くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

ファクトチェックとディープフェイクの攻防

ほんの数年前の話題だったと思いますが、人工知能AIが将棋やチェス・囲碁で人を超えるのを見て、この逆転現象がそう遠くない時代に、AIの思考が人のそれを超えるだろうと言われた事で、究極のコンピューター計算能力である、ディープラーンニングが一気に注目をあつめたことが、今では疑う余地の無い所まで来ています。

トム・クルーズのディープフェイク動画で話題になった、人工知能AIテクノロジー企業のメタフィジック社が、有名ユーチューバーなどの投資家から750万ドルを調達したことを、1月25日発表しましたが、英拠点のメタフィジック社によれば今回の調達ラウンドは、かつてアルファベット社のベンチャー部門創立者ビル・マリス氏のプロジェクト主導だと言います。

 

同社は、AIや合成メディア技術を用いて制作された、トム・クルーズのディープフェイク動画で注目を集めた後、21年6月に設立された企業でハイパーリアルな体験を利用し、クリエイターと視聴者を結びつけることができると言っています。

また、調達資金はAIをメタバースに導入するために使用予定で、メタ社などが構築するメタバース空間のための、合成コンテンツ作成ツールのパイオニアを目指すとしています。

メタフィジック社のTikTokアカウント(@deeptomcruise)フォロワー数は330万人に達しているように、大きな注目を受けています。

 

こうしたディープフェイク技術は、偽情報の拡散に利用される可能性があるとして、以前から問題視されている技術ですが、共同創業者・CEOはクリエイターがリアルな認識を仮想世界に取り込むツールを構築し、未来志向の投資家・コンテンツ制作者は、体験を伴う未来がデジタル空間にあると理解していて、自社技術に期待すると自身をのぞかせます。

この技術は、ゲーム業界では既に不可欠で当たり前のものであり、それに及ばずその他のビジネスツールや、分析・シミュレーションアプリ等に応用され、そのフィードバックがメタバース社会の信用性を相乗的に高め始めています。

 

つい昨年に、マークザッカーバーグ氏が打ち上げたメタバース市場トップ参入が、こうした米英スタートアップと、若手投資家たちによって次々と実現化するスピードの速さには、コロナウイルスの感染による、いい意味での現実逃避者の増加が、大きく貢献しているものと見られます。

前向きに見れば、この時代変化は歓迎すべきものですが、リアルな旧世界に長い間身を置いてきた世代にとっては、未だに信じがたいことであるかもしれませんが、十代以下の新世代にとっては、むしろメタバース社会こそが現実社会に、なりうるところまで進化し続けているのは、今のところ多くの人にとってどのように映るでしょうか。

 

こうした新産業に関わる投資家の投資額の多くは、仮想通貨で賄われることも多く、一方でビットコインへの初期投資を成功させた新世代成金も居ますが、26日イーサリアムビットコイン主要暗号資産価格は40%大暴落、国の通貨が崩壊するエルサルバドルに対し、IMFビットコイン法定通貨としての使用をやめるよう求めました、同国はIMFと13億ドル融資交渉中で、ビットコインの安全性などめぐり交渉が難航していました。

ビットコインなどの仮想通貨の流通過程は、おそらく数年後には実用化目途が付くであろう、国際デジタル通貨の標準化に大きく影響を与えますが、前にも書いたようにメタバースとデジタルマネーの相乗運用は、難易度が高そうにみえても、ウイルスパンデミックが一巡した先には、一気に拡散する準備が着々と進められている筈ですから、今後のIMFや米FRBなどの対応はより複雑になっていくでしょう。

 

そして、現実と仮想の世界が名実ともに逆転し、今私たちが生活している現実社会の場は、ビジネスから切り離され有実無名の世界に置き換えられるかもしれません、具体的には例えば旅行などの人が移動する場合、実際に旅客機などで移動する方がよりコストやリスクが高まり、多くの人はメタバースでの旅行を選択するようになったり、仕事や買い物にわざわざ家から出向くのは、低所得者やリスクを取らざるを得ない、事情の持ち主に限られてきたり等です。

もちろん十年ほどでそのような時代が来るわけでは無いにしても、大きくは間違っておらずに、様々な災害や気候変動・感染や犯罪事故に合わない合理的選択肢として、徐々に選択の幅を特定されていく可能性は高くなりますし、その選択肢の格差はそのまま人の経済的・行動制限の格差として二分化されていくと考えられます。

 

そうした社会改造に、メタバース社会のディープフェイクは、大きく貢献していく最重要技術であり、すでにオールドメディアの映像を通しての実証実験も進んでいるとしても、何ら不思議は有りませんし、昨今のAIの直近の未来推測能力は、既に人間のそれを超えて偶然の未来よりも”必然の未来”を作り出そうとまでしています。

それでも、まだまだその能力は偶然性の変化には多くは及びませんが、人が見聞きする範囲では印象操作の発展型とも言える操作は十分可能であり、今後その操作は人の行動の置いても、心理的思い込みや誤解を誘導して、行動をある程度コントロールできるまでにはなっているのです。

 

そうした仮想世界にたいする、これまでの通りの判断材料はとても複雑化していて、多くの人がこれまでとの違和感や気持ち悪さを、体感することが多くなっているのはそのためで、人の感覚が正しいうちはその違和感に悩まされますが、人は慣れるにしたがって順応して聞く生き物ですので、逆にその違和感に拘ることこそ、本来の自分を維持する目安になるのですが、AIの誘導はさらに巧妙になっていくでしょう。

何かSF小説を読んでいる気分になった方もいらっしゃるかもしれませんが、筆者が実際にAIの誘導を体験したことから実感するのは、こうしたAIの人の行動や思考を相当深く掘り下げていて、実感する以上に私たちが”自立していない”と驚くまでになっている、そうした実感を共有したく、今回書きました。