春夏秋冬だけじゃ足りない、地域を甦らせる活用
地域創生で何かと話題になるのは、過疎の住民対策と活性化に尽きると思いますが、国内の地方で過疎地域特有の自然の豊かさや、四季の移り変わりを武器にするには、どのような発想がいるのでしょうか。
日本の春夏秋冬が、過疎地域のイメージアップになるか?
少子高齢化の時代には、様々なインフラの合理化が叫ばれるようになっていきますが、合理化される上でも住居の間引きや、高齢者向けに立て直すためには、単に自治体が税金だけで賄うにはあまりにも心もとないものです。
その実現には何らかの事業化によって、採算が採れるようにしなければ頓挫してしまうでしょう。
一般的に思いつくのは、住宅メーカーによりリフォーム事業を行うか、不動産企業と介護起業者との提携による有休不動産の転用などが考えられますが、今のところそういった事業を進めようとする企業はあまり見受けられません。
やはり自治体の明確な用途地域計画が提示されてこそ、民間企業は採算が取れるかをはじいて事業化していきますので、いかに早く自治体が動いているという安心感を持たせなければなりません。
他にも過疎地域の活用には、いろいろ考えられると思いますが、今回は土地や風景、季節を取り込んだ活性化で地域の魅力を上げていく方法について考えます。
ある地域では、夏は得意だが冬は……とか、その反対だったり、春夏秋冬を通して安定的に収益につながる手法は悩ましいところですね。
過疎化する地域に今後も住まう場合、昔から過疎化する部落というのはあったように、消え行くまちに住み続けることは、始末の問題などある程度覚悟が必要になるでしょうし、支える人たちのほうが減る以上、生まれ育った地域を諦めなければならないケースのほうが圧倒的に増える筈です。
不幸にも災害で生まれ育ったまちを離れなければならなかった人も含めて、故郷を去る選択は大きな負担であり、精神的にも痛手ですが、それを余儀なくされた時に、何を残して行くべきかを考えなければならない機会が訪れるとしたら、どうでしょう。
いみじくも筆者がたまたま見たアニメ「君の名は」でも山間部の街が流星の落下で消滅するシーンがありましたが、村祭りの日に多くの人々が消えるシーンがあります。
アニメでなくとも同じような現実が神戸や東北・九州で起こりましたが、災害でなくともダムの建設や人口減少でまちは消えていくのです。
突然の災害ではどうしようもありませんが、事前の計画でまちを去らねばならなくなった時に、シンボルなり記念碑を残したまちもありました。
過疎化の進む地域は、自然豊かな場合が多いですから、その自然の良さを生かして魅力を引き出せれば、まだそこに住まい続けられるかもしれません。
また、過疎化した山間部や地方の豪雨による被害防止の治水対策、地方雇用の促進に、ダム建設を再考しても良いのではと
元国土交通省河川局長 竹村 公太郎氏(別記事抜粋)
日本には非常に多くのダムがある。大きなものでは、国が直轄している多目的ダムから、都道府県が管轄している小さな砂防ダムまでさまざまだ。そのどのダムについても、水力発電に利用できる。
ダムが大きければ発電量が大きくなるし効率も良くなるが、小さいダムでも発電は可能である。ダムの高さが10mクラスの小さな砂防ダムでも発電は可能で、100k~300kWほどの電力は簡単に得られる。
たとえば200kwというと小さすぎると思われるだろうが、実際にはバカにならない。なぜなら、砂防ダムの場合、ひとつの渓流でいくつも存在しているからだ。仮にひとつの渓流に5つの砂防ダムがあれば、そのすべてで発電できる。200kwだとすると5つで1000kwになる。
さらに、ひとつの川には、いくつもの渓流が支流として存在する。支流すべての砂防ダムの数を合計すれば数十になることも珍しくなく、そのすべてのダムを発電に利用すれば、何千kwにもなる。この発電を、過疎に悩む水源地域の活性化に生かすこともできる。
こうした状況が日本中の川で存在しているわけで、一つひとつの川のダムの発電量が数千kwでも、日本全国で見れば膨大な電力となる。日本には多数のダムがあり、全国で新たに中小水力発電に利用できる箇所は、調査によってさまざまな数字を挙げているが、どれも数千のケタに上る。
たとえば、2011年に環境省が行った調査では、出力3万kW未満の水力発電を新たに開発可能な場所は2万カ所以上あり、そのすべてを開発すると、総電力は1400万kWに上ると試算されている。
中小水力発電の潜在力は非常に大きいのだ。
ダムでまちが消えるというのは、ひところでは悲しいイメージではありましたが、咽喉減少していく地方にとって、ダムの活用を考えうのはむしろ一つの選択肢と考えられるようになってきたということです。
