くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

安定よりも強みを持った企業であるべき理由

今年に入って、閉店や倒産をした店舗企業が過去最高を記録更新中なのは、ニュースなどでご存知か、中にはその煽りを受けて仕事を失った方もいらっしゃるかもしれませんが、飽和状態で存在価値が問われた地銀が、企業融資で存在を高めています。

これは、政府の経済復興政策により銀行融資条件の緩和などが実施されたり、大手ネット銀行の傘下に入る動きによる、何らかの意思表示だと考えられ、これまでの消極的な企業診断や融資基準の大きな変化が起きたことを示します。

 

その大きな変化の一つに、MAや企業合併の動きが活発になり、企業価値が上がっていることがあげられますが、企業にしろ地銀にしろその経営能力の弱みを、経営統合によって強みに変えようと一斉に動いているということでしょう。

これまでの日本の企業は、雇用者の労働条件を意識しすぎるのが災いし、人件費の圧迫で収益効率が上がらない傾向にあり、人材不足と相まって雇用確保できず思うように業績を上げられず、悪循環となっていました。

 

この傾向は、小規模企業に限らず大企業でも基本例外でなく、たとえ業績好調であっても雇用者に還元せず、体質維持のために内部保留で長期維持を続けてきた経営方針が、かえって守りに入ったところに、コロナショックでさらに守りに徹しざるを得なくなっていました。

ここで多くの企業が廃業を余儀なくされ、内部保留をした企業も多少持ったものの、業績低下は回避する術を持たない企業と、本来から積極的に強みに投資していた企業との差は、大きく開くことになります。

 

攻めを緩めない企業と守りに重きを置いた企業との違いは、このウイルスショックが起きなければ、表面上は意識されにくいまま問題化されなかったでしょうが、どちらもそれなりに収益を大きく削がれながらも、強みを持った企業は合併や買収に当たって、優位に条件を運ぶことができたわけです。

同じ合併案件でも、する側とされる側の雇用条件は雲泥の差が出ますし、WinーWinの関係にするにも、双方に強みがなければ成立しませんから、保守に転じていた企業はMAで買い取られる機会もなく自助努力で攻めに転じるしか選択肢はありません。

 

たとえ、時代の先端をいく業種だったり影響を受けにくい業種なら、幸いだったかもしれませんが、こうした業種に就いている企業は元々戦略的に予想した上でそうなっているのであり、この判断力も強みでしかありません。

伝統産業や保守産業に対して、以前から警告されていた市場開拓の消極性は、安易に成長産業しか融資しない金融機関の体質と相まって、相乗的に経営転換のチャンスをお互い消し去っていたことを反省すべきです。

 

上にも書いた地銀の好調さがしばらく続いても、結局企業診断力を含む成長戦略を提案指導できない金融機関は、遠からずに淘汰されるでしょうし、むしろその判断力に長けた大手金融機関に買収統合された方が、融資金の活性化が促されるでしょう。

かなり前から多くの金融機関の、本来あるべき企業成長保護の役割機能への疑問が高まっていたところに今回の大打撃が起き、強みを持った企業がさらに動きやすい機会を生んだとも取れなくはありません。

 

被雇用者側としては安定した雇用条件に魅力を感じているかもしれませんが、今までの国内企業は利益還元を適切に雇用者や出資者へ還元していないことの方が問題であり、同時に強みを成長させる攻めに、リスクを取らないサラリーマン経営者が増えたことが、この低成長時代を助長した面もあります。

みなさんが働く企業がどちらに当たるのかはわかりませんが、雇用安定に目を向けざるを得ない時期だとしても、今一度経営陣の戦略や方針、実行力を見定め直すのにも良い機会ではないでしょうか。

 

経営側にもこの苦難は、大きな試練を生んでいますが、同時に被雇用者側にも正しい職場環境を見定める目と、これからの人生設計のあり方を責めるか守るか、経営者と全く同じ判断力を問われているということです。

グローバル社会化する波に日本も巻き込まれて、ニューノーマルSDGsなどの海外スタンダードの強制を受けながら、日本の強みを打ち出していく時代が、どれほどリスクに満ち、その分大きな可能性を持っているか、企業にも個人にも対極的な判断が問われているのです。