国産ジェット旅客機の前途多難、その後
デビューしたもののその後長年の生産延期となっている国産初ジェット旅客機が、大幅なリニューアルされ再出発をするとほうどされました。
昨年末あたりから飛行日数を稼ぐための試験飛行を行う中で、当初のアメリカの定める規準との食い違いを埋められず、席数変更を余儀なくされたなど大幅な仕様変更があって、この際ということか、イメチェンも兼ねての再デビューとなりそうですね。
このブログで何度か地方創生産業として取り上げてきた国産ジェット機開発の迷走は未だ先の見えない状態ですが、地域産業の目玉として始まった事業が示したのは、愛知の大量生産時代の転換期を浮き彫りにし、その先にある日本製造業の今後をも見透かす指標となっていると見えます。
ここはあえて愛知の産業として扱いますが、出生率が比較的安定していた愛知でも少子化傾向が出てしまいましたが、生産業を主産業としている東海地方が迎える、産業転換の行方はとても気になるところです。
愛知の出生数6万1230人、47年以降で最低に :日本経済新聞
このMRJ製造案件は、すでに未来の地域産業の話題の域を超えてしまい、地域創生ブログで書く意味を無くしてしまっているかもしれませんが、可能な限りトレースしながら課題を考えていきます。
MRJの開発は今も着々と頓挫せず進行していますが、条約改正の読み違いとそれによる仕様変更インフラ買収と、想定以上のハードルを増やしているために、目標が後送りされ続けていて、製造業としての優位性とメリットが減りつつあります。
三菱重工が赤字のボンバルディア「CRJ」買収を急ぐ理由 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
少なくとも愛知県の次世代を担う製造産業としての現実味はなく、課題がようやく見通せてきたことで、現実的な課題克服の計画が進み出したといったところでしょうか。
これを進歩と呼ぶかは考え方は様々ですが、日本が航空産業から離れたブランクの大きさは、日本の優秀な技術力だけではクリアできるものではなく、むしろブランクによって変化した業界への適応能力や勘を取り戻すだけで精一杯の段階です。
ただ、このチャレンジによって愛知の製造業としての課題だけでなく、国内共通の製造産業のグローバル化のための課題が生かせることははっきりとしてきました。
日本の製造産業の最大の難関は、今米中貿易協議の中でアメリカが軍事面だけでなく知的財産権や製造生産インフラや、市場の優位性にまで影響力を持とうとする動きに、このMRJによる航空地場産業が晒されたことです。
その中で、日本独自の技術を海外流出させず、独自の優位性、日本らしさをブランドとして保てるかを問われたということでしょう。