くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

日本の税金徴収の根っこを知れば、国の政策意図が理解できる

オールドメディアによる税に関する特番で、頻出する池上彰氏の解説は、難解な税や円の流れをとても分かり易く、お金の仕組みに疎かった私達には有難く、そして人気がありましたが、ここ一年程で彼の説明の誤りや、彼本人の姿勢や主義について批判的な論調が増してきているのを知って、困惑する方も多いのではないでしょうか。

筆者も十年ほど前は、氏の誰にでも分かり易い解説本は評価していて、難解な中東問題や税金の仕組みについては、何度か彼の著作本で学びなおした経緯がありますが、最近Youtube を見るにつけ、氏の説明に疑問を訴える動画が散見されるようになり、その内容に衝撃を受けてしまいました。

 

今回のテーマは、直接氏の言及をするモノではなくあくまでつかみで紹介したわけですが、彼の解説の正誤性を見るまでもなく、筆者を含めて多くの人が税や金については、難解な説明が多くしり込みしてしまい、しっかりとした全体像を理解できないまま生活しているのではないでしょうか。

そこで、筆者なりに理解し出来たことを共有していこうというのが本旨となりますが、これから書く内容は極めて基本的な概念であり、細かいことには触れません(と言うか面倒くさ過ぎて触れたくないのが本音)が、俯瞰で理解できることは間違いないでしょうし、これを下地に積極的な議論が起きることを願っての記事になります。

 

さて、国の税制で最も話題に出てくるのが、みんな大好き(嫌い?)消費増税で、上がった下がったでオールドメディアの格好のニュースネタにされますし、私達の直接的に影響する税として知らない大人は居ないでしょうし、事実関心事に上がりやすいですよね。

では、なぜ話題に上がりやすいかと言えば、おさらいを兼ねて敢えて言えば”不公平感がぬぐえない”という事ではないでしょうか?加えて上がる=損・消費減、下がる=得・消費増という、分かり易い消費行動に繋がりやすく、ほぼ誰でも一律の行動を誘発しやすい税です。

 

その他で身近な税では所得税自動車税等もあって、家や車など高価な消費をする場合期にされる人が多いと思いますが、何よりも消費税の最大の特徴は”全ての物販・有償サービス”に適用されている点で、キングオブ税と言っても過言でないかもしれません。

海外先進国では結構古くから同様の税が採用されていましたが、日本はそれに比べ導入が遅く、日本人には馴染んで居ない面もありそうですが、それもあってか極端な拒否反応を示しやすいため、消費増税・減税が政府にとってセンシティブな材料です。

 

さて、最も身近な消費税を例にして税と国民の意識をあげてみましたが、消費税が問題視される背景には、今の政府による国民の扱いが見透かされる材料にされる為だと筆者は感じていて、政府が納税者の意志を正しく反映していないのでは?という疑心暗鬼があるのが問題の肝だと思ってます。

それが本当かどうかを誰もが関心をもちながらも、税の難関な壁に深堀しにくい矛盾をかかえて悶々と妥協せざるをえなかった、というのが正直なところでしたが、結論から先に言えば、やはり政府は国民・納税者を目くらまししている嫌疑は深まりました。

 

その理由は上にも書いた池上氏のよくある解説で必ず出てくる、消費増税の根拠で税収が減れば社会福祉等の福利厚生が出来なくなる、とか国の莫大な借金を賄えなくなるなどの最もらしい説明が、根も葉もない関連性の無い話であることを納税者は知ってしまったこと。

もう一つ今回付け加えたいのは、”所得税”と”住民税”の税収の変化であり、サラリーマンは会社を通し自動天引きされていて、個人事業者は個々に収めていますよね、この2税の変化を見ると、納税者で最も多い中低所得者の負担増が見えてきます。

 

その話をする前に、今一度上の消費税説明での誤りと同様に、国の予算(財源)と税金(税収)の関係を理解しておく必要がありますが、分かり易い説明を聞いたので書いてから説明したいですが、税収と財源とは相関性は全くない別物の金だということです。

この理解が納税者に知られるようになって、池上氏の説明に批判が増えたという事ですが、そもそも切っ掛けは、数年前にアメリカ政府の民主党議員からもたらされた””からで、その理論を基に経済専門家が日本の借金と金利の逆相関から、関連性が無いことを広めたのです。

