くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

返済不要、株式配当金で国内初、大学向ファウンデーション

 いよいよ参院選が来月10日から始まりますが、先日日曜日に名古屋市でも大通りを練り歩く高校生たちの、18歳選挙権実現に向けて奨学金の無償化のシュプレヒコールが大きく響いたばかりです。

 

f:id:kromaryu:20160625174723j:plain

 

 今その選挙権を持つ成人は高齢化していることから、明らかに未成年である子どもや若者に対し不利で、高齢者対策を中心とした行政が執行されるケースは、どうしても多くなっています。

 そのためかどうか、成人でさえ選挙に関心が薄れてる中で、政治に触れる機会も無く関心の薄れている若者の選挙意識も危機的な状況にあるようです。

 

 同市千種区の名古屋大キャンパスでは、同大の学生ら5人が模擬投票所を作り来場者に「投票」を呼びかけた。

きっかけは同大院生の斎藤幸男さん(22)が、首都圏の大学生らで作る「若者×未来プロジェクト」が10〜20代を対象に行った意識調査の結果に驚いたことだった。3〜5月に街頭やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じ約5000人が答えたもので、「誰に投票しても同じ」「めんどくさい」との回答が上位を占めていたという。

 ただ昨年から、全国でも学校や教育機関で準備委員会を発足するなど、18歳選挙権取得に向けての選挙活動への準備を進めてきました。

 冒頭で名古屋のケースを紹介しましたが、全国でも積極的な活動や意見交換・ディスカッションが開かれ、高校生・大学生の模擬投票や、後援会で選挙参加への意識を高める活動が、成人の有権者にもそうとうの刺激になったように思います。

 

 名古屋市中区の大通りで学生団体「SEALDsTOKAI」のメンバーら数百人が、リズムに合わせながら「選挙に行こう」などと大声で沿道を練り歩き、啓発パンフレットを配布したり、大学進学意識が高くても授業料が高ため、進学に際して政府は教育にもっとお金を使うべきだと訴えたり、奨学金の無利子化を要求する声をあげた。

 高校生が、生来しかるべき要求をこのようにしなければ伝わらない現状からして、いかに国の政策が若者への冷遇を招いていたかを、痛烈に訴えるエネルギーはこのあとの選挙に大いに繁栄してほしいと願うばかりです。

 

 さて、学生の学びの環境は、筆者が学生の頃と比べれば大学進学率も上がったかに思っていたのですが、昨今の世相は多様化して単に大学を卒業すれば、優良企業への就職が約束されることはなくなりましたし、そもそもレール自体を学生自身で引いていくアメリカなどのスタイルが主流になっています。

 さらに、地方によっては企業の衰退の影響で大学と産業の就業連携が弱く、地域産業の活性化につながっていない現状があります。

 

 その問題解決の大きな可能性として、愛知県で全国初の企業融資による学資ファウンデーションが発足しました。

 名古屋大学名古屋市千種区)と名古屋工業大学(同市昭和区)は24日、寄付された株の配当を活用した給付型奨学金を創設したと発表した。「ものづくりを志す学生に」と、業務用冷蔵庫大手のホシザキ電機(愛知県豊明市)の坂本精志会長夫妻が、新たに設立した会社の株を両大学に4万5千株ずつ寄付した。配当を原資にした奨学金の運用は国内初という。

 

 愛知の地域産業である、 ホシザキ電気が起こしたファウンデーションは、地場の主産業である機械製造業の将来に危機感を抱いて、国内に先んじてのことだと言う。

 

 前回にも、地域産業の継承者確保の困難さを記事りましたが、一方で良質な地元の専門学生を創出する地元の大学・大学院に対して先行投資する発想は、今まで日本にはCSRとしての慈善金補助制度はあっても、産業振興を目的にした株式配当金での補助はありませんでした。

 ただ日本では長く民間企業と学校との連携は、政府・自治体が資本経済との直接連携をしなかったせいか余り考えられてきませんでしたが、最近の愛知県は有料道路の民間企業の管理譲渡を進めるなど、積極的な民間企業連携を柔軟に取り入れています。

 

 今までは一部の企業が、就活を有利に展開することへの危惧ともとれますが、地域産業をより成長産業へ発展させるために、ここにきてその手段の多様性を広く求め、民間と学校との合理的な連携が実現を始めたことになるのです。

 そして官民で実施してきた、国内先端産業の開発はこれからは民学共同の事業へと主流が移っていくのでしょう。

 

 事実、すでに愛知県を例に言えば、かつて名古屋市名古屋大学がバスレーンの事象実験を進めてきましたが、最近では次世代の交通システムと呼ばれる、自動運転システムの全国を先んじての、トヨタ自動車名古屋大学との研究開発がニュースになっています。

 

 結局、こういった世界でも類を見ない最先端技術開発は、専門性をもたない政府が介入するよりも、専門家同士の民学共同の方が進行もコストも少なく済み、しかも合理的ですので、今後も積極的に眠る大学の研究成果を、地元企業との連携で地域産業の活性化を促進する起爆剤に活用すべきです。

 

 24日、世界ではイギリスがEU離脱という世界経済の多くが期待しなかった方向に舵を切る選択を国民選挙で可決しましたが、この選択がこれからさまざまな経済への影響を与えていくのは明らかです。

 今まで考えられなかった大きなリスクを選択しても、自らの意志で生来を切り開こうとする動きは、他の国でも加速する可能性が高くなったと言えます。

 

 日本でも、政府が地方の行政に主体性を持たせ、地域の経済活性を促す動きに各自治体はそれぞれの答えをだしていかなければなりません。

 一国内自治体の範疇でも、今までに政府に一任していた様々なリスクを自ら背負って、逆にそれを武器にして海外展開を積極的に進める準備は必要でしょう。

 

 遠く離れた日本と同様の島国の決断は、そのままではないにしても、日本のこれからの決断をせまる前哨戦のようなものと筆者は受け取っていますので、今からそのための地域産業のテコ入れはしっかりしないといけないのです。

 

地域創生のキッカケのカギを握るモノづくり

 

 参院選公示されましたね、皆さんの自宅にも選挙のお知らせ届きましたか?今年から18歳以上の未成年者も選挙参加して活性化が期待できそうです、成人も押されないように投票に行きたいものですね。 

 

f:id:kromaryu:20160624164613j:plain

 

 さて、地域創生のカギを握るポイントを過去2回ほどで記事っていて、やはり成功のカギは、それぞれの地場の主産業を安定させ効率の良い運営に尽きますが、日本はモノづくりを得意としている国で、その得意分野を最大限生かすには、製造業でも積極的な海外進出と市場開拓の重要さをあげてきました。

 

 一次・二次・三次産業の見直すべきポイントは、それぞれ異なる点は次の通り。

 農・林・魚・業では主観組織であるJAや地場の協同組合との連携をしていくのか、少数単位でも新しい物流・販売網を模索していく選択が重要です。

 既存の流通・組織の改善に依るところは大きいですが、この改善を組織に依存するのか、自ら乗り出すかは大きな分岐点になるでしょう。

 

