参院選、夏の陣を終えて。民主主権者の思いと効果
この夏に参院選を終えて、SEALDをけん引してきたメンバー奥田愛基さんが参院選後に解散する発表をしました。この先も次世代のお目付け役として、活躍する機会はあるのでしょうか。
衆議院議員の小泉進次郎氏があえて人口減少地域を回って、今選挙の地方遊説をしたのには、相変わらず氏のしたたかな戦略があるでしょうが、印象に残ったのは現政権が掲げる人口減少対策に対して、「減るのは事実で、その中でいかに地方を創生するのかが重要」と言った趣旨の演説をしていることです。
民主主義を改めて問うには投票率も低く、多くの有権者に冷めた見方をされた感はありますが、未成年有権者のデビュー選挙ともなって、この機会に各地域の有権者が、地元の民主制について、問い直すきっかけになるといいですね。
テレ東の選挙速報番組で、MCの池上彰氏がかけた今井絵理子候補の議員当確時のインタビューでの回答に、出身地沖縄の現状についての意識の薄さに愕然とししていたシーンは印象的でしたが、筆者は至極当然の反応だと感じました。
彼女は芸能人で、急きょ押し上げられた上、戸惑いながらも一途に使命を果たしたにすぎませんし、彼女に今それ以上の要求はすべきではありません。
立候補者の中には、まとまらない公約を中途半端にだして撃沈していく方が多い中で、子育て・福祉支援を公約一筋で最大限の努力をして、当選した彼女の功績はむしろ奇跡であり、評価すべきことです。
確かに彼女は沖縄アクターズスクール出の沖縄出身者なのは、元アイドルだけに有名な話ですが、だからと言って今ある沖縄の問題を彼女にかぶせるのはいきすぎです。
様々な議員がいらっしゃるのですから、まずは一人一人が着実に一つの公約を実行するのが第一名義です。
それよりも、ママ代表としていかに社会は彼女を評価し、育てていくかが重要で、沖縄問題を担わせるのは二の次です。
心配なのは、今回も高齢者向けの対策を支持する候補者が、多く当選したこと。
これはこれで既存層の有権者にはまっとうな話に聞こえますが、若年層・未成年の参入組が加算されたにしても3分の2が選挙権を放棄したことです。
既存層は基より、これから主体的に参加すべき若年層の反応があまりにも冷めすぎているのは、今後政治に関与していく手段である選挙システムそのものが、一部の主権者の良いようにされて、悪循環に陥る懸念があります。
そのためにも、子育て世代はその子に、教育者は生徒に、わざとらしいほどに強調してても、選挙に参加する重要な意味と効果について、解ってもらう努力をしなければなりません。
今、バングラデシュで日本人が射殺され、ヨーロッパでは多くの会議関係者の方が、トラックでひき殺されました。
この流れを汲んで、きな臭い空気が正当化されようとしていますし、日本でも安倍総理が、危害を加える集団に対しては毅然とした態度をとるとコメントしています。
戦争は反対でもこのような空気がまかり通るようになれば、自ずとどれだけ抵抗してもこのままでは防衛の名のもとに、軍事化が正当化されてしまうでしょう。
それを是とするなら申し上げることはありませんが、いま私たち有権者にとって選挙権行使だけが、その流れを変えることができる唯一の平和的手段だということを、滾々と説く必要があるのではないでしょうか。
日本人は世界で比べても、無類の平和実行者なのは誰もが認めることだと思いますが、一部に金で平和を買ってきた歴史などどと揶揄する向きもあるにしろ、いまこそその意思を押し通すべきかを知らしめるべきかの岐路に立っています。
今後、国内の戦前か主導権を持ちつつある、愛国思想の人々が私たちの気持ちを確かめようとしている時期でもあるようです。
結論として、それに乗るのも日本人、乗らずに新しい国際人としての日本人を目指すのも選択肢の中にあります。
大衆を統制しようとすれば、ちょっと考えてもらえばわかりますが、統制する側はされる側の自主性・民主制を抑えたほうが、まとめやすくなります。
つまり、社会で民主的な要望や主張が、多様化したり盛り上がったりするのは、住民にとってお良いことのはずが、逆に弱くなっている時期には相反して、一部の強い主張が偏った方向に向かうバロメーターとなります。
この国が民主国家を目指す以上は、民主性がきちんと働いているかどうか、阻害現象が起こっていいないかどうか、私たちは見張り役として機能しなればならないわけですが、残念ながら政策に現れる今の民主主義は、機能していないようなのです。正当な民主化が進まない原因となるものが、もう一つあります。
主にこれから日本を盛り上げ、活躍していく有権者の人々には、まだ多くの選択肢が残されていていますが、いかんせんこのままの勢力図としては少子化による人口減少で、もしかすると単純な多数決原理では意見が通らなくなる可能性があるのです。
今までのしくみそのままでは成立しなくなる可能性のある、民主主義をどのように可能な限り公平に整理るさせるかは、全く新しい制度や発想が必要になるかもしれませんので、これからまだバリバリ頑張る気概のある方はなおさらですが、これからの日本社会を担う人は、いろんな角度から視点をめぐらせて、既存にとらわれない発想をしていく必要があるでしょう。
これを行うはものすごく労力を要するものとなるでしょうが、いまからその積み重ねをしていかなければ、思うような明日になるかは判らないでしょう。
その意味で、参院選に直接かかわらずもこの先の第一党を作り上げようと、全国を有事いて回る小泉進次郎氏の一挙一動は、とても参考になるものと思っています。
未来はいつの世も、必ず一歩先を見据えて行動する主導者が造りげてきた歴史を、私たちは知っています。
この主導者に小泉氏がなるかどうかは、筆者はわかりませんし興味もありませんが、その誰かが生まれるためには、それなりの土壌が必要なことには興味があります。
若い世代は、かつての若い世代がそうであったように、いやそれ以上に突き抜けた存在感と、行動力を示してほしいと期待しています。
奇しくも、亡きAPPLE社創業者のジョブズが座右の銘にしていた雑誌のキャッチコピーを借りるまでもなく、そのモチベーションの源になるのは、
『 貪るように、バカになれ。 』
という言葉の中にも隠されていると思っています。