それに加え、そもそも国の財源は債権国の日本では無から拠出が出来、税収に関係なく増減のコントロールが原則制限なしの金で、税収は国民の能力を計るバロメーターの様なもので、直接政策施行に回されることは無いということです。

これまでの池上氏・政府が説明する相関性が、当たり前だと思ってきた私達には、一瞬理解しがたい事ですが腑に落とすポイントは、扱う省庁が違うことからも分かるように、そもそもそれぞれのお金の出所が全く違うという点を、理解できるかにかかってきます。



どうしても理解できなければ、「税収によって財源が確保される」というものでは無いという事実(これは国会質疑答弁で黒田日銀総裁も認めています)はおぼえておいてください。



出所や用意される時期も相関性が無いので、関連の無い金だという前提で考えれば、他の説明が理解しやすく、これまでの国や専門家の説明が誤っている事が理解できるのではないでしょうか。つまり納税者から見れば財源は国の供給能力を示し、税収は予算を決める際に国民の納税能力を計る物差しで、関連性はないということです。

ただ何故そのような本来から誤った説明を広めているかについては、過去にも書きましたしまた必要あれば別の機会に書きますが、要点はそう説明しておいた方が都合が良いことが多いと想像できますが、詳しいツッコミはここでは省きます。

 

それぞれの金は、関連性が無くとも重要な機能を持っていて、財源は主に対外的に日本の能力を示す役割を持っていて、これはどの国でも同じであり、税収は国によってその意味は様々、日本の場合はリアルマネーを流通させるための金として、また景気が上下した際に増減税で調整する役割として役立ちます。

そして、上にも書いた政府が民意を計って政策調整をする際に参考にもされるわけですね、例えば日本では他国に比べ補助金が少ない特徴がありますが、これも政府が国民同士で補う習慣に乗っかったものと言えるかもしれません。

 

では税収による景気調整・政策調整は出来ているのでしょうか、それを別の角度から見る経済専門家が出てきました、”所得税”と”住民税”の推移に注目し、公的な統計で比較すると所得税+住民税の合計が所得額によって、段階的にシフトするのはご存知だと思うのですが、過去と現在を比較すると税収の格差が見えてきます。

ここで、また基礎知識ですが、租税の公平性が原則適用されている中で、一律的な税法では時々に起きる災難や経済の浮き沈みで、法人個人への徴収に不公平などが起き得ますので、その際は適宜その時期の政府によって特別措置法が適用されるようになっています。

今回見る”所得税”と”住民税”にはその特措法が適用されていて、累進課税が適用されていますが、財務省HPで、1986年と2015年の”所得税”と”住民税”の変化を見ると、1986年の所得税率は、給与所得に占める2税の合計が最大88%、2015年ではそれが累進課税MAXで55%と圧縮されています。

 

税金が減るなら嬉しいじゃないと思うかもしれませんが、圧縮されているということは、それだけこの約30年間で給与所得が目減りしたからであり、全給与額の最大55%ということは低所得者より高所得者の方が割得感が増す特権的優遇も起きているということです。

ここでも30年の変化を知ると、この間財源は枯渇するどころか増加し税収とは関連性が無いと分かりますし、税収はその時々の政府によって景気調整されている事実を知ることが出来そうですが、特に高所得者は、給与所得の他に投資配当や不動産益になどの副産的所得手段を持ている人が多いので、全所得試算額の格差は広がっているということですね。

 

そのほかの税収では一つ一つ見ていくと際限が無いので端折りますが(ただ面倒なだけでは?)相続税等も少子化や企業規模縮小傾向の中で、被相続者不明や重税による棄権によって最終的に国の収入減になっている事も、税本来の目的とは乖離した事実が見え隠れする問題の一つです。

今回はざっくりではあっても、消費税・所得税・住民税・相続税の話だけでも結構な文量になってしまい、最後まで呼んでいただいた方もため息が出たかもしれませんが、税収が国の財政とは切り離して考えるものだと承知いただけて、それでも国の財源基が自由なのになぜ負担増になっていくのか、増税の根拠を追跡する切っ掛けになれば幸いです。