くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

ROAD to MRJ と、私たち日本の人々の挑戦

  そういえば、久しぶりに「MRJ」の記事を書きますね……。

 

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 筆者が始めてパスポートを取得したころの航空機での海外旅行などは、高額で敷居の高い一種のステータス性がありましたが、今ではGWや年末など長期休暇シーズンは基より、オフシーズンでも週末の数日・日帰り旅行を海外で楽しむのは、珍しくもなくなりました。

 そんな当たり前になった移動手段を支える航空旅客機について触れますが、今日本は特に名古屋市中部地方自動車産業から航空宇宙産業への、大きな主軸産業の転換を国をあげ進めているのはご存知のことと思いますが、今回はMRJを通した航空事業のニュースを動画を通して見ます。

 

 そのきっかけになった筆者が参照したこの動画も、今日配信された下の記事からたまたま見つけました。

 動画は、ちょっと長いですが良くまとまっていて、最後まで飽きずに見れました。

news.mynavi.jp

 

 

  国産プロペラ旅客機が途絶えた後空白の50年。それだけに一昨年11月に愛知県の小牧空港での、国産ジェット旅客機初フライトの成功は、10年で5000機を見込む成長する航空市場への期待は大きく、ロケット打ち上げによる宇宙産業と日本柱で、次世代産業へ期待されてきました。

 航空産業は、ブラジル・カナダがほぼ独占する業界に加え、ロシア中国も参戦する中で、MRJ一機で50年のブランクに負けず挑む日本ですが、ここに来て当初の期待とは裏腹に度重なる過酷な試練の話題が多く、何度も初号機納入の先送りを発表しており、関係者でなくとも、先行きに不安を感じる人も少なくないでしょう。

 

 そうでなくともMRJ関連ではあまり明るい話題が続かず、初期投資を進めている地元愛知三重では、裾野産業として期待されながらも下請け関連企業は、集めた人材や設備を何らかの他の生産などに割り振らざるを得なくなっていて、混乱をきたしています。

 その中での今年の5度目延期は、地場産業への影響をさらに悪化させるものではあるものの、改めてかなり出回っているニュース・動画などの、開発からの経緯などを省みると、MRJで日本が挑んでいる「失われた50年(70年)」の技術復帰への道が、いかに過酷なのかが改めてわかります。

MRJ 131029 MRJ遅れの真相 - YouTube

 

 かつて日本が航空機に携わっていた時代に比べ、かつての自動車産業の様に西洋が機得しているとも言える、2社独占状態の航空産業の懐に飛び込もうとする日本のリベンジは、航空旅客機の命題でもある徹底した「安全性」「信頼性」にかかわる、膨大なルールをいかにクリアするか、に注がれています。

 この安全性を確保し信用を得るために、今や名を知らない人はいない航空機製造大手エアバス社でも、莫大な投資と20年の苦渋の試練を乗り越え、ようやく黒字を勝ち得た経緯を持つように、初飛行からまだ1年のMRJが採算ベースにたどり着くまでの試練は、容易に想像いただけるでしょう。

カメラがとらえた飛行機事故 - YouTube

 

 しかし、業態として超高額な開発投資と時間を要する事業への新規参入とは言えど、それほどの高いリスクを追いながらも参戦に踏み切ったのは、覚悟の上でありそれ以上に国内で疲弊する技術産業復興の可能性、産業が参画しやすい裾野を広げられる期待のほうが大きいからに他なりません。

 この試練は、過去のミッシング・リンクを埋めるべく理不尽ともいえる「世界標準化基準」への新たな戦いに挑んでいるのにも係わらず、今まで幾度とない延期に「何やってんの?」とぶーたれていた自分が、とても恥ずかしくなりました。

日本が旅客機を製造しなかった理由とは - YouTube 

 

 地元在住の地の利をいかして、MRJの初フライト当日はなんだかんだ言いつつも、車を走らせ見に行くほど舞い上がっていた筆者だけに、その分5度の納入延期のニュースは思いのほか残念でしたし、日本の技術力はその程度か?と侮っていました。

  それでもやっぱり、航空機産業でも素材や部品の信頼性においては、日本の技術は今でも世界最高水準であり、これからも負けることはないでしょうが、一方で新しい課題も見えていて、この課題に今の日本は苦しんでいるのですね。

 

 それは何かというと「市場を読」んで、それを高い技術力と「マッチング」して製品化する「技術の統合力」であり、その製品化です。

 

 日本の国内生産する部品や技術(サービス)は、単体で見れば「ジャパン・クオリティ」という冠たる評価がされるように非の打ち所がありませんが、それをまとめ上げひとつの製品として完成させ、利益につなげるまでの世界市場での経験値が不足しているようです。

 ここで、自動車や家電での日本製品のクオリティの高さで反論する向きもあるでしょうが、今日本が抱える問題はその技術力のおごりで無視し続け「ガラパゴス化」した、世界市場への無関心な姿勢だったと言えば、わかってもらえるでしょう。

 

 日本企業はバブル景気前後を頂点に、海外市場進出に成功したように国内では報道されましたが、現在に至るまでその間には、現実では韓国・中国などの新興国によって、技術面でさえ出し抜かれています。

 これはご存知のとおり、日本の基準を無理に世界市場へ押し通そうとした「放漫」が、世界が求める日本の期待を見逃した負の歴史に他なりません。

 

 航空機産業の中心を担う地のひとつである、愛知県に住むものにとって実感するのは、技術がありながらも世界標準に追いつかねばならない「ブランク」は基より、加えてその欧米が日本に課したこととは別に、世界市場を見誤ったために自らが「ハンディ」を課してしまったことが、次世代産業に影響していることです。

  それでも、こうした反省を伴うリベンジはすでに始まっていて、トヨタなど自動車産業でモジュール見直し・国際標準対応化だったり、家電でも新興企業などから「世界市場」スタンダードに柔軟に対応する空気が、育っているのは良い傾向です。

 

 海外への旅行が「ふつう」になった今、こうした意味でも国内識者の海外への取組みや、現役・次世代の国際事情への関心向上への施策・母国語以外の複数言語教育への啓蒙を、国家レベルで「ふつう」にするまでは、かつての失敗「ガラパゴス化」へのリベンジとは言えないのかもしれません。

  昨今幸いにも、国内は2020年東京オリンピック開催に向けて、良くも悪くもその気運が高まっているだけに、この上向きの空気を上手く生かしてほしいですし、MRJが直面している「国際標準」との隔たりも課題を、私たち一人一人がこれからの行動に役立てるために共有できればと思いました。