約束しています、グロモフはロシアの天然ガスのほとんどはパイプラインで輸送され、これをアメリカLNGに置き換えることはできない指摘、つまり不足マイナスから貯蓄すると言うことです。
事実EUは、ノルウェーやアルジェリア(国内消費を特権化している)から必要なガスを入手することができなくなります、アゼルバイジャンからは、せいぜい年間100億立方メートルを提供することができますが、それが実現するには2、3年かかるでしょう。
グロモフ氏は「今日の米国とカタールのLNGの市場には余剰がない」と強調し、そしてアジアの顧客の価格は常に高い、結論としては「2022年末までに、ヨーロッパはロシアからの購入を大幅に削減することはできなくなる」ということです、「最大で500億立方メートル削減される可能性があります」そうして、スポット市場の価格はより高くなります…少なくとも1立方メートルあたり1,300ドルです。
これらの事実から見える重要な進展は「ロシアは既ににロジスティックサプライチェーンをアジアに変えた」ということであり、これはガスと石油にも当てはまります、市場に余剰がある場合は、制裁を課すことができます、現在1日あたり少なくとも150万バレルの石油が不足しています、物資を割引価格でアジアに発送しますが、現状ではアジアはすでに1バレルあたり3ドルから5ドルのプレミアムを支払っているのが現実です。
石油の出荷について「保険料はもっと高い。ウクライナ以前は、すべてFOBシステムに基づき現在、バイヤーは「貨物を港に運ぶリスクを冒したくない」と言う、彼らはCIFシステムを適用しており、売り手は貨物に保険をかけて輸送する必要がありますが、それはさらにコスト転嫁されます。
ロシアにとってガスの主要顧客を中国に移行する方法で、2024年に最大に達するシベリア2の完成で、モンゴルを介した相互接続を構築するには3年必要で、2025年頃完成されるものです、EUが購入しなくなればその後ガスのほとんどはアジアに行きます、そしてそれよりも大きい北極LNG 2が80%準備ができています、この準備は日本韓国にとっても重要な生命線です、アジアへのロシアの「友好的でない」関係はロシアで生産されるLNGインフラ依存を左右するものです。
日本企業だけが、ノルドストリーム2の開発から抜けないのは、これらのエネルギー供給事情を見据えたものかもしれません、この遠くの海から運ばれるLNGが日本に与える恩恵なのか、北海オホーツクの果てのガスがそうなのかは、まだ見えていませんが、政府が絡んでいるところを見ると、大局的な動きがあるのかもしれない事を期待して待ちたいです。
一方EUでのガス供給は既に暗雲立ち込めています、ロシアのガスをアメリカのLNGに置き換えるというEUの動きが、儚いものである理由を中国のエネルギー専門家が指摘するのは、米国のオファーは「制限が多すぎて費用がかかりすぎる」と言うことです、さらに時間も掛かる難解なプロセスが4つの契約に含まれ、LNG会社とバイヤー会社の間・LNGバイヤーと貨物会社(船舶を建造する会社)の間・購入者とエンドユーザーの間にあると指摘します。
「各契約は、完了までに長い時間がかかりこれらすべての署名決済がなければ、インフラやガス田開発への投資であろうと、いかなる当事者も投資することはない」したがって、アメリカのLNGのヨーロッパへの実際の配送は、シビアなこれら問題がスムースにできて初めて恩恵がある、むしろロシアのガスを捨てることに対するこのEUの執着は、「世界の経済成長と不況に影響を与えるだろう。彼らは自分たちの人々、そして世界を押し進めています。エネルギー部門では、私たち全員が被害を受けるでしょう。」
来たるべき地理経済的混乱、つまりロシアのガスを迂回することへのEUの執着と、極東ガスの供給開始を、西側のメディアの心理戦によって完全に覆い隠された、ウクライナのZ作戦の背後にある本当の理由を探ることが重要なのです。
そして軍事・安全保障面では、現在引退したCIAの前身であるOSS要員だった米国のディープステートの意見は、「ウクライナの問題全体は、4分以内にモスクワに到達できる極超音速ミサイルに関するものです。米国は、ポーランド、ルーマニア、バルト三国、スウェーデン、フィンランドでそれらを望んでいます。これは、NATOが東ヨーロッパで拡大しないという1991年の合意に直接違反しています。米国には現在極超音速ミサイルはありませんが、1、2年後にはそうなるはずです。これはロシアにとって実存的な脅威です。それで彼らはこれを止めるためにウクライナに行かなければなりませんでした。次は、ランチャーがルーマニアで建設され、ポーランドで建設されているポーランドとルーマニアです。」
全く異なる地政学的観点から、彼の分析はたまたまゾルタン・ポザールのジオエコノミクスと一致しているということです。 「米国とNATOは完全に好戦的です。これはロシアにとって本当の危険をもたらします。核戦争は考えられないという考えは神話です。東京の広島と長崎への原爆投下を見ると、広島と長崎よりも多くの人が東京で亡くなりました。これらの都市は再建されました。放射線が消え、人生が再開することができます。 焼夷弾と核爆弾の違いは効率だけです。NATOの挑発は非常に極端であり、ロシアは核ミサイルを警戒態勢に置く必要がありました。これは深刻な問題です。しかし、米国はそれを無視しました。」
…そうです、安全保障面でもこの問題は日本と密接に繋がっていくのです。