その他にも、継ぎ手の減少する林業では、間伐材の活用用途も増えてボイラーなどで小規模でも、火力発電や暖房などの熱エネルギーを賄う利用方法が注目されていますし、温泉施設のボイラーに利用されたりしています。
大自然の景色を観光が、農村・林村のイメチェンに。
先日久しぶりに香嵐渓方面へ車を走らせ、足助城へ行ってきましたが、何度来ても三河の森は癒やされると実感できます。
愛知県の東に広大な森林地帯は、三河林業の屋台骨でもありますが、北は木曽ひのきや、信州の銘木が採れる昔から続く名だたる日本の材木生産地のひとつでした。
日本各地には豊富な林材が採れる地域が存在し、木を切り使い育てるというサイクルを引き継いできました。
今その林業が海外からの安い材木に押されて、宝の持ち腐れになっている現実は、足助城の立つ山の上からも、伐採放置した光景を見ることで理解できます。
木とともに生きてきた私達日本人は、グローバル化の波に飲み込まれようとしている今こそ、原点に帰ってアイデンティティを見つめ直し、国内の財産に目を向け最新の技術で利用する、新しい道を進む必要があると思います。
しかしながら現実は、単なる企業利益の追求に始終し、日本の特徴を突き詰められずに、海外との惰性的な勝ち負けに始終する迷走をしているように見えてしまいます。
農林水産物の自給率は異常に低い現実を、真に見なおされていないばかりか、偏った外交による産業構造の歪みは、戦後経済急成長をさせた代償でもありますが、大国の傘から脱皮をはかる上でも、自給率の正常化は大きな命題です。
国としての自給率見直しを推進し、一次二次産業を適正化すれば、まだまだ日本の天然資産の適正消費は可能で、それだけで自給率は格段に向上するはずですが、何が足らないのでしょうか。
地域のまちおこしの政策を、政府は結局は実施しているのですが、結局肝心なのは自治体の個々の方針であり、地域の売り上げをボトムアップするには、景気に左右される事を織り込んで自治を進めなければならいないと言うことです。
政府が発表するイベントや一過性の流行に乗るのは、それはそれで一施策として必要ですが、地域主導で進めていない施策は、注目される分は絶大ではありますが、特別ボーナスとしては期待できますが安定した収益に結びつけるには効果が出せていないようにこの記事からは受け取れます。
サミットの影響「プラス」26%どまり 三重・愛知企業 : 日本経済新聞
愛知の海外進出企業数、昨年末は調査来初の減少
愛知の海外進出企業数、昨年末は調査来初の減少
http://mw.nikkei.com/sp/#!/
article/DGXLASFD09H3J_ Z00C16A9L91000/
ニュースでも騒がれた爆買いで一時売上が上がったのも同様で、予め予測されていた上でその対策を講じられていない企業や自治体は、その不用心さを猛反省できているのでしょうか。
地域の本質や特徴を見極めた景気の基礎体力作りを、地方の自治体・企業は真面目にやらないと、
こうした反省からも自治体は政府の政策に依存しない体質づくりと、地場を精査した上での主たる産業を保護し、安定させる政策を軸にした基盤づくりがカギになるはずです。
また、
大自然の景色を観光に生かす、農村・林村を甦らせ地元の特徴を際立たせる技
2016/3/31 15:15:546億6千万円をかけて森だけしかなかった山村が、アウトドア施設で復活させていこうと、町おこしに力を入れ出しています。
豊富な木と、林業で培った木の良さをいかした観光施設の創生。
GWにむけて、
福井県池田町
森の中にワイヤーを張って、480mの距離を50秒で高低差を利用してかけ下るアトラクション、メガ・ジップラインを建設中
510mも増設され、これを核にしてアウトドア施設を山の中に作って3700円の利用料金で込み、年間7万人を見込む計画。
地元料理、獅子鍋もモニターに好評
またウッドハウス、ツリーハウスを来訪者と一緒に増やして、リピーターを育てる案もあるそうで、長期的にファンを増やす工夫も盛り込まれている。
その他にも、既に他の地域では、成功例もある。
滑り台1.2km
吊り橋、バンジージャンプ、川下り
季節の変わる自然の豊かさかを武器にする。
元々消えかかっていた、地元独自の無形文化財やf日本独自の風習を復活させる試みも同時に行われ、地元民の意識高揚と地域性を高める工夫も忘れない。
材料も人材全て地元付近の業者や自治で賄えば、雇用も見込める。
以前スキー場の再生請負人の記事を流しましたが、その時と思いは同じで、地域を地域の特色を生かした再生に成功している。
加えて、ここでも単体の自治では困難なら、近隣の自治体と共同で行えばリスクも折半できるし、地域の交流の増加にもつながると言うもの。
