エコな社会実験、名古屋市が始めるが、さて?
ここ何年かで、自転車利用者が増えてより健康志向になっているのは、望ましいことですね。
「名チャリ」から「でらチャリ」へ
かつて五年ほど前にも名古屋市はシェアサイクルを試験実施していました、たしか市内の放置自転車をリサイクルして活用した自転車というのが触れ込みだった記憶です。
その当時はエリアが名駅と栄間を結ぶもので、自転車を貸し借りする「ステーション」も結構あった記憶でしたが、 調べなおしてみたらやはり名古屋市は、2009年・2010年にステーション数30ヶ所、貸出自転車台数300台もの規模で名古屋駅東ー伏見ー栄のエリアで「名チャリ」という名前で実施していました。
さらに調べると、そもそも「名チャリ」の起源は、2005年の「愛・地球博」開催時に会場までのアクセス手段として、名東区藤が丘と長久手市の会場西口までのレンタサイクルを全185日間実施したことにあるようです。
「愛・地球博」のテーマにはエコが深くかかわっていたので、そのテーマに沿った名古屋市の新しい試みでした。
さて、前回の「名チャリ」は登録すれば無料利用できましたが今回の「でらチャリ」は有料で栄エリアのみの実施のようで、前回と同じ民間企業「蔦井」と連携してより本格的な実用化に近づけたもののようです。
ある意味どの街でもあるあるの極例
ただ今回の「でらチャリ」が、エリアを栄に限定したねらいがよくわかりませんね。以前のものは明確に名駅と栄という一見近くても結構移動に難儀する区間の為、自転車移動はありだと思ったのですが、栄だけなのは限定的な実験だからなのか、使われる行動範囲を把握するためなのか。
企画の根底には自家用車の違法駐車の提言や、エコな移動手段の提言なのでしょうが、単に予算的な事情で規模が小さくなったきらいもありそうです。
他にもいまでは、民間の小規模レンタルサービスなどは、それなりにあるようです。
「でらチャリ」と同時にすべきこと
筆者が今回の事情実験を知ったのはつい最近の事で、偶然栄大津交差点付近の駐輪場に、まさに紹介記事に写っている自転車が、停めてあるのに気づいたからなんですが、「また始めたんだ」と思った翌日に紹介記事をみつけて、あとから概要を知りました。
実物を見るに、さすが有料のせいかバスケットはもちろん、ペットボトルホルダー まで付いていて豪華仕様? 施錠もあって盗難されにくいし、ハンドル左側にベルまで付いています。(これは自転車の法整備強化後の実施のため義務化で付いているのでしょう。その割にライトが無いようで、時間制限で夜間走行禁止仕様?)
ハンドル中央には、借り出し・返却先の「ステーション」を示したマップまでご丁寧についていますね、ちょっと借りるのにハズカシイです。。。(/ω\)
記事を見た翌日には居なくなっていたので、全方位撮らなかったのが残念ですが、サイトの説明には、レンタル期間は時間貸しと日貸しがあるようなので、筆者が朝大津通で見た車両は、日貸しだったかもしれませんね、通勤に利用したのかもしれません。
前回の実験より確かにクオリティアップはしてはいますが、いかにもオシャレじゃないので、名古屋市が意図する「エリア限定」「質実剛健」と言ったムード丸出仕様。
おそらく、全国のそれと同じ仕様を流用しているっぽいですが、その分ぞんざいな扱いを減らす目的もあるかもしれません。
東京のような自動車移動より公共機関の方が重宝される都市なら、まだ需要はありますが、名古屋はやはり自動車移動の依存度がまだまだ高く、残念ながら自家用自転車においても、盗難車の乗り捨てや違法駐輪も著しく、交通マナーも悪いです。
名古屋市含め愛知県は、とても住みやすく自動車さえあれば、移動も便利に出来ていますが、日本第三の人口規模の都市にしては、自動車の利便性を優先しすぎだのかもしれません。
その分まだまだ自転車など自動車以外の利便性やマナーへの配慮が、遅れているように感じる部分が往々にしてあります。
それが顕著に出ているのが「名古屋走り」にあらわれている、歩行者や自転車など交通弱者への配慮の欠如でしょう。
サービス・実験と同時に下地整備も大事
自転車や徒歩で市内道路や交差点を移動してみれば一目瞭然ですが、名古屋のドライバーの交通弱者への認識は、間違いなく「邪魔者」なのです。
なまじ広くなった道路の為に、また自家用車の普及率も都市部にしては高いせいでしょうか、自動車優位の意識が定着し、すっかり公道を私物化しているかのようです。
一方で道路が広い割には自転車の利用が少なかった為に、今の自転車ブームに沿って利用者も増加はしたものの、交通マナーの意識は自動車のそれと変わらないのか、守る意識も発展途上と言わざるを得ません。
ただ、その中でも多くの人がマナーの悪さを意識して改善しているのも事実ですし、他の地方と比較して、意識を相変わらず変えない人が、変えようとしている人と比べて圧倒的に多いということなのでしょう。
公道への閉鎖的な独自意識を変えられないのは残念なことですが、地道に改善しなければなりません。
本体なら自転車利用を推進する都市政策としては、現状がどうであれ平行して進めるのは当たり前ですし、エコにつながって喜ばしいことのはずですが、名古屋市内をリアルタイムに見知りする一住民からすると、もろ手を上げて喜べない複雑な気持ちになってしまうのです。