 製造業では、設備の見直しと合理化、特に新しい技術との連携をどのようにしていくか、自社の特徴をどう打ち出すかを見極められるか、またそれによって飽和状態の設備や機器をを地域単位で共有していく必要もあります。

 

 商業・サービス業が主なのは大都市を持つ限られた地域になりますが、海外訪問客をメインターゲットにした観光との連携の強化・利便性の充実の課題があります。

 今様々な形でストックされつつあるビッグデータを端末デバイスを介して、いかに消費者の動向をつかみ、商品購買意欲につなげていくかは、大きな課題です。

 

 

 筆者在住の愛知県での主産業は製造業と言われていますので、二次産業を例にとると、まず様々な技術革新が毎日のようにニュースになっている中で、常に新技術を提供する企業の動向や、その活用方法についてアンテナをなっていなければなりません。

 機械工業なら、3Dプリンターの性能の進化が半端なですね。

 

 ニュースでは、色にして36万色を塗り分け、素材も樹脂だけでなく注目は金属成型も可能で、一度に成型できるパーツの最大サイズが60センチ角と言いますから、展示会にも実物展示があって、自動車のエンジンパーツ(シリンダーブロック)を展示、製造機は1.5億円だそうです。 

 驚くのは成型制度で、ほぼそのまま製品として利用できる制度・品質だそうですが、近いうちに製造コストが見合うようになれば、機械産業の分業方式・コストは格段に下がります。

 

 一方金型産業などは脅威になると思われますが、逆に中小企業にとって金型原型成型の技術を強みに変えビジネスチャンスとなりますし、3Dプリンターのコストダウンで製造業のイニシャルコストダウンが実現するチャンスと見る向きもあります。

 砂型で製造する業界でも3Dプリンターで原型を作成し、鋳造型を成型できるメリットは大きいでしょう。

 この場合長い目で見てみると、人件費削減につながるため、普及すると一気に雇用削減となるので、就職活動する方々には悲報となりますが、どのみち職人の確保が困難になっていく現状では、メリットのも大きいのではないでしょうか。

 

 ただ、愛知は機械製造メーカーも大手が在籍し、トヨタ自動車三菱自動車や、三菱・川崎・富士重工などの大型工場が、二次・三次下請け企業を損切しだすととんでもないことになりそうで心配ではあります。

 また世間でも、鴻海に買収されたシャープは、当初されないと言われた人員削減をする可能性を示唆しており、せめて国内大手メーカーは、地域における立ち位置を十分考慮した企業連携をしてほしいものです。

 

 このように各地域によって使えるカードは様々ですが、いずれにしてもしっかりした現状の把握無しに計画・予算確保ばかり先行させたり、ニーズも確かめないままとりあえずなんでも有ります、みたいな大風呂敷広げた売り込みは、失敗しかねません。

 

 ついでに観光業のケースで言えば、販売力や集客力と言われる類のノウハウに力を入れられていない地方の現実が、より見込まれるはずの顧客を自ら見逃してきた事をハッキリと示しているようです。

 ことに受動的な慣習の強い地方の空気が、ただでさえ全体像の見えない地方ではその傾向はさらに増長していますが、ネットで比較的容易に社会の全体像を掴み慣れている、若者世代をトリガーとして企業は、地域の市場を把握することが重要になっていますので、むしろ大きな市場を狙わずとも、ニッチな市場をどう掴むかがカギになるかもしれません。

 ---------

 今まで地方単体のクローズド(閉鎖的)でしかなかった産業活性化・設備投資は、予算やモチベーション持続の上で、非効率ではないかと考えられるため、孤立した企業が正当な評価をされることなく、倒産に追いやられる事例が後を絶ちません。

 地域によって産業は様々と上でも申し上げましたが、本来モノづくりの技は故有って連携して、その地方に根付いたものですが、いつの間にか孤立化した技術は今、単に時代遅れだと切り捨てられようとしています。

 しかし本来は今でも優れた技ですし、その貴重な地域の財産を絶やさないためにも、昔本来からあった地方同士の技術・物流の連携を、今一度重見直し要視することで資産として伝統技術を、継承する仕組みの見直しを積極的に行う時代になっているのでしょう。  

  地域創生をするために講演会やセミナーからのキッカケづくりは、優れた指摘をするものも多く、実になるものですが、受け取った事を実行に移せるかは別問題で、そのためには実行者の存在が大きく影響していくと言われます。

 

 通常受容型の人が圧倒的におおく、せっかくの高額セミナーに参加しても、参加自体が目的になりそのまま完結するケースは避けたいものですが、そのためには少しでも早く受容を期待する人の中に、一人でも多くの実行役に向いた人を見いだせるかで、動きは全く変わってきます。

 しかしキッカケからそのキーマンを選定するのには人材の保有数によって時間がかかることもあって、計画の初期段階では自治体主導の進行をせざるをえませんが、地域住民の中から如何にまとめ役に値する人材を見いだせるかは、キッカケを成功の大きなカギにならないでしょうか。

 

 そのため自治体内だけでなく、場合によっては公務員特別枠を設けたり、一般住民への公募も視野に入れて、地方創生の水先案内人に相応しい人材に絞った施策も必要になるでしょう。

 

 

多賀城市
16議案発表 地方創生事業など /宮城

http://mainichi.jp/articles/20160611/ddl/k04/010/092000c

  特に九州や北海道・東北地方などの首都から離れた地域は、夜のマスメディアからの評価が薄く、自助努力で地域活性化を図らなければならず、最近ようやくその努力が実を結ぶなどのニュースを取り上げられました。

 

 

 産業の合理化にはリスクはつきものですが、そのリスクをケースバイケースでいかに上手にかぶっていくかは、頭の痛い問題です。

 一次・二次産業には、新しい今後伸びると予想される革新技術・製品をいかに導入して商品開発に生かせるか。

 三次産業には、都市部でのITやデジタルデバイスを効率よく利用して、販売コストを下げられるか? あえて人口減少する地方への利便性を高めて、安売りしなくても信用度を高めるか。

 地方ごとに異なる市場の状態と手段の選別は、十羽一絡げにできないフルオーダーの課題ですので、同じ道具があっても活用方法は千差万別と言っていいほど、活用する側の機転が要求されるものです。

---------

 江戸幕府に始まって以降、明治維新後も東京への中央集権化の流れは引き継がれ、地方の産業は相変わらずの自助努力を必要とされてきた中で、ここに来て地方創生事業での地方への分権化はさして変わらない状態が続いています。

  今、地域の官民の動きを少しでも活性化しておくことで、成功事例を弾みに、地域経済が市場へ積極参加するのは、政府の次回政策に物言う力と経験を積むのに、とても有意義な事です。

 

 今までの地方経済が弱かったのは、政府も経済効果の集中化に力を入れてきたのもありますが、地方自治体も政府への依存体質を緩めなかったのも原因と見られます。

 この政府の集中政策はさておき、依存体質の取れない地域の活性化はとても実を結ぶとは考え難く、予算の確保の独自ノウハウや確保した貴重な予算の集中投資を、効率よくこなす市場観察力は、何をおいても地域自治体にとって確保しておかなければならない、必須命題ではないでしょうか。

