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東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

ネット同時配信の行方。地方放送局の試練と期待

 ニュース・スポーツ・インタラクティブ番組の配信の主役であったテレビメディアが、潤沢な資金があるうちの選択ということでしょうか、政府がネット同時配信を解禁に踏み切ったとして、大きな話題になっているようです。

 

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テレビ・ネット同時配信化への課題

  情報通信審議会は、東京オリンピックパラリンピックを好機ととらえて、方向性としてはテレビとネット同時配信の方向でまとめる意思を見せてはいるものの、実際の動きは検討の段階を出ていないようです。

◆民放は同時配信を規制されてはいないものの、実行に移すには高いコストがかかります。例えば音楽の使用料を払うといった権利処理も、テレビで流すためとは別に、ネット用の手続きをとらなくてはなりません。またアクセスが集中しても安定して配信できるための設備も必要。こうした手続きや費用などもろもろを放送局が負担するのは一筋縄ではいかず、特に小規模な地方局にとっては高いハードルがありました。

◆情報通信審議会に対しては、多くの視聴者が同時に視聴した場合のシステム負荷などの技術的な課題や、ネットワーク利用に係る費用負担、権利処理などの課題などを諮問する。

 

国内放送業界が抱える関係

 これ以外にも、昨今のネットインフラの劇的な向上によって、ネット動画配信を含むインターネットTVの台頭が背景にあるのは否めません。

 ネットによる情報発信のレスポンスがテレビメディアより早く、情報提供の速さではテレビ配信の優位性が低くなっていることや、若者世代を中心にしたテレビ離れの現状を、無視できなくなったことも大きく影響しています。

 

 この国が、何かにつけて模倣・追従しているアメリカでさえ、放送ネットワークビジネスは完全に大手資本系列傘下に組み込まれ、政府の動きとは完全に独立して機能しているにもかかわらず、メディアについてはその模倣無く独自の発展を遂げていることからも、特異な発展をしている企業ジャンルという点も、この課題がカンタンな話ではないことを物語っています。

 

 その事情には、某国営放送局の視聴者の放送料収益と国からの税金という、潤沢な資本によって独り勝ちと言ってもいいクオリティに、民放はスポンサーからの資金では、国営放送の独り勝ちを止めることすらできない現状では、ここにきて独り勝ちの国営放送局の悲願の法規制解禁は、東京の民放親局でさえ寝耳に水かもしれませんね。

  この大英断が、前向きに進んでいることで、民放系列の地方放送局との主従関係が続くのは、地方局にとって厳しい条件となりえます。

 

 これは上記の引用文にもあるように、ネット同時配信の実施はただでさえ予算の限られる地方局に、金銭的負荷を生じるためです。

 今後ネット同時配信を民放も始めることは、双方の関係も見直しの流れが加速していくのでしょうか。系列地方民放局は、独自に方向性の模索する必要に迫られると推測されますが、今後どのように独自性を持って地域密着性を高めるのか、注目したいところです。

 

でもでも、その可能性に期待

 ただし、これは地方局の可能性を広げる好機ととらえられる一方で、大きな課題は系列放送局内でのタテ関係が、今後どのように立て直されるかにかかっており、今更地方局に負担を押し付けるような関係であってはならないでしょう。

 先に挙げたアメリカのメディア事情を考慮すれば、地方と中央メディア局は本来でなければいけませんでしたが、国内のこの業界にも他の企業にもれず、独自のタテ社会によって「連携」の名のもとに発展した独自手法は、ここにきてこの国の中だけの課題にとどまらなくなっているのではないでしょうか。

 

 新興ネットメディアは、今後もその即時性と低コストを武器に、ますますテレビメディアを凌駕していくと同時に、そこには国内大手企業内で次々に問題化するタテの指示系統の限界をみることができます。

 このきしみが今後うまく作用して、テレビメディアの健全な方向への発展がみられるのを楽しみにしていますが、そのためには米国とは規模比較にならないにしても、アジア圏を含めたメディア市場も見越した、新しい発想による中央と地方のテレビメディアのかつてない発想や、連携の再構築がもとめられているのかもしれません。