くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

ふるさと納税にみる、国と地方と納税者の健全な三角関係

今回の統一地方選は目覚しい変化の少ない現状維持を確認するい意味合いが強く、最低の投票率と予想通りの結果で幕を閉じましたが、一方で注目された大阪府・市知事が仕掛けた地方自治改革の狼煙や、北海道の若い知事の当選などの刺激も交えて、新元号時代の幕開けにはちょうど良い節目になったと思います。

 

さて、みなさんふるさと納税は利用されていますか? 積極的に活用して節税に役立てる方、から地元愛から協力される方まで、地方自治体が自分の地域の特色を武器に、全国に猛アピールできるこのイベントは、実験的な枠を超えて私たちの地域への好奇心を刺激してくれます。

ところが、昨年辺りから国と地方自治体との利用方針の乖離で、返礼品の選定とその見返りの考え方に温度差が広がって来ていて、みなさんご存知の通り国の意図を超えた地方の施策の在り方の上で、一部の自治体にペナルティをかける事態に陥っていますが、今回は国と地方と納税者の微妙な三角関係について、地元愛と利害を整理します。

 

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ふるさと納税規制「総務省のメンツを潰した自治体」に下された不条理(ドクター Z) | マネー現代 | 講談社(1/2)

 

 引用記事の通り、とある地方自治体の返礼品にAmazonチケットに採用したことで、総務省から叩かれた経緯が、今までの指導レベルでなく実質的処分にまでおよぶことになった一連の話は、いよいよふるさと納税による総務省の地方対策の本音を浮き彫りにするにいたったわけです。

利用者である納税者目線で一義的にも某自治体への「違和感」「不当」という印象がないわけではありませんが、地方自治体から見れば三重県鳥羽市)の真珠が返礼品として認められなかった事例にあるように、過度な「行政介入」「圧力」とする自治体の本音があり、利用者の納税者としても今回の総務省の処分はメリットの目減りを呼ぶものでした。

 

 それぞれのスタンスにおいて、さまざまな反響を起こしたこの施策は、建前を通した国と本音を嘆願する地方自治の位置関係の縮図として見ると、地方創生を扱う筆者としては興味深いことがいくつか見えてきます。

今回の結果から、国は依然として地方を統制したい立場であり、地方自治体は予算不足・裁量権の拡大したい立場だし、納税者は節税対策と地域貢献の貴重な体験の場として機能した実験の場が、今後どのように機能・発展していくかは興味深いです。

 

その三角関係のなかで筆者の意見としては、本来納税者のメリットが優先されるべき施策であるべきと考えており、国はその範疇で地方位自治体を指導し、正しい納税意識とそれによるメリットを広める、その一環として地域愛を育むとする方針が、一貫するべきと考えていますが、足並みがそろわない現実を見るとまだまだその域に到達するには程遠いようですね。

総務省を含め国・地方組織の縦割りの常習化と弊害が、こうした納税者へ納税メリットや魅力を半減させている事実は、国の納税者に対する意識に疑問を投げかけるものだと思えますし、そもそも政府が納税者に対して行う「国民であることへの還元」に統一意識が不足していると見ることができないでしょうか。

 

主人公であるはずの納税者に対し、国の意識は「納税は当然」という意識が先走り、本来「納税を促進」するべく始めたふるさと納税は、主役を飛ばして中央と地方自治チキンレース化している現状に、納税者が振り回される姿が浮き彫りになっているのではないか、ということを言いたかったのです。

この点において国・総務省の横連携がギクシャクしたことで余分な税金が投入される温床につながり、地方自治体の懐事情の厳しさが福利厚生の充実化の問題をあらわにし、納税者へ不信感を強める結果になったことで、今後少子化による納税義務・意識はますます遠のいていくのは見えています。

 

その納税離れの反動は、今後政府の強制意識を呼び起こし、地方自治体をさらに追い込みかつてのソビエトや、現中国のような「統制社会化」の理由付けにつながる危険性もありますが、そこまで言わないにしても資本主義経済社会において、国民の納得による納税と国の正当な納税者への見返りの関係は、正常でなくてはなりません。

国の存続において税収によって動くお金は血液のようなものであるだけに、心臓に当たる国が、血管に当たる地方自治をバランスよく配置し、細胞である国民納税者をほどよく生かせないシステムは間違いなく破綻するだけに、私たち納税者は目先の節税だけでなく、こうしたイベント一つに対してもより良い恩恵を受けられるように、声を出し続けなければなりません。