 

  いずれにしても、モノを作って売る以上、トレンドや顧客の意図や好みを収集しやすくなっている今は、その収集した情報をいかに処理して製品開発・製造・販売につなげるかはどの産業でも共通したメリット・デメリットです。

 このどちらを取っていけるかが、これからの生き残りに重要な要素になりそうですが、今国内外の政治動向は、皆さんもお感じの通りとても混乱を極めていて、すでに政治と経済の動きが同調しなくなっています。

 

 大手企業は、すでにそれを見越して独自の市場調査を介して、製品開発を実行していますので、この流れは中小零細企業においても必須リスクとなります。 

 それならば、その現実をどう解釈して行動するかはおのずと自分にかかってくることですので、少しでも早い判断で地域創生の流れに乗っていくべきでしょう。

 

 

 

 

 

人口減少の時代、技術の継承者を育てる工夫

 

 今までは人気だったサラリーマンの仕事は、脱終身雇用・非正規雇用の拡大によってその魅力は色あせ、公務員雇用へ人気が集中するという、職業のバランスのいびつな姿が、目立ってきました。 

 

f:id:kromaryu:20160620224035j:plain

 

 この業種の偏りに加えて子育てしやすい街づくりや、日本の自慢だった産業技術と地域の主産業の担い手不足と併せて、少ない若者確保合戦の様相さえ見えています。

 さらに気にかかるのは、戦後から続けられている義務教育・公立学校での画一的な教育制度です。

 

 ただでさえ、パイの少ない将来の大人になる子供たちには、様々な可能性を秘めていてしかるべきですが、日本の教育特に義務教育は海外の子ども教育に比べて、画一的で個々の才能を伸ばすのに向いていないと言われます。

 

 最近になってようやく、個性化重視のカリキュラムや、自分で考える力を持つのに重点を置いた教育など、見直された面は評価したいですが、かつて今の社会にそぐわない教育で育った大人が、子どもに対して同様な教え方しかできないことが往々にしてあるなど、新しい教育の効果を引き出せていないとお感じの方も多いでしょう。

 

 大企業ならともかく、いまだに中小企業でさえ終身雇用が普通だった時代の慣習のままで、ワークライフバランスの悪い生活を強いられていて、相変わらず集団行動を是とする社会風潮が抜け切れていません。

 社風として、一致団結する結束力はたしかに大事な要素の一つなのかもしれませんが、日本の場合はそれをプライベートにも持ち込む傾向があって、ほとんどの企業は正社員に対し副業を禁止しています。

 

 優秀な若者にとって、マルチキャリアは魅力に映っていて、優秀な者が会社を去っていくのを止められなくなっている中、その新しい世代を育てる前に、いかに企業の魅力を出して引き留めるか、逆に才能あるものに関心を持たれる仕事をどう発信していけるかは、企業努力と継承者育成のキーポイントになっています。

 

 この伝統的な企業体質は、かつてのように良い面よりも、社員の個性能力を均一にし、選択を狭める傾向が目立っているのに、危機感を感じざるを得ません。

  もっとも需要の大きいサラリーマンの世界でさえ、このような課題をかかえているのですから、職人のような技術が売りものになる職種での継承や教育方法の開発を急がねばなりません。

 

 そのヒントとなる事例や、キッカケは無いものでしょうか。

 以前すし職人を育てるスクールのニュースを見ましたが、ひところの職人の世界は、寿司屋に方向に出て十年くらいは寿司さえ握れず、下働き中心で上下関係が強く、漸く握る技を覚えるにも、技を盗んで覚えるのが当たり前とされていて、一概に実力が認められるのにそれ相応に時間と忍耐と努力が必要でした。 

 

 これはこれで、職人の世界は全うだとされてきたわけですが、いつしか3K職種の仲間入りして職人の世界を若い世代が関心を持たなくなっていきました。

 また、伝統産業などの世襲職でさえ跡継ぎがつきにくく、技のレベルは大変高いのですが、高齢化して技の受け継ぎさも困難な業種も多く、継承方法の大きな転換期が来ているともいわれています。

 

 いま国内外で日本食ブームに乗って、外食の一部が職人の技術継承に一つの解決手段として、成功している例があると言います。それは技術継承を外部のプロデュース企業に委託しているケースがあって、日本では寿司より人気の高いラーメンの学校が人気高いので、その具体例も多いようです。

 

 ネットで探しても結構見つかりますし、ノウハウを完全数値化して、たった1週間でラーメンのプロを目指すラーメン学校もあるなど、かなり高度なレベルで外食産業のノウハウのビジネス化が進んでいるという、驚きの事実があるようです。

 その技術やノウハウは、実際にプロとして店を運営している実践者の実際のノウハウが、余すところなく数値化・マニュアル化できたことで実現した、かつての慣習ではありえなかったことです。

 

 3Kの職種でもう一つ課題とされるのは、土木建築に携わる若手の減少がすでに慢性化していて、長期勤務者も高齢化が進み、海外移住者に依存しているところも少なくないとかという、深刻な状態なのですが、この業界でもようやくいくつかの見直しが進んでいるようです。

 

 若手が集まる、1か月半で職人がそだつ左官業システムを構築した左官業者でも、業務をしながら合間に効率の良い教育実習を組み込んで、集中的に習得させる。

 見て覚えさせるのでなく、要点を正しく理解される様に積極的に働きかける、学ぶ方も集中できて成果も見えやすく、モチベーションが続きやすいなど、新たなプロの育て方で人材を効率よく育てて、無駄な時間を業務に充てる方法は、注目されるでしょう。

 

 この課題に危機感を持った人や、新たなビジネスの切り口の開拓に動き出す企業が出ているようで、前出の寿司職人専門の専門学校で、ネタのしこみから握りなどの寿司職人の技術面を身に着けられるのはもちろん、客を引き付ける美しい盛り付けや、接客方法までが一定額の受講料を支払えば、もれなく学べるというものです。

 

 こういった工夫が行われる事業は、3K産業でも人気業種だけで、全体で見ればまだまだごく一部の改善例と言えるでしょう。

 若者世代は、ネットネイティブなどと言われるように、今までの世代が動いて体を動かして学んだり覚えたことを、比較的見聞きするだけで覚えられてしまったり、体験必至だった世代と比べると、仕事の嗜好はどうしてもデスクワークになりがちなようです。

 そうすると、経験や習得に時間がかかる職人系の仕事は好まれないようで、まずは体験の面白さから始めないと、なかなかその面白味や凄みが分かってもらえないとか、スタートラインからして、ハンディがあって継承すら難しいのでしょう。

 

 ここで、一歩次のステップへ進行するには、現役世代と若手世代の綿密なコミュニケーションが重要なカギになります。

 実際若者世代の中でも、手の器用な者や職人に魅力を感じている者は、少なからずいると思えますので、まずは地道に才能の芽を探していけるかが、カギになるのでしょうか。

 

 そのためには現役世代の方は、今一歩引いて周りを見回してみると、そこに有能な若者世代がチャンスを探しているかも知れないので、その機会をいかにたくさん作って、窓口を広げておくのが良さそうです。 

