くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

この国と、愛知の産業の将来性をマジコメしてみる

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 国内では久方ぶりの政権継続によって、賛否両論ありながらも安定した経済政策が進んでいますが、愛知県でもその恩恵は得られているのでしょうか。

 まず取り上げないといけないのがトヨタ自動車産業で、タイムリーな時事としては、6月15日に愛知県お膝元のトヨタ自動車株主総会が開かれ、異例な数の株主が参加するなか、中長期の将来展望に不安を見せる質疑が出たことからも、自動車産業の重要な転換期を迎える大企業の行く末が注目されています。

 

トヨタ株主総会、章男社長が涙を見せたワケ | 自動車 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

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 次に気になるのは、その産業を支える次世代人材の話題ですが、愛知県内の機械産業を支える若者達の就職率は、前年度の結果で見て順調に改善されていて、これは頼もしい限りであります。

 こうした働き手の安定した伸びの中で、今度は就業先であるトヨタや三菱などの大手を含む機械産業の将来性は、好景気の途上では一見気に病む事もないのかもしれませんが、この地方の将来性を占う上でも今回マジコメしてみます。

高卒の就職決定率 愛知は過去最高99.8% 3月末時点 :日本経済新聞

 

 さて中小企業においては、未だ明るい話題が多く見られませんが、大手においてはチャレンジングな話題も報道されるなど、前向きなスタートと伺えます。

愛知製鋼、中国で4割増産 - scoopnest.com

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  今特に名古屋駅(メイエキ)周辺の開発が盛んで、日に日に変貌していく姿は目を見張るものがあり、商業面での集客力はニュースで見ない日が無いほどの好景気ぶりです。

 インバウンドを見込んだ観光面などサービス産業での活性化は、これからも順調な伸びを示すのに誰一人異議を唱える人はいないでしょう。

 

 やはり気にかかるのは、従来からこの地方をささえて来た主産業の将来性で、連日のようにニュースとなっているトヨタ自動車を筆頭とする自動車関連や、三菱重工で扱う航空機・ロケット・自動車関連でしょう。

 トヨタ自動車は言うまでもなく業界では世界一ニを争うトップメーカーですが、業界は今大きく流れを変えようとしています。

 

 自動車はかつてのレシプロエンジン車から、電気自動車にその主軸を変わろうとしていますが、本来ならトヨタ自動車が読んでいた通りまだ先になる筈だったのが、中国政府の電気自動車普及政策を急激に推し進め出した事で、一気にその勢いが変わってしまいました。

 この春に開催された上海モーターショーで、各メーカの力の入れようが明らかになったように、業界の電気自動車へのベクトルが一気に上昇している実感が増してしまったようです。

 

トヨタの「存在感」が実は薄くなっているワケ | 最新の週刊東洋経済 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

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 この変化で、元来から中国市場で苦戦していた同社は、読み違えも合わせて立場が危うくなったのでは? と懸念出かねないのですが、この出遅れについては、同社内で電気自動車開発には否定的な首脳陣が少なからずいた事が大きいのでしょう。

 トヨタ自動車のようなピラミッド型にリスク分散した下請けシステムが、ネックになっているようで、一気に電気自動車にシフトしてしまえば、下請け企業の仕事が無くなると言う大企業ならではの雇用問題を抱えています。

 

 非電気自動車は、車体のフレームシャーシーのノウハウは基より、エンジンなどの駆動系のノウハウで優劣がつきやすく、トヨタ自動車コスパの高いノウハウでトップに君臨していました。

 それに対し電気自動車は、エンジンが要らないので格段に開発が容易で、振興産業の台頭が目覚ましい、似て非なる自動車産業と言えますが、国内外大手自動車メーカーでも、電気自動車に力を入れていたメーカーとの、差がここで一気に出ている事を含め、トヨタ自動車のアドバンテージは無くなりつつあるとの見方もあるようです。

 

