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東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

今さら聞けない、注目される安保法案とはそもそも何?

安全保障関連法案(安保法案)が2015年7月16日衆院本会議で可決されて以来、ここ数年世界の安全保障の枠組みが大きく変わっていますが、そもそも安保法案とはどんな法案で、どんな指摘が出ているのか、そして改正の経緯は?まとめてみました。

 

■どんな法律なのか?

法案は、新しくつくられる「国際平和支援法案」と、自衛隊法改正案など10の法律の改正案を一つにまとめた「平和安全法制整備法案」からなる。

 

集団的自衛権を認める

自衛隊の活動範囲や、使用できる武器を拡大する

有事の際に自衛隊を派遣するまでの国会議論の時間を短縮する

在外邦人救出や米艦防護を可能になる

武器使用基準を緩和

上官に反抗した場合の処罰規定を追加

などが盛り込まれた。歴代内閣が否定してきた集団的自衛権の行使容認には「合憲性を基礎づけようとする論理が破綻している」(長谷部恭男・早稲田大学教授)など、法学者らから疑問の声も強い。

 

■そもそもなぜ必要とされたのか?

「日本を取り巻く安全保障環境が変化し、一層厳しさを増したため」と安倍首相は説明する。国内外から、「中国の脅威に備えないと、とんでもないことになる」という指摘も出ていた。

また、1991年の湾岸戦争で、日本はアメリカなどに約130億ドルの財政支援をしながらも、自衛隊を派遣しなかったことが評価されなかったことも契機となった。以後、日本はアメリカなどの求めに応じる形で、国連の平和維持活動(PKO、1992年~)を皮切りに、イラクへの人道支援(2003年~)など、自衛隊の海外派遣を徐々に拡大してきた。外務省の中には「外交のツールとして自衛隊を使いたい」という悲願もあるとされ、2014年に歴代内閣の憲法解釈を変更する形で、これまで禁じてきた集団的自衛権の行使を容認。2015年にアメリカを訪問した安倍晋三首相は、オバマ大統領に、関連法案の夏までの成立を約束した。

 

一方で、アメリカの圧力を指摘する見方もあり、アメリカ在住のジャーナリストは、アメリカ情勢について次のように分析している、アメリカにとっては、東アジアの戦力バランスあるいは世界における反テロ戦争に関して、日本がより「負担」をしてくれる分だけ、アメリカとしては負担が軽減されるからです。

負担が軽減されて助かるとか、カネが浮くと言うよりも、政治情勢や経済情勢の変化の中で「日本は負担が少な過ぎるからタダ乗りだ」とか「日本はカネだけ出して、血を流すのは我々なのか」といった「日本切り捨て論」を防止する効果があるのと、何よりも「日本に要求を受け入れさせることができた」という「成果」をオバマ政権が議会や世論にアピールすることができる、そうしたアメリカの内政上の問題が背景にあると思います。

 

■複雑すぎる「事態」

法案では、自衛隊の派遣が可能となる6つの事態を想定。事態の内容によって自衛隊が活動できる内容や、国会承認手続きの必要性などが盛り込まれた、例えば「存立危機事態」では集団的自衛権の行使が可能となり、自衛隊武力行使も認められる。原則として事前の国会承認が原則だが、事後の承認も例外的に認められるとされた一方で、国際社会の平和と安全を脅かすような「国際平和共同対処事態」では武力の行使は認められず、国会の事前承認も例外なく必要となる。

 

■「存立危機事態」の定義が曖昧

自衛隊集団的自衛権で武力を行使できる「存立危機事態」は次のように定義されている。

「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」内閣府「平和安全法制等の整備について資料」より)

 

安倍首相らは「政府が総合的に判断して認定する」としているが、民主党などは定義や認定方法が「極めて曖昧」と主張する。岡田克也民主党代表は、「存立危機事態は、非常に抽象的。時の政府が勝手に存立危機事態を認定して、自衛隊を送り出し、武力行使するということになりかねない」と指摘。「当然、反撃も来るわけですし、国民の暮らし、命がかかっている大きな政治の決断。それが(国民が政府に)白紙委任しているような形になり、民主国家としては許されない」と批判した。

一方で維新の党は、この存立危機事態を「武力攻撃危機事態」に変えた修正案を提出した。「条約に基づきわが国周辺の地域においてわが国の防衛のために活動している外国の軍隊に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険があると認められるに至った事態」と定義。個別自衛権によって対応するとした内容だっが、自公両党は維新の修正案に賛同しなかった。

 

■「後方支援」は「人道支援」とどう違う?

武力行使が認められない「国際平和共同対処事態」や「重要影響事態」などで、自衛隊の活動をどこまで認めるのかも焦点だ。

後方支援には「武器の提供は含まない」とされているが、弾薬の提供や武器・他国の兵士の輸送は認めており、防衛庁長官自民党副総裁などを歴任した山崎拓・元衆院議員は、後方支援中の部隊が襲われる可能性が高いとして、自衛隊の後方支援自体に反対している。

 

正面と後方は一体、つまり後方とは兵站ですから。今まで自衛隊は、例えばサマワなら近くのアメリカ軍に守ってもらう約束もあった。今度は兵站基地の部隊は自分たちで守らなければならない。そのための装備も持っていきますよね。かなり重装備になりますよ。PKOとはわけが違う。正面と後方は一体だから、敵軍は必ず、兵站基地である後方を襲います。

すると自衛隊は防戦します。武器を使用すれば反撃がある。反撃があればまた撃ち返す。そうなれば武力行使になる。武力行使になれば戦闘行為になる。戦闘行為になれば、それは戦争に巻き込まれるということになる。そこで死傷者が出ないなんてまず考えにくいですね。だから、リスクが高まることは間違いない。イラクの経験はいくつか他にもあるんですけれども、自衛隊を後方支援活動に出すこと自体に私は反対です。



