トルコリラ、対ドルで年初来最安値も、米に距離を置く国に見えること
北欧2カ国 フィンランドとスゥエーデンがNATOに正式加盟のため申請に対し、NATOストルテンベルグ事務総長は、加盟すれ安全保障が向上するだろう と歓迎の意を表した、概ねの加盟国が同意する一方でトルコのエルドアン大統領は、2カ国がトルコの非合法組織を支援しているとして、同意できないとの立場を示して、改めてNATO加盟難色を強調した。
米議会上院は、ウクへの軍事支援など強化のため約400億ドル追加支援可決ことから、トルコのチャブシオール外相にブリンケン米国務長官が会談し、トルコ側説得を試みるもエルドアンは首を縦に振らなかったとのこと。
バイデン大統領は北欧2カ国首脳と会談、フィンランドとスゥエーデンはNATOを強くする、彼らは強固な民主主義を築いてきた、2カ国が加盟条件を満たしている→加盟申請を歓迎、懸念の対象国であるフィンランドのニーニスト大統領は、トルコの懸念を話し合う用意あると加盟への説得努める考えを表しました。
その中で、トルコの通貨リラが対ドルで下落しており、17日の外国為替市場では一時1ドル=15.8リラ台と年初来安値を付けた、トルコはインフレ率が前年比で約70%となるなど物価上昇に歯止めがかからない状況で、さらなるリラ安進行懸念から資金が海外へ逃避している、4月の消費者物価指数(CPI)の伸びは前年同月比69.97%、各国はインフレ対応で金融引き締めを進めるが、トルコ中央銀行は金融緩和による景気改善がうまくいっていなかった。
その状況の中にも関わらず、エルドアン大統領は2国のNATO加盟を認めない背景には、諸説言われているようですが、トルコはもう1年以上前から親中露路線を強いており、西側の経済指標から見れば米ドルとの相性が悪くなっているものの、エネルギー供給はロシアから調達する方向など、グローバル体制側とは別の勢力側に傾倒しつつある段階。
日本では、新日として知られていただけに多くの日本人から見れば、意外でしかないトルコの動きには、グローバル側メディアが報道したがらない、一部の情報隠蔽によって、大きな誤解が生じているのが正直なところ。
またトルコは、地政学的に微妙な位置に存在する国で、過去から東西の交易を結ぶ要所として機能していたり、日本でも“飛んでいいスタンブール”や“異邦人”などの歌謡曲でもわかる通り、異邦人によるシルクロードや、民族移動が頻繁にあった地域に当たるため、今だけでなく過去から常に東西の政治的事情に、国の舵取りは左右されてきました。
中東もそうですがこの欧州とアジアの間に位置する地域は、歴史も政治も非常に複雑で、今でも紛争や戦争が耐えない極めて複雑な地域として在り、欧州諸国やアメリカロシアの政治的都合による犠牲になっているなどの、独自の事情を理解できていないと、正当なジャッジがしにくい地域で、トルコもそのエリアに含まれていることを忘れてはなりません。
ロシア制裁の賛成反対の可決がされた際にも、トルコはインドなどと共に反対でも賛成でもなく棄権した国であり、地政学的にも経済上からでも、非常に微妙な立場を取らざるを得ないことや、宗教的にも独自性のあることから、今回のような単に西洋側につけば幸せになる国々とは、事情が極めて繊細さが要求されているということです。
ただ、トルコなど国家規模の大小に関係なく、ロシアとの関わりに白黒明確につけられない国は、米露パワーバランスを考える上で日本にも、考えさせられるリアルがあることを、日本人は知っておかなければならないでしょう。
日本は米国の傀儡国としてしか、すでに生きる道がないかのような“常識”が蔓延していますが、実際はそもそも江戸時代以前までは、独自の政治文化経済によって“完全自立”していた国家であり、むしろその頃からの精神や技術力の方が、西洋化してからの日本と比べても優れていた点が多々ありました。
江戸期からの西洋諸国による宗教活動と称した侵蝕に始まった、実質的な植民化の動きに晒され、アジアの他の国家と同様に結果的には半植民地化された経緯は、日本人として認めなければなりませんし、GHQの日本の民族性の解体政策によって、情報統制や日本性の優れたものに関する情報を、ことごとく排除されてきた事実を知り、後世に残していくことで日本の独自性を復帰させていく、このプロセスをトルコの独自性を見て、思い起こすことは有意義です。