くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

人の生と死をデザインする時代へ

日本を除く多くの国では、人が亡くなると遺体は土に埋めて葬られるのが普通のことです、除くと書いたのはご存じの通り日本は遺体を火葬するのが普通とされているからですが、日本でも戦前は土葬だったことをご存知でしょうか、土葬から火葬に代わったのがなぜなのか、あまり深く考えた方は少ないのではないでしょうか。

アメリカの州で続々と故人の堆肥化が合法化 環境に優しい埋葬へ」

火葬や土葬は、亡くなった人を葬るための一般的な方法ですが、最近ではより環境への影響を配慮した「人間の堆肥化」が提案されているといいます、アメリカのシアトルを拠点としている企業Recompose社は、アメリカで最初に人間の堆肥化事業に参入しているそうで、この新しい埋葬方法は、既にいくつかの州で合法化されており、現在カリフォルニア州でも導入が検討されています。

 

人の死には人間の尊厳がとても重要視されますが、その人の死にも環境にやさしい埋葬が尊ばれる時代になってきたということが、どう考えたらいいのでしょうか、

「人間の堆肥化」という概念を一般化するために進む合法化と懸念は、日本では全く知られていませんが、アメリカでは環境にやさしい埋葬が求められている、また日本で定着した火葬は化石燃料を使用するため、毎年何百万トンものCO2を排出するという研究結果も挙げられます。

また土葬では防腐処理された遺体を土に埋める場合があり、化学物質が地球に浸透するかもしれないというのです、実際オーストラリア・マードック大学(Murdoch University)環境科学科に所属するフランシス・マレー准教によると、「遺体が劣化すると土壌や地下水に汚染物質が染み出すおそれがあります」とのこと、そこで環境にやさしい埋葬方法を模索する動きや背景があって、新しく考案されたのが「人間の堆肥化」だというのです。

 

もし、カリフォルニア州の住民全員が死後の堆肥化を選択した場合、それによって節約されるCO2は、1年間で22万5000世帯(サンフランシスコの半分以上)の電力を作り出す際に排出されるCO2量と同等だと言われますが、これはカリフォルニア州初めての試みではありません。
既にワシントン州では、2020年に自然有機還元が合法化され、人間からできた土を家族に返したり森林での使用が可能なのです、またコロラド州も同様の法律を制定、ただ人が食べる作物の栽培に、人間堆肥を使用することは認められていません、そしてカリフォルニア州と同様デラウェア州ハワイ州、バーモンド州も合法化が検討されているとのこと、もちろん全ての人が新埋葬方法に賛成しているわけでなく「故人への敬意に欠ける・感情的な距離」との懸念もあるのです。

 

また、別の記事でもシアトルで始まる世界初の「堆肥葬」として死んだ後、自分の体がどのように扱われるか、一部の人は宗教的な理由で土葬・火葬を選ぶかもしれないなど、世界でも火葬と土葬の2種類が主要な葬送方法で、人間の遺体を栄養豊富な土に生まれ変わらせる「堆肥葬(有機還元葬)」が新たに始まると、ワシントン州における人間の遺体をコンポストする法案が、2019年4月に可決され2020年5月から施行されると報じられたことを挙げています。

そして、アメリカ・シアトルで施設の準備を進める企業「Recompose(リコンポーズ)社」が、堆肥葬を実用化させ2021年にオープンを予定している施設は、世界初の堆肥葬を行う場所となる予定で、より環境負荷の低い葬送方法として台頭する堆肥葬・Recompose社が目指す未来はどのようなものなのでしょうか。

 

ナチュラルでオーガニックな還元(Natural organic reduction)」と名付けられた堆肥葬は、人間の死体を自然な形で生分解して堆肥に変え、養分として新しい命へ循環させる葬送方法とし、死後遺体はオーガニックなウッドチップで敷き詰められた再利用可能なモジュール式の棺に収められ、遺族や友人との告別式が執り行われる、式が終わると遺体はオーガニックな素材を被せられ、棺ごとコンポストを行う専用のカプセルに収容される。

その後、落ち葉が土に戻っていくように約30日間かけて骨や歯までもがゆっくりと土に還っていく。容器内は微生物やバクテリアが活動しやすい環境に整えられており、より効率的な分解が促される仕組みになっていて分解後は、1立方ヤード(0.76立方メートル)ほどの豊穣な土に変わる、遺族や友人はこの土を持ち帰って通常の土と同様に、植物を植えるのに使うなど再利用することが可能で、持ち帰らない場合はRecompose社が提携している森林の育成に使用される。これにより、人間は死後、自然の一部として循環することが可能になります。

 

堆肥葬では、遺体を焼くプロセスが必要ないため、火葬と比較すると8分の1のエネルギー量しか使わず、1人につき1平方メートルのCO2の排出が抑えられる、また遺体や遺骨を保存する必要がないので墓を立てる必要もなく、地球上にスペースを取らない、使われる素材もオーガニックで、コンポストに使用される棺も使い捨てでなく再利用される、今までにも遺体を自然に還す方法として、遺体を木の根元に植える「樹木葬」や火葬した遺灰を海や山に撒く「散骨」など方法はあったが、堆肥葬は環境を汚さないという点で新たな選択とるとされます。