 その可能性の芽を放置するか、育てるのかは現役世代の腕の見せ所であり、職人であっても経営者の目を持つ、またはそういう人材を用意できるかにかかっていると言えるでしょう。

 

 かつて芸能でも文化でも、もちろん産業でも足で渡り歩いた行商人や職人によって、その交易が盛んにあったことを紐解く迄もなく、今こそその良き習慣を有効に使うべきでしょう。

 足繁く協業者を探して提携や連携を組む、近場の地域なら技術や職人そのものの共有も視野にいれないとならないかも知れません。

 

  そうでなくとも外の状態を知っていく若者世代が、可能性に引っ張られて出ていくのを見過ごすことはありません。

 彼らとて地元で成功出来ればそれに越したことはありませんから、たくさんの経験を地元を通してさせられれば、地域に有益な結果を期待できるでしょう。

 

 継承者を育てていくには、当事者がさらに一歩歩み寄り、積極性を感じさせられれば、興味を持ってもらえる地場産業はまだまだたくさんあると思えてなりません。

 いっそう自治体を巻き込んだ魅力づくりが、相手に届いてこそ本来の継承となることを、まず自分に問いかけ何度でも見直さないといけないのでしょう。

 

 

地方は埋もれず大志を抱け。西へ東へ飛び出せ地域の国内ベンチャー

 経済ドキュメンタリー風なタイトルで記事る今回のテーマは、海外進出に足踏みする地域の小規模・零細企業にエールを送る意味での事例を基に考えます。

 

 

 最近のニュースで少しづつではありますが、このままでは地域で埋もれてしまいそうな良質の産業・製品が、国内の市場減少化からの危機感から、海外への市場開拓を進めて成功する事例紹介を見るようになりました。

 これは大変良い傾向ではあります、ただ実際に携わっている当事者にとっては、その成功までの道のり半ばで足踏みする企業の方が圧倒的に多いのは、周知のとおりです。

 

 そこで、少しでもその突破口を開くための模索をトレースしようというのが、今回のテーマですが、特集などの事例をじっくり拝見すると、共通するのは会社の特徴を絞り込んで、海外のどこで展開していくのかをリスクを取って判断している点です。

 

f:id:kromaryu:20160618195450j:plain

 

 どの道このままでは、じり貧になるのは自明の理いわゆる「窮鼠猫を噛む」の状況になる前に、自社の強みと弱みを勇気をもって見直した上で、出せる資金の範疇で自己責任の市場開拓に行動する姿勢が、結果を生み出している現れが、こういった成功のカギと言われるのでしょう。

 

 宮崎県の寿司屋の跡取り村岡浩司さんが目指した、オール九州の穀物をブレンドした、ふわもちで大好評のケーキミックスパウダー。

 震災を受けた熊本は黒米、鹿児島はうるち米、宮崎は発芽玄米、大分は小麦、福岡は赤米、佐賀は胚芽押麦、長崎はもちきびという、産地では古くから生産されていた穀物を宮崎でブレンド・製粉している。

 だから、その名も「九州パンケーキ」既に東京進出済だそうですが、全国展開するかと思えば、なんと台湾・シンガポールなど海外進出4店舗目だとか。

 村岡氏は、中武さん(一般主婦)が元々個人で少量生産して自宅や、地元の道の駅で細々と販売していた、手作りのジャムやシロップに注目し、スカウトした上で、九州パンケーキと一緒に販路拡大展開を目指す。

 九州が地理的ハンディを逆手にとって、アジアの中心的な市場開拓を目指すのは、とても理に適う。

 

  典型的な、地方の現状から芽吹く可能性模索の好事例と言って良いでしょうか。

 最近のTV番組の特番には好ましい成功事例を追ってくれる番組が散見できて、モチベーションアップにはもってこいです。

 

 では、次の事例に移ります。

 ビール業界では小規模メーカーで10種類以上の個性派ビールを生産する、長野県佐久市のヤッホーブルーイングの井出直行氏。

 ヤッホー社の起業は、ブームともなった地ビールが全国で起業した時で、小規模の200社の地ビールメーカーが存在したものの、ブームが去って五里霧散した後、生き残ったメーカー。

 時代が去って、地ビールがクラフトビールと名を変え、再チャレンジの気運のなかでヤッホー社は、、急成長していると言われながらも、業界競争の厳しさから、リスクを取って市場開拓に出る。

 ビールの種類は大きく2種。大手がラガービール主体に対し、ヤッホー社などのクラフトビールメーカーは、エールビールで市場が分かれる。

 

 同社は、国内でのブランディングも成功したことから海外に打って出た。次の販路開拓先は、ビールの本場アメリカ大陸へ。 

 アメリカは4000社ひしめくクラフトビールメーカーが存在し、米国内でもスーパーの売り場では、5年ほど前から大手のバドやクアーズが隅に押しやられるほどの勢い。(あるスーパーでは600種を販売。)

 ワイン感覚で風味も味も個性的なクラフトは大人気な、今最も個性派ビールがアツい市場でもある。

  ヤッホー社は、ゆずを使ったビールを米メーカーと共同開発し、一気にアメリカ市場へ打って出る作戦に加えて、国内でも鰹節の旨みだしをフレーバーに使ったクラフトビールも開発し、二本立てでアメリカ人の心をつかんでゆく。

 

  これは、かつて流行った地ビールブームからの脱落した企業の多い中で、自らの個性を見つめ続けて、数歩も突出出来た信念の大切さを教えてくれる事例です。

 この位の零細・ベンチャー企業は地域に最も多いのでは無いでしょうか。基本的に個人一念発起し起こした経営がベースですので、この自然薯のような粘り強さは、同じ志しの起業家には大いに励みになるでしょう。

 

 前例の九州のケースと合わせると、熊本の甘夏マーマレード・ゆずと言う、日本を代表する柑橘系フレーバーが隠し味になっているのは興味深い偶然ですね。

 地道に地場に眠る特性を足で稼いで探し当て、地道に育てる姿勢は、殊に地域に産業らしい好印象さえ感じました。

 

 さて、最後には中小企業でも大手ですが、伝統のある企業が新たな試みに船出する、リスクを恐れない事例です。

 埼玉県深谷市が休遊地に再開発までの一時的に依頼された、ガーデンプレイスを増築、コンテナの持ち運びの良さと、ガーデニングとセットの暮らしをセットの「コンテナガーデン」として販売する戦略。

 東京四谷400年の老舗中堅ゼネコンの綿半が、コンテナベースで加工した簡易住宅ユニットと、新規で始めた庭園とセットの自社製品として、生き残りをかける。

 緑化商品を開発し、海外展開を目指すそのきっかけにすべく、綿半は北欧イギリスに目を向ける。

 毎年5月にイギリス・ロンドンで開催される、伝統的なイベントとして知られる、花と庭園の祭典チェルシーフラワーショーへ。

 コンテナと造園技術で作った新しい庭のコンセプトでショーガーデン部門、600社もの事前審査で綿半が残った。東洋と西洋の融合の美、コンテナを額縁に見立てた静の日本らしい落ち着いたガーデンプランを展示。

