東海も人ごとでない、日産の三菱買収発表とグローバルな業界の動き
最近緊急の話題が、多くてなかなか得意なテーマで記事れないですが、またまた今回は、ご当地自慢の自動車産業での大騒ぎと地域の影響について触れずにはおけません。
自動車業界で、トヨタ自動車や日産自動車が決算下方修正をを発表して、自動車業界の暗雲を予想する話題が出たと同じ時期に、日産自動車の蜜月関係の三菱自動車ついに買収が成立しました。
これでルノー・日産が、世界の自動車業界で一気に4位の位置にたったことは、低迷自動車業界の大きなトピックとなったようです。
この話題は、岐阜県坂祝と、愛知県岡崎に三菱の主要工場がある東海地方にとって、かなりの数の住民の雇用を左右する大事件です。
ルノー日産自動車CEOゴーン氏は、三菱グループに離れないよう担保を取ったし、三菱側益子CEOと十分に社内の事情を十分聴取したうえで、買収を決めたと答えていますし、三菱からも、技術要請をすでに受けているとのことです。
再生請負人で日産を回復させた、ゴーン氏の真骨頂でもある同業者の立て直しは、彼にとっての新たなアピールポイントを得た形。
12日の三菱株のストップ高を受けて、あくまで株主の信認を得られたことは最高の好材料と評価され、逆に三菱株を空売りしていた投機筋には、晴天のへきれきだったようです。
ここにきて日本企業株の、久しぶりのポジティブなトピックは、今後の株の動きにどう影響をするのか、家電メーカーの赤字決算報告のシーンを見るにつれ、注目度は高いし、スバルは国内社名変更、自社株買いで6%の上昇、トヨタ自動車・日産自動車は4%・2%の下落と、強い反応があって話題という点では大きな変化があったようです。
この機を狙ってか?たまたまの偶然か、米で訴訟を受けた独VWを含めたドイツ自動車連合とでも言いましょうか、PHV(プラグインハイブリッド)車の2021年の販売に向けた開発を共同で発表してきました。
これは、この分野では先行しているBMW社が中心になって提案するもので、現在発表済のラインアップを一堂に揃えてお披露目しています。
PHVの仕様(プラグ・電極や、ステーション)については、今後の世界標準をめぐって激しい市場競争が予想されていて、日本ではすでにトヨタ自動車がプリウスで先行しているなど、仕様をかなり固めていますし、概ね日本メーカーはトヨタ指導の仕様で進めることになっています。
その他でも、米国でも最近つとに台頭してきた、テスラモータースも販売数を増やしていたり、遅ればせながら中国も国を挙げて標準化を目指して急ピッチの開発を進めている中で今回、ついにEU連合としての独自動車大手が連携して、これに対抗する動きを見せてきています。
これはCO2排出自主規制の目標を各国が達成するのには、非常に重要なことでその達成に向けてPHVなどの超低燃費車の開発は、今後各メーカーの生命線になるものだけに、自動運転車開発などと合わせて、次世代インフラ構築に向けて不可避の戦いになりそうです。
さて、その新たな市場確保に向けて戦わなければいけない時期に、三菱ブランドを失墜に追い込もうとする今回の燃費詐称問題は、日産のミラクルな買収劇に株式市場もプラスに反応はするなど、前向きな展開を見せたかのように思えます。
しかし、一旦失った信用の回復がいかに難しいことか、当事者の三菱もっとも自覚しているはずですが、もとよりどん底だった日産をV字回復させたゴーン氏の、さらなるミラクルを見せてくれるのか、大いに気になるところです。
この機に、ゴーン氏が三菱買収に出たのは、突然の話でないのは、ご存知の方も多いと思いますが、もともと日産は、三菱と軽自動車開発で共同出資会社を作っていて、その流れの中で、販売力のある日産のほうが三菱より力関係は高かったわけです。
さらに、かなり前から日産は軽自動車開発の主導権を三菱から移そうとしていたようなので、いろいろと調べていたのかもしれません。
今回の三菱サイドの不祥事は、日産自動車の調査で判明したわけですが、これは日産にとっては渡りに船だったでしょうし、もともと日産は軽自動車で培った小型自動車のノウハウや、三菱が持っていた電気自動車(アイミーブ)の技術はぜひほしかったもので、この機に2000億というめちゃめちゃ好条件で、買収できたのはむしろラッキーだったはずです。
さらに、先にも書いたように合わさることで、売上販売で世界第4位に自動的にランクアップできる尾ひれまでついています。
いったん経営権を取ってしまえば、三菱側工場に日産方式を導入しやすくなるし、実際に介入して問題になっている部分を日産方式に変えることが、市場に伝われば、意外と早く三菱ブランドはどうなるかわかりませんが、日産のイメージはさらに上がることになるし、雇用も維持されれば地域自治体にの歓迎されるでしょう。
ともかく、坂祝や岡崎、そして軽自動車の主工場のある岡山県の水島工場のある自治体は、その地にある三菱工場の雇用のウエイトが大きかったために、このままではあの夕張市のように、自治体運営そのものの崩壊してしまいかねません。
すでにまな板の鯉の状態で、日産の差し伸べた話に乗らないわけにいかなくなっていますので、この点でも地元産業の先行きをめぐって、非常に心配されるところです。
ゴーン氏も、ルノーの株主から、年収が問題視されていることからも、ここで失敗するわけにも行きませんし、それなりの計算はあるはずです。
なかなか腰が重く面に出てこなかった、三菱自動車CEO益子氏をすんなり引き出した時点で、ゴーン氏の采配は見事だともいえますが、果たして三菱自動車のリビルドは簡単にはいかないだろうとの、有識者の見立てです。
果たしてこの改革はどこまで「やっちゃえ」るのでしょうか。