また、地域での観光役割の分担も確認しやすい、狭い地域でサービスが競合しては、なにかと不都合な事も多い、これを事前競合でさける狙いも考えられる。
このケースでもそうでしたが、一人の主導者を決めてその独断で進めるスタイルが多いように思います。
発想自体は、片に数人でアイデアを出し合っていると、なかなか核になる部分が定まらず士気も落ちてしまいます、リーダーにはそれなりの負担が大きいですがこの方が重い腰を起こすには、むしろ好都合なのかもしれません。
そこでしか体験できないものを提供する。
参加型のアトラクションで、リピータを育てる。
本来は国か、地域の主要自治体の地域計画のなかで、行うのが望ましいし周りに気遣う日本人らしいとも思うが、ことのほかそこまで中央は手が回らないのかもしれませんので、各自治の積極性が試されているともいえるでしょう。
森の中の良木を見つけるのが困難なように、見慣れた故郷から魅力を見つけ出す行為は、また日本でしか味わえない良さを日本人が発見するのは、結構骨の折れる作業なのかもしれません。
日本は狭い島国と言われはしますが、現在47都道府県に分けられているのは、歴史や政治的経緯もあるにせよ、同じ日本人でも多様性がある国だからでもあります。
つまり、ひしめき合いながらもそれぞれの地域が手を組み、また競争しながら絶妙なバランスで成り立ってきた経緯からも、細かい個性が万華鏡の色ガラスの様に入り混じって調和を保ってきました。
しかしこれは歴史的に見て、時の政府が統一をした以前からバラバラでも一国一国として、調和を保っていた事を今見直さなければなりません。
アメリカで言う連邦制の様に、自治体が治政や交易を独立して行い、小規模な地域でもそれなりに成立していた事実があるのですから、時の政府の集権化がもたらした統一は、独立国から自治能力を削いできたということではないかと思います。
さて、その流れからも「地方創生」は政府がキッカケをもたらしてはいるように見えますが、本来時代の流れからも遅かれ早かれその波は来ていたでしょうから、地域自治は地域住民との民主性にて正面から地域の将来だけを考えれば良いのではないでしょうか。
それは様々なリスクを背負う事になりますが、どの世間でも自由とその責任はセットですし、しがらみを気にせず地場の問題だけに向き合えるメリットはとても大きいように思えるのです。
こうした気風は、中央から離れた北や西の自治体ほど強いようですが、ITで世界の情報を共有できるようになった現代では、単に政府に逆らうとか、無謀な勝負を仕掛けるとかのピーキーな施策をする危険性は十分予知できます。
それよりももっと生産的な手段で活かし合う政策を目指す方向を選べるので、その懸念を持つのはむしろ海外進出に回すべきでしょう。
国内でやるべきは活かし合う事、国外ですべきは個性を際立たせ強調する事であり、その修練に集中すべき時が既にきていると言えるでしょう。
そのためにポジティブに柔軟に、個性を見極め世界の現象を見極め、同じ目的遂行にあたっては、したたかに連携して小国たりともさらに「ジャパン・クオリティ」を御旗に、世界市場でも小粒でもピリリと効く何とかの様に評価される国であってほしいものです。
[参考記事]
「斜陽」×「高齢化」の可能性 新聞屋がドローン飛ばす理由 - Yahoo!ニュース
日立システムズとみなかみ町、農業ICTによる地方創生モデル共同推進で合意 | マイナビニュース
http://news.mynavi.jp/news/2016/02/29/270/
みなかみ町と日立システムズ、農業ICTによる地方創生モデルを共同推進 | BCN Bizline
http://biz.bcnranking.jp/article/news/1602/160229_141594.html
総務省、地方創生とICTで事例表彰とシンポジウム | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイト
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/02/01/04069/?ST=mobile
野菜でまちおこしを | 東日新聞
http://www.tonichi.net/news/index.php?id=52176
岐阜県:ジ・フーズリニューアルオープンに向けた野菜市開催
http://www.pref.gifu.lg.jp/event-calendar/c_11444/renewopen.html
ラベンダーでまちおこし | 東日新聞
http://www.tonichi.net/news/index.php?id=53075