【安全保障関連法案】集団的自衛権憲法制定時からこんなに変わった

 

憲法制定時「自衛権の行使は認められていない」

憲法制定時でも、日本政府は自国に自衛権があるとの考え方を取っていた。しかし、憲法9条2項によって、「一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争も、また交戦権も放棄した」と当時の吉田茂首相は発言しており、憲法によって自衛権の行使が認められないと解釈していた。

 

■米ソ冷戦「武力によらざる自衛権

自衛権が認められない当時、万が一の場合には国連軍が日本を守ることが想定されていた。しかし、米ソ冷戦が勃発。吉田首相は1950年1月、「武力によらざる自衛権を日本は持つ」と発言し、その後のアメリカとの軍事同盟の成立を匂わせた。旧日米安全保障条約が結ばれたのは1951年だった。

 

自衛隊ができる「必要最小限度の実力」

そして1950年6月、朝鮮戦争が勃発。警察予備隊などを経て1954年に自衛隊が設立される。当時の鳩山一郎首相は「自衛のための必要最小限度の武力を行使することは認められている」と発言。「自衛のための必要最小限度を超える実力」ではないので、「自衛隊は軍隊ではない」と解釈されることになった。

しかし、1954年6月には、参院本会議で「海外出動はこれを行わない」とする決議が参議院本会議で可決され、自衛権の活動の限界も設けられた。その後、自衛権発動のための3要件(旧3要件)も決められ、おおまかな範囲が決められた。

 

自衛隊PKOに参加へ「PKO武力行使にあたらない」

冷戦終結後の1991年、湾岸戦争が勃発。日本は130億ドル(当時の日本円で1兆4000億円)を拠出したが、自衛隊を派遣しなかったことでアメリカなどから評価を得られなかった。

ペルシャ湾岸の機雷除去のため、自衛隊が派遣されたのは、湾岸戦争終結後のことだ。戦争終了後の公海上の作業として、海上自衛隊の通常業務という解釈がなされた。

 

1992年、宮沢内閣は「国際平和協力法(PKO協力法)」を成立させた。紛争地の平和維持活動(PKO)に自衛隊が参加できるよう法制化された。PKOは紛争当事者間の停戦合意が成立していることなどから、武力行使にあたらないとされた。自衛隊員の武器使用は「隊員個人の生命・身体を守るための必要最小限の武器使用は、憲法の禁じる武力行使にはあたらない」とした。1992年9月から約1年、カンボジアにのべ1200人が派遣された。

 

北朝鮮核危機など「後方地域での米軍支援は武力行使にあたらない」

1993年3月、北朝鮮核兵器不拡散条約(NPT)からの脱退を表明し、核兵器開発の意思を示す。さらに、1996年には中国が台湾を威嚇(いかく)する事態が起きるなど、日本周辺で危機が高まった。

アメリカは日本に協力を求め、日本周辺で起きる有事に備え、1978年に米ソの対立を想定してつくられた日米ガイドラインが、1997年に改定された、このときは「後方地域」という言葉を使い、戦闘がなさそうな場所であれば、他国の軍隊による武力行使を日本が支援する「武力の一体化」にはあたらないとし、1999年に「周辺事態法」を成立させた。

 

■9.11「非戦闘地域での多国籍軍支援は武力行使にあたらない」

2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件後のアフガニスタン戦争や2003年のイラク戦争をめぐり、日本政府は国連安保理決議を受け、自衛隊を派遣することを決める。

非戦闘地域であれば自衛隊アメリカ軍だけでなく、多国籍軍への支援を可能とする「テロ特別措置法」を10月29日に成立させた。これにより、自衛隊が活動できる地理的範囲が拡大。日本領域に加えて、公海及びその上空、そして外国の領域での支援活動などが認められた、しかし、戦闘地域と非戦闘地域を明確に線引きをすることは困難で、民主党岡田克也代表に「非戦闘地域」の定義を求められた当時の小泉純一郎首相は、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」と答弁した。

 

■第2次安倍政権「集団的自衛権は行使できる。場所も限定しない」

安倍首相は2014年、自衛権発動の3要件を見直し(新3要件)、集団的自衛権が行使できるとした。

これを受けて2015年5月14日、政府は安保法制の関連11法案を閣議決定。「周辺事態法」の名前を「重要影響事態法案」と変更するなど、地理的観念を含む言葉を排除している、また重要影響事態法案では集団的自衛権について定めるのに対し、「国際平和支援法」という新法では、日本に影響がなくても国際社会が一致して対応すべき戦争や紛争が起きた場合に、自衛隊を派遣することを想定。自衛隊は紛争を未然に防ぐ活動もできるようにする、さらに、自衛隊の活動内容も拡大。テロ特措法では認められていなかった武器・弾薬の補給なども可能になる。

 

そして今年、海外からの軍医的脅威が急激に増したとして、安保法に重要な決定打をあたえる憲法9条の改定が、前向きに進むと決まったことで、より日本人の間で国際平和を歌っていればよかった時代から、グローバル社会への協調と国債国家への、在るべき立場へと脱却する準備を始めた、この国民の認識が大きく変化したことが、後押しになったことになっているが、短時間の議論で日本人が結論を出せるとは到底思えない。

同時に日本は次なるグローバル社会への変貌に対し、従来の西側経済圏とBRICSからなる中ロ中心の経済圏との間で、いかに立ち回るべきかを問われている、その大きな決断を正しく行うためには、今年の参院選はこの先の未来には大きな意味がある、何よりも旧態依然の経済利権や政治的利権からの抵抗を、いかにスマートに往なせるか国民の資質が、今まさに問われている。