自動車産業の最大の危機、日本の未来をかけて
先週日米とも株価上昇であったのは、米金利がコロナ前10年債金利1.5%からの急落後0.6%底で徐々に1.2%まで戻しており、金利上昇が株売りに圧力がかかっていると分析されました。
FRBも利下げをする用意は無く静観との事で、バブルが弾けるか否かも含めて、意見は割れているようですが、アメリカ国内が記録的寒波で石油プラント停止、バイデン政権の政策も軌道に乗っていないなど、エネルギーだけでなく製造業へも影響が見込まれ、IT医療以外先読みが難しい局面です。
米金利上昇の中でも、トヨタ自動車は現地工場生産による増産増益をしていますが、テキサス州など寒波被害の大きい地域の工場での、電力供給不足でアメリカの2工場を操業停止によるダメージ避けられません。
また世界的に半導体チップ不足により、自動車業界へのTSMC社チップ割当分が、テスラに偏り、トヨタも生産制限をかけざるを得なくなっていたり、サムスンなどで代替策をしようにも、同社も寒波停電の影響で工場停止、更に輸送コンテナの供給遅れも自動車産業に限らず、サプライチェーンを滞らせています。
FOMCは、金融緩和の長期化を改めて示し、米経済は雇用や物価の目標からはほど遠く、実質な進展が見られるには暫く時間かかるとし、雇用重視へ動くとの発表なので、国内受給が満たされるまで暫く海外の時事には静観されると思われます 。
ここはバイデン政権の米経済対策1.9兆ドルの現実性を待つしかないかもしれませんが、共和党が同意するか次第で、この投資によって雇用が改善され労働力がコロナ以前のレベルまで戻ってからでないと、生産性の見通しは不透明なままです。
EUの自動車メーカーが先行してEV車や給電インフラ整備が先行している中で、比較的保守的なアメ車大手フォード社でも、30年までにEUで展開する全乗用車をEVにケルン工場へ10億ドル出資しEV対応を明示しました。
自動運転ベンチャーをSUBARUとSBIのファンドの出資などの関連投資もあるにはあるのですが、EVカー開発目的でありトヨタがようやくEV参入をしだしたところなので、具体化策を示さないと、遅れを取り戻した事になりません。
国産では、唯一孤軍奮闘するホンダも、八郷社長後任に三部専務昇格人事を発表、環境技術ばたでの活躍し合経歴を評価し多と言われ、具体的な電動化への対応に着手しました。トヨタは、EVモジュールのラインナップを完成させ、数年先までのEV車ラインナップを計画していますが、その矢先に東北地方の余震により、福島工場14ライン製造ライン停止、委託先の日立系工場の生産ラインの電力供給停止が原因だとか。
コロナ下の国内外で起きているのは、需要は回復しつつあっても部品供給が追いつかない状態が続いており、素材相場は上昇するも製造供給は深刻で、特に国内の自動車製造は膨大な下請け会社を抱える裾野産業であり、タダでさえEV化の波にさらされ、製造工程が縮小化せざるを得ない問題も抱えているため、それをまとめるトヨタ方式の再編成など課題は山積です。
こうして日本の製造業がバタつく中で、株式上昇で実体経済が伴わないままインフレ圧力の芽が出始めていて、こうした状態を好機と見て、外資ファンドが日本の高い技術を持つ企業への投資に参入が顕著になっています。
コロナ禍で日本企業は、ようやくデジタル化による事業再編を始めており、企業効率を高めようとする優良企業への投資見込む高リターンを期待し参入が加速する一方で、こうした動きから政府は保護するでもなく、国内主産業を外資本に配慮し保護しない傾向があると言われています。
以前紹介した、自動車協会会長としての豊田章男氏による、業界の苦しい事情やEV車普及の政府方針への警告は実質無視されているかのような菅総理のEU寄りのおかげで、世界トップ企業のトヨタ自動車さえ危機が迫っているといえるでしょう。
このタイミングでの先日の震災の影響は小さくなかった、せっかくリスク分散して設けた地方の自動車関連産業の国内工場が操業停止、海外工場のEV化の遅れ、他社でも日産のフランスルノー社の傀儡化懸念や、ホンダの社長交代で一気にEVシフト図るも規模が小さいマツダのディーゼル車の独自戦略も見誤り?とも思えるほど、EUやIT大手が一気に展開を早めたEVカーシフトで、国内EVインフラ計画は10年遅れてしまいました。
何より10年以上も前からSDGsによる、脱炭素化のエネルギー政策のグローバル化の情報は国内政府でも参画は計画していたにもかかわらず、インフラ整備など具体的な政策を進めてきませんでした。コロナ禍前後でそのツケが一気にトヨタに押し付けられた形です。
また、脱炭素化の波はエネルギー需要にも変化をもたらしていて、中東・ロシアなど国内消費以外の輸出用石油生産は減少・高騰化の流れが進んでいて、ますますガソリン・ディーゼルエンジン車の需要は、今後日本政府やメーカーが予想していた時期より、もっと早く減っていく事が判ってきています。
トヨタ自動車がようやく自動車の世界生産売り上げ世界一に返り咲いたにもかかわらず、日本自動車業界のEV市場での戦略は、政府の消極的関与で10年、いや20年ものギャップが開いてしまい、加えてEVカーとしてのイメージブランドとしては、米テスラや中BYDに完全に奪われ、次いでEUのメーカーへとシフトしつつあって、日本の認知度不は一気に無くなってしまいました。
EV車に不可欠な高効率な電池においても、中国製がPanasonicの技術を吸収し、EV向け電池のシェアでは実質占有されていますし、自動車システムを制御するセンサーやマイコンチップなども、台湾メーカが独占状態で、テスラへのチップ・電池供給の寡占化問題も起きています、その中日本メーカー供給には優先権を握られ、思うように生産管理は出来なくなりつつあります。
この状態で回避策は海外工場誘致と海外生産を増強するしかありません、そうなれば国内の多くの中小企業を支えていた自動車製造への雇用は一気に冷え込むことになりますが、いまのところ豊田会長の直訴は、政府には届いてい無いように見えます。
些細なことになるかもしれませんが、日本規格で優位性を持つと考えられる軽自動車で培った小型化技術は、今後も小型EVカーを中心に発展させて優位性に繋がる可能性はありますが、今のところ国内の最新事例では、ダイハツ軽自動車の自治体とマッチング地域活性化 CMカー・屋台自動車の地方展開、軽・普通キャンパーでコロナ禍の新しいトラベル・ライフスタイル提案と、国内向けには市場可能性を提案できているようですが、世界進出に繋がるようなものではありません。
日本は平坦地が極端に少なく、交通網インフラの電化整備には多くの課題・コストがかかりますが、高度成長期時代のような高速道路拡張の様な、国策レベルで政府が国内道路網・電力供給網整備へ動くかどうかが、第一義に置かれないと根本解決に繋がりません。
また、トヨタが今年から着工すると言われる富士裾野に計画する都市建設が、そのモデルとなる予定でしたが、もう事象実験を待つ時間的猶予はほぼありません、トヨタ自動車の資本力と開発力をベースに、国内全メーカーが特別枠でタッグチームを汲んで、国交省や警視庁など関連省庁にも専門チームを作ってひざを突き合わせて、10年以内にインフラ整備事業を世界にアピールできる程度に実現させないと、日本産業は大きな羽根を片方もがれたイカロスの翼のごとく、世界の表舞台から墜落しかねないのです。
オリンピックだけじゃない、私たちの未来をかけて、がんばろう!ニッポン。