くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

WEF世界経済フォーラムに集う者たちの関心事

世界の主要な銀行家や政治家が毎年世界経済フォーラムのためにダボスに集まっています、今年も少し遅れましたが開催され、日本からも岸田総理や鈴木財務相、黒田日銀総裁らが参席しています、この集会に毎年何のために世界のブレーンが集まって来るのか、一般的には世界経済の流動性と整合性を撮るための、約束事の取り決めや確認がされていると言われますが、もちろん非公開や各参加者同士での、独自の交渉やロビーイングを目的とする者も多くいます、その中で大きな話題はCBDC中央銀行デジタル通貨の使用についてや、ブロックチェーン技術への関心は相当あるでしょう。

中央銀行デジタル通貨のためのフレームワークをどう進めるか、「政府が推進するブロックチェーン技術の一番のユースケースは、データ共有」第50回での会合の際に、スタートアップ企業Guangzhishu TechnologyのCEO、チャン・ジャーチェン(Zhang Jiachen)氏はWEFの会場でそう語った。またジャーチェン氏は、同社は複数の中国の政府機関と仕事をしていると述べた。

 

参加者の中には、世界でも先行する中国人民銀行のCBDC(中央銀行デジタル通貨)開発を大きな期待とともに見守っている人もいて、MIT(マサチューセッツ工科大学)のデジタル通貨イニシアチブ(Digital Currency Initiative)のディレクター、ネハ・ナルラ(Neha Narula)氏は2020年、多くの中央銀行がデジタル資産の実験を行うことは「必然」と語っています、これに関連してWEF(世界経済フォーラム)は1月22日(現地時間)、そうしたプロジェクトが必要に応じて、国際標準にアクセスするためのフレームワークとして「Central Bank Digital Currency Policy-Maker Toolkit」を発表しました。

「タイ銀行はプロジェクト・インサノン(Project Inthanon)と名付けた大規模なCBDCプロジェクトで大きな前進を遂げている」とタイ銀行のウィーラタイ・サンティプラポップ(Veerathai Santiprabhob)総裁はプレスリリースで「我々の経験から言うと、ユースケースがもたらすメリットと関連するリスクの間のトレードオフをさまざまな次元で見極める必要がある」と述べています。

 

一方、ジャーチェン氏は中国の技術者はフェイスブックFacebook)のリブラ(Libra)プロジェクトやイーサリアムからインスピレーションを受けていると語った。だが同氏はどのような取り組みがイーサリアムから、インスピレーションを受けているかについては具体的なコメントは避けたようです、それだけ高度な情報が飛び交っていますから。

中国人民銀行が参加している地域的なデジタル通貨の利用を望む国々のコンソーシアムに我々は参加できるだろうか? それが現実的な選択肢となるかどうかについては、戦略的に考えるべきことが数多くある」とジャーチェン氏はインタビューで語っています。

 

CBDC開発の動きで、各国でのさまざまな取り組みは、ダボスに集まった専門家の多くが、ブロックチェーン技術は、独自デジタル通貨ではなく、より多くのデータ収集に利用すべきという点で一致しているようです、例えばニジェール大統領の技術顧問のイブラヒマ・グインバ-サイドウ(Ibrahima Guimba-Saidou)氏は、新興国にとっては横領や他の金融犯罪を防ぐためにデジタル・レポーティング・システムを利用することはきわめて重要になると述べています。

「私の目標は2028年までにペーパーレス政府を実現すること」と、同氏はWEFの会場で述べており、「指導者や政府の役人は、どのようにして気付かれずにお金を持ち出しているのか? 仮想通貨が防止策となる、ブロックチェーンを使えば、お金がどこにあるかわかる」と。

 

中国同様、ニジェールも地域トークンというアイデアに興味を持っているとグインバ-サイドウ氏は述べています、ビットコインがアフリカの国々で使われるかどうかを見極めることは時期尚早だろうとグインバ-サイドウ氏は続けた。だが、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS:Economic Community of West African States)加盟の15カ国は、ユーロのようなアフリカ共通通貨の発行を議論していると言っています。

WEFの金融システムの責任者、マシュー・ブレイク(Matthew Blake)氏は、ユーロは共同での通貨発行はかなり困難であることを示したが、アフリカでのデジタル地域通貨はきわめて理にかなっていると述べ、ビットコインの進化を見守ることに興味を示しつつも、ブレイク氏は国家がビットコインを使用したり、企業がビットコインを大規模に使うようになることについては懐疑的でした。

 

アゼルバイジャン共和国のミカイル・ジャバロフ(Mikail Jabbarov)国税大臣も同様に、国家が分散型通貨の使用を許可することは想像し難いとCoinDeskに語り、完全な禁止を示唆したわけではないが、ジャバロフ大臣は主にビットコインの所有に関する顧客確認(KYC)情報の収集について懸念を示し、大臣は投機や違法行為以外のユースケースにおける、ビットコインの可能性について否定的だったと言います。

