くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

銘酒「だっさい」の試練から見る日本酒市場

ここ数年世界への知名度がうなぎのぼりの山口県の銘酒「だっさい」ですが、先の中国地方の集中豪雨による被害、品質低下によるブランド維持を断念しておりましたが、同郷の著名人の協力で「だっさい・島耕作」ブランドとして格安で販売が決定しましたね。

メーカーとしては痛手ではあるものの、もしかしたら高品質の銘酒を手軽に飲めるチャンスができるのは、不幸中の幸いなのかも知れません。

 

さて、受難続くだっさいの社長が欧州調査、ワインに比べ日本酒の品質管理の難しさを痛感していると、ある番組でやっていましたが、筆者のお里でも「三千盛」という、酒好きには名の知れた銘酒があったのを覚えています。

こういった日本酒は、ブームにに乗って世界各国で評価も高まっており、品評会で受賞するなど注目されてはいますがデリケートな日本酒は、ワインのように熟成するほど品質が高まるのに対し、1年以内繊細なものでは数カ月で別物に変わってしまうと言います。

 

さらに、日本の企業が品評会受賞を重視する傾向に対して、海外市場はあくまでそれはきっかけであり、ゴールでは無いことも番組のインタビューで指摘しています。

日本酒の開発や市場拡大で地方創生をはかる企業や自治体が、受賞でハクをつけブランド化につなげる手法は、国内では有効でも海外ではさらなる地道な売り込みは当然のように必用な現実は、そもそも国内外での解釈の相違を乗り越え無ければならず、日本風土で育った日本酒は、海外展開で大きなハードルになるということです。

 

 では、日本酒が海外展開で超えなければならない壁とはどういったものでしょうか?

 

例えばこういうことです。

toyokeizai.net

日本とフランス、「飲み会」はこんなに違った | フランスから日本を語る | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

上記事のような飲み会やPOTといった酒を楽しむ機会は、大人の楽しみでありコミュニケーションの重要な機会になりますが、酒の市場では日本酒は前者だし、ワイン市場は後者といった文化的な相違も、大きな課題になっています。

日本酒は「お祭り」文化と切っても切れないように、大騒ぎやハメを外す格好の場で振る舞われていて、ワインはそれに比べ場をわきまえた上でオフを楽しむ場で社交の潤滑剤の役割があって、同じアルコールでもそれぞれ飲む目的や効果が異なっているようです。

 

地域創生の成功に関わるヒントとして共通に言えることが、このお酒市場にも言えるということで、つまり単なるモノや名前の売り込みだけで市場は拡大できるわけでは無いということ。

物量戦略でゴリ押しできるほど潤沢な資金を持てない地方自治にとって、知恵を巡らせ効率よく限られた予算で売り込むのには、売り込む市場の下地をどれだけ知って何が向いていて、何が効率悪いのかをそれなりに判断した上で、行動しなければ生き残りさえ困難でしょう。

 

日本酒を、もっと多くの異文化の人々に知って楽しんでもらうには、日本のお祭り文化や日本の素朴な人間性を売り込む絶好のチャンスとして、取り上げてみるべきなのかもしれません。

こうした文化や慣習を超えるために、日本酒は単なる商品市場の開拓と言った発想だけでない、それこそ社会現象そのものを変えていく位のモチベーションを持って普及を目指したいものです。