 新しい立体的な壁面緑化棚のデビューでもあり、評価も上々。

  この伝統的な権威あるガーデンショー審査で、シルバーメダルを獲得し見事に新商品の市場性を証明して見せた。

 

 経営者はかなりバランスの取れた、私見の持ち主でいらっしゃるようです。

「切り口は、モノ売りでなく価値を売っていく。」

 そうです、見る目が狭くなると、人は目先で作っているモノだけに目が行きがちですが、経営者たるもの目線を離して自分が扱っている商品を、モノからサービスへと見方を俯瞰化したことで、自社の得意とするモノを再解釈して、新しい商品を見つけ出した好事例でしょう。

 

 筆者が特番などで拝見した幾つかの事例を垣間見て来ましたが、こうした事例をどう落とし込んで、オリジナル化できるのでしょうか。

 

 筆者の住む身近な地域で考えてみて、愛知ではどうだろうか? と考えた時に、繊維業でにぎわった中京地区、学生服は少子化個性化している中で、少量生産でヒットを狙える、なんちゃって制服はねらい目ではないか? などと思い巡らせることができるでしょう。

 また、愛知時計の国内シェアートップの水道ガスメーター技術、日本の水道治水・浄化技術とセットで、アジア新興国への展開は不可能じゃないと思ったりもします。

 さらに、一次産業で見ても農村部の広大な遊休地は、注目されながらもこれから規制の大きいドローンを使った管理方法を模索したり、ドローン操作習得の練習場として注目されてもいいかもしれません。

 

 

 地域の観光において宿泊施設不足が課題になっている今、民泊制度作りに注目が集まるなど、ここ数年来この先も含めたダイナミックな環境変化が見込まれる中での、様々な分野での法整備が待たれる段階にきています。

 たとえば民泊で言えば、建築基準法やホテル観光関連法など、積極的に地方自治体に委任すべきところは分散したり、中央集権化しすぎた管理方法を解体し、連絡を密にして管理方法の共有を柔軟にできる約束事を法案化すべきでしょう。

 

  グローバルビジネスの渦に巻き込まれるこの時代に、狭い日本で都心に情報集中化させるメリットは薄れていますが、官公庁の物理的分散より蓄積された情報・ノウハウのITを活用した分散・共有化を急ぐ方が、重要と思われるほど海外の動きが加速度を増しています。

 タテ社会の情報集中化は、海外での孤立化を助長するだけです。ヨコまたは並列社会の情報共有化を急ぐのが、もっとも優先すべき課題と見ています。

 

  政府の動きが遅ければ、地域自治体や個々の企業単位でその流れに対応していくしかありませんが、海外に打って出るにはまずITを使った情報収集になれることと、その情報を基に、実際海外へ出向いて足で地域の間隔を肌で感じる行動力が、成功のエッセンスになっているのでしょう。

 

 高齢化が進んでいる職種には酷かもしれませんが、ネットネイティブと呼ばれる若手を呼び寄せて、まずは小さな情報収集を今から初めていかないと、たった5年先の未来をも読めなくなっているかもしれないのです。

 

 めまぐるしく変化する世情を、どのようにして掴んでそこに地域の強みをアピールしていくのかをこれからの地方自治体や地場企業は模索しなければなりません。

 今になって、少しづつ現れている成功事例はその類まれなる努力の決勝であり、次に続く新しい可能性への期待に他なりません。

 

 大いに期待を持つこと、そして強い信念をもって荒波を乗り越える広い目を養うことが、まずは道先案内が居ないでさまよっている方たちの当面のテーマになります。

 

 

 ここでの成功のカギになるのは、如何に数少ない次世代の継承者を育てるのか、という命題ですが、その鍵をまた別の機会に記事リたいと思います。

 

 

ご当地キャラはつらいよ、「乙きゃら」華々しくも縁の下の力持ちたち

 阿蘇にまた余震が起きて、くまモンも復帰どころではないですね、こういったマスコット・キャラクターは子供から大人まで、フレンドリーにイメージを伝えやすい筆者も大好きなものですが、今回は頑張るイメージリーダーの現状に触れます。

 

f:id:kromaryu:20160615090016j:plain

 

 地域を盛り上げる方法はいくつかありますが、やっぱりわかりやすくて親しみも持ちやすいのは「ゆるキャラ」や「ご当地アイドル」ですけど、これがなかなか大変な世界だと言われています。

 

 「ゆるキャラ」ブームもひところと比べ、作ればイケイケどんどんなアピール度も収まってきて、単にゆるキャラ作ればイメージアップというわけにいかなくなってますが、その分イメージキャラクターの役割が小さくなっているかと言えば、これが見る側の見方が慢性化した分より効果的な使い方をしないと、せっかく住民を巻き込んで作ったシンボルが台無しになる。

 

 さらに現実的な話、中には人が入っていて、普通の俳優さんより過酷な労働? 条件になやまされるという話も聞くし、あのくまモンなんかあまりの人気で中の人ひとりじゃとても回らないだろう、って……心配になる。

 

 ちなみに野球ファンならおなじみの「球団マスコット」これも地域・球団イメージアップに無くてはならないアイテムだが、例えば筆者地元の愛知では中日ドラゴンズの「ドアラ」がいる。

 このドアらマニアさんに言わせると3代目だそうで、よく見ると微妙にデザインが変わっているらしいのですが、中身の人は変わっていないのだとか。

 さすがに球場の晴れ舞台で、派手なバク転決めて目立ちに目立っているので、ちょっとした一挙一動をファンのみんなは許さないから、中が変わると判るらしい。

 

 しかしあれだけの動きをしたら、中はサウナ状態だろうし、相当過酷な仕事だと思うし、人気のキャラは「ふなっしー」みたいに高額キャラも狙えるかもしれないけど、大半のマスコットは、全うに食っていけるほどの収入もらってないのだと思います。

f:id:kromaryu:20160615090748j:plain

 

 こういった、民間のキャラでもこうなのだから、自治体で運営するご当地キャラは、推して知るべしで、ほとんどボランティアの住民さんか、市町村役場の職員とかが兼業で扮しているなんてのも少なからずなのは、察しがつきます。

 

 岐阜市のなかで、柳ケ瀬限定の非公式キャラが一世を風靡しました「やなな」という女性アイドル風のゆる?キャラでしたが、結構お金かかってなさそうでしたが、素顔を絶対見せない秘密を持っているところがアイドル神秘性とダブって、ある意味ゆるキャラでは異色で好きでした。

 人気がありましたが、任期が切れて継続はされませんでしたが、あの試みは画期的だったように覚えています。たしか彼女も100%ノーギャラだったはずです。

 

 その後くらいから正統派ゆるキャラだけじゃなく、邪道派というか愛されるだけじゃない敢えて嫌われるキャラが、ラインナップされてゆるキャラ観光戦略も、より幅広くより複雑になっていきました。

 これだけの努力をしてでも、継続する価値があるのか? と言ってしまえばそれまででしょうが、お金や効果だけでは出ない地域への思い入れやリアルに貢献しているという思いで、中の人は日夜頑張っていると思うと、ここは光を当てずにはいられません。

 

