くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

自転車の市民権拡張に、乗るか反るか?

  筆者も自転車を一台持っていて自動車と使い分けている立場ですが、筆者の周りで最近耳にするのは、自動車社会と言われた日本で、自家用車を手放し自転車や公共の交通機関にシフトする、と言う話題を多く聞くようになりました。

 その兆候は、名古屋のような道路の広い都市は基より、人口の多少に関係なく自転車専用レーンを設ける自治体の増加に見られます。

 

自転車好きの歴史学者、忘れられた「自転車専用道路」復活ののろしを上げる|WIRED.jp

wired.jp

 

 紹介記事のような自転車を愛好する方に偏らず、主婦や高齢者を中心に日本の優秀なママチャリによって、道路における自転車の占有率は向上しているのでしょう。

 更にこの先勢いを増すあと押しなっているのが、電動補助サイクルの低価格化と普及拡大ですが、電動バイクも加えて電動自転車そのものが、オシャレなデザインのに注目度が上がっているのも、いい傾向ですね。

 

 因みに、世界目線で自転車の利用事情を伺うと、やはり中国の自転車通勤シーンの映像が思い浮かぶほどですが、実際今でも彼らにとって自転車はマストな移動手段みたいで、最近のニュースでも上海の自転車利用事情を報じていました。

 

中国のシェア自転車が街のゴミと化した本当の理由 罰金制度を導入しても根本的な解決にはならない | JBpress(日本ビジネスプレス)

jbpress.ismedia.jp

  このニュースで私たちは、中国人のマス行動に注目する前に、自転車利用の普遍的な課題や心理に注目すべきかもしれません。

 名古屋市でも何度も実証実験で、自転車ライドシェアを実施して様々な課題を浮き彫りにしましたが、上海の事情は数の上でとても参考になるように、こうした2つの事例を取り上げただけでも、単に便利・エコだからとか安易に普及するのは、既得権益の温床となれば本末転倒です。

 

 また現状でも残念なこともあって、と言うのは先月普通自動車免許証の更新をしてきたのですが、その講習で目新しかったのは、自転車運転のマナーでなくルール(法規)の現状でした。

 ここ数年前から名古屋市では、自転車の交通ルールの周知化を実証実験しておりましたが、遵守の徹底は困難を極めているようです。

 

 そもそも自転車において国内のルールは、自動車のそれに比べて特別過ぎる程甘いものでしたが、その遅れも影響してか最近の自転車市場の拡大に、いよいよ追いつかなくなっており、かと言って急に「守れ」と言われてもできない相談なワケで、ルールの徹底が発展途上国並に遅れています。

 その結果、道路全体における自転車の位置づけには、あまりにもグレーゾーンを必要とする曖昧なものとなっていて、最近シビアになっている飲酒運転においてさえ、表面化しなければお裁き無しの無法地帯であります。

 

 使う側としてはあわよくば「固いことは言いっこなし」となるでしょうし、ルールをつくる側でもグレーゾーン多すぎるこの課題にメスを入れるのに躊躇している空気が伺えます。

 理想は利用者の良心に任せたいところでしょうが、現実は自動車でさえ守らない人があとを立たない程、ドライバーの良心はあてにされていませんので、自転車であっても推して知るべしでしょう。

 

 こうした法遵守の厳格化の周知徹底は、今後の法を出す側受ける側双方の努力に期待するところですが、その過渡期の今に道路の絶対的拡張が困難な状態での、自動車と自転車と歩行者との、熾烈な道路幅員の奪い合いとなるだけで、むしろストレスが増える分事故は増えそうな気もします。

 自転車専用レーンの創出で、道路の仁義なき三者の闘いによって、交通違反の抑止効果が生まれていくと良いのですが、社会福祉より経済効果を優先する関連省庁・機関のスタンスを少しでも変えていただかないと変わらない気もします。

 

 一旦自動車優先に作られている道路がある以上、小手先の変更だけでは話を複雑にするだけのような気がしますし、人口減少を機会にせっかくなら公共機関の整理見直しや、自動車が排出するCO2排出削減施策とでも銘打って、自転車(電動含む)と歩行者優先のインフラ施策を前面に打ち出した方が、今っぽくないですか?

 都市部に住んでいればより自転車のメリットが活きますし、郊外に住んでいれば自動車は生活に必須になりますので、災害時の水没・崩落対策を兼ねて郊外中心に道路整備を優先し、都市部は自動車以外の利便性を優先できるといいかもしれません。

 

 例えば名古屋市で言えば、既に道路については基本的に拡張はほぼ必要無い分、自転車優先の意識を徹底することで、スピード優先意識の抑止とするとか、郊外の湾岸・山村地域は、護岸・崩落工事を兼ねた、サイクリングロード・遊歩道併設の擁壁や堤防を増やすなど、観光と実益を兼ねたアイデアを期待したいです。

 人が減っていく分、今までのような公共インフラ工事のスタンスでは、税金の無駄使いですから、市町村単位のインフラ予算割り当てでなく最低でも都道府県、地方単位での予算割り振りによって、広い範囲でのインフラ利便性の見直しは必要ではないでしょうか。