 同社も、昨年末から、電気自動車開発チームを編成しているようですが、大手メーカーとしては、お粗末な対応と揶揄されかねません。

 この遅れを取り戻す動きに加速がついてはいて、さすが世界トップクラスの開発資金力を誇る同社だけに、異例の挽回大作戦が対トランプ陣営アメリカへの産業対策問題と並行して、どこまで挽回できるかが愛知の産業の行く末を大きく左右しそうです。

 

  また、MRJの今試験飛行で米認可取得で生産が遅れに遅れている三菱傘下の三菱航空機も正念場のようです。

 

 5年前は、70年ぶりの国産初ジェット旅客機として大きな話題を与えましたが、やはりその間に業界の構造は大きく変わっており、初号機そのものの開発製造までは順調でしたが、実質上デファクトスタンダードとなっている、厳格な米国の型式取得の飛行テストに想定外の時間がかかっており、量産スケジュールの目処が立たない状態に追い込まれています。

三菱重工業と三菱航空機、MRJ最終組立工場で短胴型「MRJ 70」の組み立て開始 米国での飛行試験に新設計の量産機を追加投入へ - トラベル Watch

travel.watch.impress.co.jp

 

 上記事のように、少しでも平行開発をすすめるべく、短胴タイプのバリエーション製造を開始する明るい話題も出てはいますが、先行機種の型式証明の目処が立たないうちは、胸をなでおろすまでには至らないでしょう。

 何より今回の国産初のジェット旅客機構想で詰めの甘かったのは、世界基準の把握の甘さと、それに十分対応できる人材不足、加えてそれを想定しての販売スケジュールとのすり合わせノウハウの欠如でした。

 

 ただ、悪い話ばかりではなく、業界恒例のパリ航空ショー出展を決めたMRJは、このショーを大きな転換点としているようです。

 

「MRJ」納入、19年に前倒し

newswitch.jp

 

 当初から国を挙げての日本産業技術の売り込みを海外に推し広めた政府ではあるものの、思わぬ誤算が相次ぐ中で、政府のお墨付きらしき記述は鳴りを潜めており、三菱航空機単独の責任問題のように報じられ、その重圧は計り知れないものがあります。

 しかしながら、何と言っても新幹線事業と併せて国を挙げて世界市場に打って出るお話ではありますので、政府主導で始まった「ジャパンブランド」をしっかり売り込む戦略を成し遂げてほしいものです。

 

 日本の二次産業の代表でもある中京工業地帯の産業界の課題は、例外な他の国内二次産業の課題に他ならないのは、地域創生を見据えている今どの地域でも無視できる問題ではありません。

 今回取り上げた課題は氷山の一角に過ぎないわけですから、ロシアとの北方領土問題絡みの相手地域内での産業提携の話題が出ていますが、領土問題とは本来本筋からそれていて、そちらより産業構造の課題解決は国交問題とは別々にしておかないと、複雑になりすぎて二兎どころか一兎も得られずに終わる悪循環になりかねないのではないでしょうか。

 

 最後に、私たちは一見順調に連立政権下での経済復調を享受しつつはあるのでしょうが、その一方で防衛と称しながら政府は、景気上向きをいいことに国民の期待と異なった動きをしているようにも伺えます。

 最近では、今後単独での対外防衛の準備を声高にしている政府の風潮ですが、原則自己防衛に力点をおいたり、治安を衛る名目で言論の自由を不安視させる法案可決が気になります。

 

 また、米調査でも出ている通りCO2削減には影響が無いと解った原発再稼働不要論など、すこしづつ国民総意とズレた政策を進めているような動きを、いくら経済成長名目や便利さやゆとりを得られるとは言え、その分借金は増えています。

 むしろ政府は過去の発展失敗のつけをチャラにすべく、自らの功績を正当化するために税金を使っているようにも見える、安倍内閣の経済成長政策。

 

 その前にすべきなのは、無駄な予算を削減する目処を立てながら、次世代への借金と言う名のつけを先送りを減らすことであり、安倍総理が安保70年談話の際に高らかに宣言した、

 

「戦争のつけを次の世代に回さない」

 

 という言葉と合わせて、経済面でもつけを残さない政策を軸の政策を、心がけてほしいものです。