 もうひとつ「ゆるキャラ」と同様に、観光客をのハートをわしづかみにしているのは「ご当地アイドル」ですね。

 愛知県で「ニンジャ」名古屋じゃ「武将隊」、この地域は何度も紹介している通り、戦国時代の歴史がウリなので、結構積極的に一般採用方式で、はじめは一般人の雇用創出でイケメンさんを募集したのがきっかけでした。

 その後入れ替わりをするうちに公募で俳優さんを充てて、イケメンブームの走りも手伝い、歌って踊れるショー形式のイベントが、史跡観光の興味のある女子観光者のニーズに合って、あらたな観光イメージアップに成功しました。

 

  名古屋のおもてなし武将隊織田信長加藤清正が今年春に交代しましたが、愛知県観光の応援部隊である、徳川家康と忍者隊のニンジャも公募が春にあって、晴れてかねてよりニンジャにあこがれていた、ブラジルの青年がその熱意で採用を獲得されました。

 彼は、決して潤沢ではない給与ですが愛知県の公務員として雇用され、大変なマイノリティではありますが、外国人雇用の一つの可能性を見せた、興味深い事例でしょう。

 

 地元でも、トヨタや機械産業の下請け工場で大量に期間工として雇用された、外国人が多く、家族も一緒に住んでいますが、こうした演芸分野での採用は画期的なのではないでしょうか。

 彼は、ニンジャへのあこがれがある限り、慣れないこの地で使命を果たしてくれるでしょうが、やはり楽な仕事ではないでしょうから、先にも挙げたゆるキャラや、ご当地アイドルと同様に、地域創生に対するモチベーションがすべてのお仕事です。

 

 今では、全国戦国武将キャラとのタイアップや出張イベントで盛り上がるなど、面目躍如の快進撃です。

 こういった、アイデアを地域同士出し合って切磋琢磨できるのは、本来の地方創生の方向性には合っているのではないでしょうか。

 

 東京の自治体や政府が主導ではなく、町を自主的におこそうとうと奔走する地元愛あふれる「ゆるキャラ」「ご当地アイドル」の本気な姿は、観光に訪れる訪問客だけでなく、地域に住む地元民の心も一つにする何にも代えがたい、大きな町おこし効果が起きているからこそ、今までもそしてこれからも、親しまれてほしいです。

 

 

海外進出の成功は、周りとの調和と洗練されたデザイン「なも研7」:二部作の②

  愛知県はトリエンナーレという、広域芸術活動を続けていますが、今回も計画が着々と進行しており、産業文化の国際展開におおきな貢献をしてくれそうです。

 前回に続き、第2弾は街づくりに欠かせない産業面での記事です。

 

f:id:kromaryu:20160613063724j:plain

 

 もともと芸術には力を入れており、それを長年けん引した芸術創造センターに始まって、県営や市営の美術館をはじめ、徳川美術館など歴史的工芸品、名古屋芸能と呼ばれる古典芸能も盛んなど、古くから芸術活動に力を入れてきました。

 また、繊維業・車など機械性産業が盛んでその記念館もあったり、海外交流も多くの姉妹都市提携を結ぶなどの経緯もあって、産業・技術面も積極的にその強みを発信しています。

 

 こうしたアピールする面が多分にある愛知・名古屋は基より、この地域に限ったことでなく、日本国内の長い歴史に培われた工芸技術や、高い技術で世界でも評価の高い産業製品は、人口現象化が顕著になりつつある今、国内市場の目減りや従事する就業者不足で、海外に活路を求める動きは避けられなくなっています。

 しかし、いままで国内向けに開発・生産されてきた製品を、海外市場が受け入れられるのか半信半疑なところや、地方都市の特に中小企業・零細生産者としては、市場調査が行きわたらないために、成功の可能性を見いだせないケースが多く、行き場のわからない差し迫った課題には頭を悩ませているのが現状です。

 

 さて、政府が積極的に進める産業面での創生活動を機会に、海外市場の可能性を探る主に細々とでも優れた文化技術を守ってきた職人や零細企業は、それらのジャパンクオリティを、どのようにアピールするかの課題解決に手探りで動き出しています。

 この点政府でさえ新幹線をアジアに売り込むなどの商機を逃すなど、厳しざだけが目立っていて、日本の技術力の高さをしり目にその売り込む力の無さが露呈するなど、せっかくの素晴らしい日本の技術が、思うように伝わらずにもったいないケースが少なくないようです。

 

 ここで、海外に打って出る市場開拓の方法を官民でまとめなおす時期に入っているのでは? と危惧しています。

 たとえば、日本お得意の共同役割分担で売り込み部隊を編成し、数ある優れた技術を臨機応変に切り替えて、アピールする工夫が必要です。

 

 国内で技術面では、太古からトップ直轄の「部」と言う組織があって、技術を保護し得意分野に合わせ、国が分業管理する仕組みが発達していたようです。

 これは、かつては海外(主に今の中国)の朝廷へのアピールする献上品開発に端を発していたものが、時代を経るに当たって鎖国の色が濃くなると国内流通を目的とする傾向が強くなり、庶民への技術流出で一般化され、技術の伝搬が興りました。

 

 この歴史は、一方で鎖国による海外交易のノウハウの低下、つまり営業面の経験値が浅くなる負の面りもありましたし、その後漸く明治以降開国に踏み切ったまでは良かったのですが、西洋列強国の市場として良いように扱われたように、この時期から今の海外進出に必要な外交力の低下は露呈していたと言えます。

 

  それから100年以上経過してはいますが、世界市場を相手に活躍する企業は一握りで、中小・零細企業は、規模や資本力の差から国内生産・販売が主力となりました。

 今では海外向け製品が得意な企業も多くなりましたし、海外流通を生業とする企業、海外の情勢に詳しい専門家も増えましたが、海外販売力の差が広がり、実績がない企業は、国内市場目減りで市場を押され、いよいよ海外進出へ売って出ざるを得なくなりました。

 

 この動きは市場動向を見据えていた企業にとっては拡販チャンスでしたが、そのゆとりもない小規模企業に取っては青天の霹靂(へきれき)であり、この力の差は政府が間に入って埋める他なく、それぞれのメリットのバランズを取るのは課題ですが、新しい商機を開発する動きを作る今に至っています。

 

 その政策も道半ばの感は否めませんが、海外市場開拓を早く実施して企業に合った仕様を模索しなければなりませんし、地元の隠れた原石ならぬ優秀な技術を埋もれないように、最大限どのように活かせるかは、これから課題となるでしょう。

 また国の持つ企業統計力を駆使して、埋もれた技術を自治体や海外市場に詳しい民間企業・大学と連携して、海外向け産業活用をプールできる仕組みを固められれば、海外販路の開拓・製品開発に弾みをつけられるかもしれません。

 

 日本は、古くはアジアを中心とした交易の一部でしたし、繊細な技術をウリにしたモノづくりを得意としていました。いまでもそれは技術評価は変わらないですし、何より海外のアピールポイントですので、しばらくはかつての「部」のような国策として技術継承する仕組み、それを宣伝する仕組み、そして販売する仕組み、を総合的に作り上げたほうが、日本人には向いているかも知れませんね。