少なくともグインバ-サイドウ氏の場合、焦点は国民ではなく、役人の金融取引を監視することにあると述べ、同様の観点から民間の金融記録や、より広範な監視記録へのアクセスを保護するために、中国人民銀行は先日データへのアクセスを許可する、ブロックチェーンベースのシステムの特許を申請しています。

 

「我々は公開鍵インフラを導入する予定」とニジェールのグインバ-サイドウ氏は述べ「そうすることで透明性とトレーサビリティー、そこから生じる説明責任を確立できると考えている、それらはすべて独立した複数の組織が行わなければならない。でなければ1つの組織が情報を手に入れ、書き換える可能性がある」と、公平性の担保を重要視しています。

また、プライバシーの問題においても実質的に「秘密の銀行口座」を可能にしてしまう、ビットコイン・ウォレットをめぐる懸念は広がっていると、ウクライナの反汚職アクションセンター(Anti-Corruption Action Center)の共同創業者、ダリア・カレニウク(Daria Kaleniuk)氏は語っており、カレニウク氏はビットコインマイニング事業も行っている国営の原子力発電所を持つ国家は、ロシアにとどまらないと語っていて、この傾向はウクライナモルドバにも広がっており、ウクライナの新興財閥は国内のビットコイン市場で、支配的な役割を握っている「ビットコインについて力説する政治家がいると、我々はその人物を『ハイリスク』と見なす。ビットコインプロパガンダキャンペーンに利用できる」と同氏は述べた。

 

中央銀行のプロジェクトの中には、単なるIDチェックにとどまらないものもあります、中国では民間が提供する金融サービスを形成するために、医療データから通信記録まであらゆることに政府のデータを利用する取り組みがすでに行われていて「政府は多くのデータを保有している」とジャーチェン氏は言っていて、さらに「政府は民間セクターがデータを利用できるようにしたいと考えているが、データの所有権は渡したくない。そこで我々は政府のデータ共有構想をサポートしている」とも。

ほとんどの生データは、ブロックチェーンに記録されていないとジャーチェン氏は述べた、その代わりブロックチェーン技術は、元ソースを共有することなく、記録が元ソースで検証あるいは、計算されたことを証明するために使用されている、ジャーチェン氏はそうしたデータをリクエストしたり、アクセスできる人を規制する、厳格な方針が作られることを望んでいると語り、MITのネルラ氏もこの懸念に同意し「プライバシーは中心的な関心事であり、APIアプリケーションプログラミングインタフェース)を念頭に実装されることを望んでいる」と言っています。

 

世界経済フォーラム2020(#WEF2020)の最初のセッション。@jerallaireは、ステーブルコインは「コミュニケーションやデータの共有と同じくらい簡単に他の人と決済」することを可能にすると述べ、国家仮想通貨の実現は大きな変革をもたらし、金融包摂にとって「真のディスラプション(創造的破壊)」となると付け加えた。

悲惨な結末を避ける努力についても、匿名で応じたさまざまな国の個人投資家でさえも、中央銀行の実験に興味を示したが、自身が保有する資産には慎重な姿勢を見せ、ダボスの場でデジタル資産について楽観的な見方をしている人たちは、ガバナンスへの依存を減らすためではなく、ガバナンスを改善するための方法として捉えているようです。

 

「金融フロー全体を追跡することが容易になり、より良い金融政策を作ることができる。ブロックチェーン・ベースのシステムのおかげで、より良いフィードバックループを持つことができる」とジャーチェン氏は、デジタル人民元以外の数多くのブロックチェーンはデジタル人民元に似ているものの、国境を超えた取引をターゲットにしていると同氏は述べた。

一方、エコノミストイーサリアム・コミュニティーの大物であるグレン・ウェイル(Glen Weyl)氏は、新興経済国の政治家との会議に忙しい、ウェイル氏は中国の共産主義的アプローチは好きではないが、中国の共同体的・市民的な精神が、伝統的資産を超えた価値システムを、切り開くために活用されることを期待していると語った。

 

「最終的にはお金を減らし、より社会的文脈を持った価値形態にする必要がある。中国には社会的な信用が存在し、ある意味では(お金の)社会的側面にはるかに調和している」とウェイル氏は述べ、悲惨な結末を避けるために、ウェイル氏は世界銀行(World Bank)などの組織と共同で、データ・フリーダム・アクト(Data Freedom Act)の作成に取り組んでいるとも付け加えた。

これはデータの収集者にデータを保護し、同意なしにデータを濫用しないための「受託者責任と民主的責任」を持つことを求めている、また問題の状況に対処するために、市民に一個人としてよりも大きな力を与えるために「団体交渉」の枠組みを提供することを基盤としているとウェイル氏は言い、CBDCの実験についてより広範に語りつつ、WEFの実行委員会のメンバーを務めるブレイク氏は、WEFはCBDCに「関与」し、「積極的に活動」したいと考えていると締めくくっています。