遺体に含まれる物質が環境汚染になるのではと、懸念する人もいるかもしれないが、ペースメーカーなどの金属製の不純物はコンポスト前に取り除かれ、抗生物質などの医薬品もコンポストを通して、分子レベルで分解されるので土壌を汚染する心配はない、またカプセル内は120〜160度まで熱されるため、有害な病原体のほとんどはこの段階で滅せられる、ただしクロイツフェルト・ヤコブ病やエボラ熱などは病原体の分解が確約できないため、今のところ対応していないとのこと。

 

これはあくまでもアメリカ人の発想で春にしても、死んでもなお人間は有害なのか?火葬・土葬の問題点としてマサチューセッツ大学建築学科の学生だったRecompose社創始者カトリーナ・スペード(Katrina Spade)氏は、大学院生時代に自分の死後、体がどうなるかについて興味を持ち始め、葬送業界と現在選択可能な葬送方法について、深く考えるようになったと言います。

今世界中で埋葬に使用する土地が不足する問題で、使える土地は有限でも人口・死者数も増える一方で特に都市部での問題は深刻で、一度埋めた棺を掘り起こしてその下に何層にも渡って埋葬できる“墓の高層マンション”の建設を進めている都市もあったり、このまま埋葬を続けていけば、地下は死んだ人間でいっぱいになってしまうと言うのです。

 

埋葬する土地の不足問題や葬送に関する経済的な理由から昨今、土葬が主流であったアメリカでも火葬の割合が急増しているが、これも環境への配慮という点で問題を抱えている。1体の遺体を火葬するためには燃料が100リットルほど必要で、焼却を通して200〜300kgのCO2が排出され、葬送に必要な材料消費も問題視、遺体安置の棺には大量の木材と金属が必要で、遺骨を安置する納骨堂にも強化コンクリートや金属が使用される、一度埋めた墓は何世紀にも渡って残り続け、素材のリサイクルも難しいため、消費し続けるという観点ではサステナブルな方法でないという理屈です。

このような現状に失望していたスペード氏は、ある日友人が家畜の死体をコンポストして土に還しているという話を聞き、まず大学院の卒業論文研究を開始し、「人間の遺体をコンポストすることは環境に対して責任のある葬い方だ。」とスペード氏は述べ、堆肥葬は遺体を自然の一部として循環させることを主軸に置くことで、現代の葬送方法が抱える問題の解決に大きく乗り出しているそうです。

 

Recompose社が目指す未来

スペード氏は「人々は、愛する人の死をそれぞれ多様な形で受け止める。だから私たちのゴールは、愛する人の死に対してより多くの選択肢を与えることです。」と語り、「現在は火葬と土葬が主流だが人の数だけ葬送の形があっても良いはずだ。新しい選択を生み出すことによって、より多くの人が死について納得のいく回答を得られるようになるだろう。」と。

またスペード氏は「今後10年でより多くの葬送の選択肢が台頭するだろう。」と予測しており、同は画一化された葬送業界をアップデートする一石を投じたという点でもその存在価値は大きいと期待する人に応え、残された人にも配慮する設備が準備されるそう、また「この場所はコンポストを行う施設としてだけでなく、人が集う場としても重要な意味を持つだろう。このプロジェクトを介してより多くの人が葬送に対して直接的な参加を体験し、死そのものと人生における喜びについて対話の機会を得られるようになる。」と話しているそうです。

 

この空間であれば、死は身体が大地に還っていく自然な流れという印象を持ち、死を恐れて敬遠している人もその存在を受け入れやすくなるかもしれない。20世紀の哲学者ハイデガーが「死を意識するからこそ、人生は輝く」と残したように、死について認識することは「生」の尊さに気がつくきっかけになる同は堆肥葬を通して、世界中をインスパイアし続ける。

人間の遺体をコンポストすることによって、現代の葬送方法が抱える問題を解決しながら、新しい葬送の可能性を提示する同社、遺体を輸送することができれば、海外からでもサービスの利用は可能とのこと、葬送の費用は5500ドル(約60万円)ほどになる予定で、ワシントン州での土葬費用の平均が8000ドル(約87万円)、火葬費用が1000~7000ドル(約10万円〜76万円)であることを考えればリーズナブルな値段設定と言いますが、これから堆肥葬がどのような広がりを見せるのでしょうか。

 

日本風で言えば「新しい葬式の形」とでも言えばいいのでしょうか、日本でこの慣習が普及するかどうかは未知数ですが、奇しくもこの動きはコロナ禍以前にはじまったものであり、世界中でコロナ感染が起因で亡くなったとされる人が、莫大に増えたことを考えると、こうした人の亡骸の合理的活用が、真剣に考えられていく時代に入ったということかもしれません。

ただ、この流れは一部の陰謀論者に言わせれば、人口削減計画へのステップであり、今後も社会に影響力をもつ人の突然死や、世を儚んでの自殺者が後を絶たない時代に、人知れず死んでいく人の亡骸を有効活用する合理的・唯物的・左翼的発想が、一般貸されたり認知度が上がったりする上に、日本総務省が掲げるムーンショット計画による、人体不要の技術革新に向けても関わってきそうで、人の精神を優先させ肉体は交換可能でモノ化したり、人の生死がデザインされる時代が目の前に…これが仮想現実社会の理想と現実です。