 

今は、西洋式の個人式の企業方式が一般的ですが、かつて日本の産業は、小さい国土を活かして、連携を持ってお互いにのウイークポイントを補って発展してきたように思えますし、今でも官公庁の役人のように、技術面での公務員制度で福利面での保護をする制度を創れば、意外と早く継承者が増えるように思いますがどうでしょう。

 

 今、人口が減少する中、いろんな意味での仕組みの再構築が急がれる時期でもあり、今こそ根幹的な改革の大きなチャンスなのかもしれません。

 そうだとしたら、もう一度このチャンスに日本方式とも言える独自の分業と継承のシステムを見直して、日本ブランド技術として海外に理解させやすくなるのではないでしょうか。

 

 この先、少ない人材を効率よくまとめて活かすのは、省資源の国日本ならではのお家芸であると思っています。海外の市場で日本の製品の特徴を際立たせる意味でも、パッチワークのキルトのように、ばらばらの小さい技術を集めて、新商品を作り上げるほうが日本らしいに繋がって、アピールができそうな気がしませんか?

 

 某TV番組で紹介されていた、事例のあらましを紹介します。

2016/4/20

 世界最大の家具見本市ミラノ・サローネでの、注目のアイシン精機ブースの企業イメージ・コンセプトにあったモニュメント制作を追う内容。

 東京ドーム10個分の広さに世界2000もの企業や個人が、1000作品もが出品される中で、アイシン精機が海外へのイメージ戦略に出る。

  モニュメント製作に白羽の矢が立ったのは、タンジェントデザイン&インベンション家具職人の吉本英樹さん。大きなハードルと舞台の可能性をこの機会にかける意気込み。

 吉本さんは、企業イメージを色など視覚と幻想的な音で表現するエキスパートを目指す。イギリスへ単身渡り、語学教育で生計を補いながらユニークなビジュアル効果の高い製品開発を得意とするらしい。

 会場になる、感覚派のイタリア人には受けやすいと抜擢された。

  ハードルは限りなく高いものの、欧州市場は繊細な日本人のセンス・気質に合っており、技術力の高い企業はその分評価ハードルは下げられる可能性がる。とし、アイシンのコンセプトを見事に具現化し、来場者の高い評価や、クライアントの満足度も高かった。

 

  海外進出は、小規模であればあるほど高リスクと、国内では考えられやすい。しかし順を追ってコツコツと市場開発をすれば国内と国外の二足のわらじも、零細企業にとっても決して困難ではないと思える事例です。

 技術は国全体で守り、海外展開は自由に行う、この一見矛盾している方法は、かつての日本ができたことであり、けっして今の日本人にもできない事ではないように感じましたが、いかがでしょうか。

 

 外国人との対話できる人材育成

産業「愛知モデル」を紹介 大村知事、ロスの国際会議で

http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20160505/CK2016050502000038.html

愛知県、国際展示場の整備に着手 補正案に約350億円 : 日本経済新聞

http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLZO03196500T00C16A6L91000/

 

 

人口減による国内少子化対策を考える。「なも研7」 :二部作の①

 

 今回のなもなも研究所「なも研」は、日本経済・景気をうらなうのにとっても大切な、少子化対策のあれこれを考えます。

f:id:kromaryu:20160610072839j:plain

 

 国内の人口減少が以前からも分かっていたにもかかわらず、数十年にわたって人口増加や、バランスを考えた雇用対策が消極的だったことが、ここにきて十年来景気の予想通りにはいかない低成長ぶりに、政府は目先の対策に走らざるを得ません。

 

 低成長ながら、一見このデフレを乗り切っているように見える景気は、皆さんがすでにお感じのように何か潤っているようには感じられない、という全うな感覚に反映さえている通り、それはある意味超崖っぷち日本の危機意識を持っても、言い過ぎではない状況なのかもしれません。

 

 この不思議な景気感覚は、比率としてはじりじりと減りつつある、かつての安定所得を享受する中間所得層が、景気統計の主流をなしているため、実際の全所得層のそれとはギャップがあるからだと考えられます。

 この見方を穿って考えると、全体としての景気は決して良いものではない事を、私たちは直視していくことから始めないと、本来の景気回復はかなわないような気がするのですが、いかがでしょうか。

 

 今の景気につながる流れは、1960年代のベビ―ブーム世代の若い爆発的な動きによって始まり、日本の景気や大きく社会を変えて来増したが、そのさらに子世代は今その動きを変えようとする起爆剤になっているようです。
NOを突きつけた若者の今

 何度かのベビーブームを経て一億数千万人を達成して以来、それを下回るじきが20年以上続く日本。
 今後の人口推移統計で、2060年には8600万人まで減少すると予測されているようで、日本の将来推計人口は現在から2050年には、

高齢者(65歳以上)3395万から3767万人
働く世代(15~64歳)は、7681万人から5001万人
(2012年、国立社会保障・人口問題研究所)

 昨年安倍政権は、子育て支援政策として希望出生率1,8%実現を掲げて、子どもの個性を伸ばす教育再生を目標提案するなど国内人材目減りによる国民への危機感を緩和するために、満を持して1億維持を戦後はじめて発表しました。

 たとえば子育ての処方箋としての、個人の自由へメスを入れる、超少子化を徹底検証
時代背景
合計特殊出産率でみると、

 

1947年第一次ベビーブーム(団塊世代)で4.32倍、

60年、70年は2倍で横ばい、その時期は人口抑制へ動く。

 

 第二次ベビーブーム(71~74年ピーク)で、その後徐々に下がり、1989年には、1,57ショックと呼ばれる超低出生率を記録することになります。

 この背景にはさまざま原因はありますが、女性社会進出で子育てと仕事の両立が困難になったり、生活に子どもを考慮しない者が増加傾向にあるのもその一つ、さらに抜本的な対策を取らない政府も大きな要因だったように思います。

 

 1992年ウエルカムベイビー政策を打ち出しますが、その後予算増えず出生率も低下、しかし世間の流れは好景気が継続している意識が高い割に経済格差の広がり・企業の海外進出や中小企業の経営悪化がつづいており、実際の景気はその思いを他所に低迷していたためか、多くの人が期待した第三次ベビーブームは起きませんでした。


 今では誰でも自覚している、経済悪化傾向で非正規雇用増加、共働きや結婚しない若者の問題は、惰性で続いた好景気の継続感も手伝って、問題化されてこなかったのがその対策に遅れが生じた原因とも言われます。

 出生率は2005年1.26まで低下し、当時の政府はやっと予算増加、その効果で多少増加するも期待値を下回り1,42にとどまっています。

 巷でも当時言われたゆとり世代・草食化する男子などのキーワードが顕著だった時期の、30代前半の未婚率男子47、3%女子34,5%に達したことが、負のイメージにつながったのかもしれませんが、2000年から2014年までで、1.5を上下するにとどまっていたようです。(人口動向統計、厚生労働省2015年)


 こうした少子化が進んだ理由として、世間が人の結婚・子作りにあれこれ言わなくなるなど周りからのプレッシャーの減少という社会的な風潮の変化や、仕事をやめなければ出産・子育てがままならない企業風土。

 核家族化で子育てに想定を上回る資金負担がのしかかるようになったり、好景気感覚が恋愛対象は高額収入男子のみ(300万年収以下では論外)など実質経済と釣り合わない歪んだ結婚観を生んだ事も一つ。


 周りからは生んでほしいと期待される一方で、若者に広がる 不安や古い慣習そのままの社会・経済的抑圧も重なるなど、実際は8割以上は結婚を希望しているにもかかわらず、現実は40%にとどまっています。

 大学までの教育費、生活費の重荷に2人以降の出産に躊躇する夫婦が多かったり、結果景気上昇の起爆剤として期待した第三次ベビーブームが来なかったことや、子どもを増やしたら報いるメリット感が目減りして、むしろ結婚するリスクの方が大きいという認識が、根付いてしまいました。

 

 昨年4月からこども子育て支援新制度(待機児童削減・3人以上子持ち世帯負担軽減)や、今年4月から親世代からの支援促進(3世代同居へ住宅改修費控除・結婚出産費一括贈与、対象拡大1000万円まで非課税)さらに、児童・家族関係給付費も2013年度では5,5兆円と増額し、現政府は具体的な対策を打ち出しました。

 しかし参院選の宣伝対策だと揶揄される向きもあるなど、今のところ私たちにはその意気込みや期待感が伝わってこないのも、まだまだ本格的に本腰を入れていないとの感覚から逃れられずに、一歩足を踏み出せないのが実情のようです。

 

 他国と出生率関連統計を比較すると、GDP比で半分、3分の一のケースもあるようで、GDPとのバランスの悪さが特徴のようです。
 フランスでは、1990年代半ばに、1.66が最低を記録後、大胆な対策を講じた
2010年の15年程で1980年代以前の水準以上の2.02まで向上させたそうで、政府の対策は見事成功しています。

 

 その成功例の制度をみてみると、徹底的なお金の支援を掲げており、出産手当に始まり3歳迄基礎手当、9月に貰える新学期手当で2人目だと家族手当追加。

 子ども二十歳までの減税含め手当は、1人で600万円、2人では1900万円、3人で3900万円と、フランスが子を増やすのに積極的な国だとわかります。


 今の日本の税収面などの制度は、子どもを持たない人には不公平で、だからと言って個人に責任を持てと若者に押し付けるのはおかしな話ですし、人口比率の高い団塊世代を中心とする高齢者層が、福利厚生の面で若者層への分配を減らしていて、負担も大きくなっています。


 中長期的な国民の意向を反映させているとは言いますが、実際は1990年から29兆円だった高齢者関係の社会保障給付費(児童の医療費除く)の推移は急激に増加していて、2013年までに75兆円まで膨らむ(社会保障費用統計)(国立社会保障・人口問題研究所2013を基にNHK作成)

 高齢者関係の75兆6千億円に比べ、児童・家族手当は数兆円レベルで殆ど増加していない(2013年で5,48兆円)とバランスの悪いのが実情なのは、驚くばかりですが、これに対し2015年11月に「第1子に1000万円支給」といった現金給付が提案され、50万人が増えると見込んだようです。

 ただ、これはいわゆるバラマキでうんざりする人も多いと思いますが、即効性を認める意見もあって、意見の分かれるところ。

 国内の子だくさんの町、26年速報値で合計特殊出生率2.81を実現した人口6千余りの町、岡山県奈義町の事例。
 2年前60人のこども誕生、2005年には1.41まで低下したものの、2013年急上昇して2.81達成したそうです。
 秘訣は、子育て世代の徹底したリサーチとサポート。
 保育料割引保育料・幼稚園授業料(所得制限無)子ども2人目半額、3人目以降無料

 医療費無料:子ども高校卒業まで町負担、予防接種全額無料(ロタ・B型肝炎ワクチン・流行性耳下線炎など)おたふく・水疱瘡も全額補助。一部助成(インフルエンザ)
 住まいも、40歳未満夫婦3LDK家賃5万円/月、3割安
 子育てへの精神的サポート、子育て支援センター(利用無料年齢制限無)アドバイザーが常駐と子どもとママの寄り合う場所に。

 その他雇用促進、不妊・不育治療費助成など。

 

 これだけの補助をそろえたのは他に類を見ないもので、この街の強みですね。
おかげで3人でもいいかな、という安心の雰囲気が生まれたと言いますが、この空気が国内にないのが、大きいです。 
 同町では、世帯の半数が3人以上子持ちが占める5人子持ち世帯もいて、自治体は通常2倍の8700万円かかる予算を、徹底した経費削減でねん出していると言う。

 役場の職員数は、同規模自治体比較で20人ほど少なく、平均給与も30万円下回る同規模とは6万円の差がある。
 公共事業には高齢者町民ボランティア参加で人件費削減などの努力した結果との事。

 どこでも実施している、施策を幅広く実施
結婚、出産、子育て支援を地道に行う自治体が勝つ
財源は、合併をぜず、福祉節減の対象から外し、ムードヅくりに成功した事例は大いに参考になりますが、本来政府が実施すべきことで、この温度差はとても受け入れがたいものですね。

 ここ定着しつつあるイクメンブームで意識は高くなっているが、現実は効果が出ていないです。
 お金以外にも課題が、夫の家事・育児時間別、第2子以降出生状況では、
出生率は、無し:9,8%、2時間未満:30%、4時間未満:67%、
6時間未満:76%、6時間以上で84.5%
(21世紀成年者縦断調査、厚生労働省2015年)

 夫の1日の家事・育児時間
日本:67分、英米独スエ:軒並み150~201分と歴然(少子化社会対策白書 内閣府2015年)

 男性の育児休業取得率
日本:2.3%(2020年までに13%目標)、イギリス12%、ドイツ28%、スエーデン88%

(21世紀成年者縦断調査、厚生労働省2015年)(今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会・資料、厚生労働省2015年を基に作成※各国事の制度が異なる為、厳密に比較できません)

 育児休暇取得する空気が全く無い、利用できない企業体質(一種の搾取)
重要な地位の大人は、育児経験が無く感覚がつかめていない、高度成長期に育児に関われなかった父親は不幸だったと言う空気に変われば意識も変わるかも。
 超長時間労働の禁止、インターバル規制(勤務終了から次の勤務までの休息時間の保障)で労働時間の削減効果として、マイナーチェンジにもなります。
 これは、休暇しても給料保障されるスエーデンだからできることではあるかもしれません。

 人口回復は、本気で考えるには何が求められるのか? 育児は社会で育てる意識、日本全体の問題との意識をもっと高める教育や報道をすべきでしょう。
 フランスの家族政策・強化であって、日本では少子化というマイナスイメージが強いのは、政府・企業がしてきたもので、改善責任はかせられるべきでしょう。
 専門の省庁をおいて、有力政治家・敏腕政策者を措くべきとの意見も出てきてしかるべきです。
 過去の慣習に引きずられた男女の役割分担意識の障壁の見直しは基より、住民全体で本気度が試される先送りできない問題だけに、待ったなしのこの問題を将来の日本の向上のために共有していきたいですね。