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くろま流 × NAGOYA式 ブログ

名古屋在住者の視点から地域産業・観光を通した活躍を応援。

人口減少の時代、技術の継承者を育てる工夫

 

 今までは人気だったサラリーマンの仕事は、脱終身雇用・非正規雇用の拡大によってその魅力は色あせ、公務員雇用へ人気が集中するという、職業のバランスのいびつな姿が、目立ってきました。 

 

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 この業種の偏りに加えて子育てしやすい街づくりや、日本の自慢だった産業技術と地域の主産業の担い手不足と併せて、少ない若者確保合戦の様相さえ見えています。

 さらに気にかかるのは、戦後から続けられている義務教育・公立学校での画一的な教育制度です。

 

 ただでさえ、パイの少ない将来の大人になる子供たちには、様々な可能性を秘めていてしかるべきですが、日本の教育特に義務教育は海外の子ども教育に比べて、画一的で個々の才能を伸ばすのに向いていないと言われます。

 

 最近になってようやく、個性化重視のカリキュラムや、自分で考える力を持つのに重点を置いた教育など、見直された面は評価したいですが、かつて今の社会にそぐわない教育で育った大人が、子どもに対して同様な教え方しかできないことが往々にしてあるなど、新しい教育の効果を引き出せていないとお感じの方も多いでしょう。

 

 大企業ならともかく、いまだに中小企業でさえ終身雇用が普通だった時代の慣習のままで、ワークライフバランスの悪い生活を強いられていて、相変わらず集団行動を是とする社会風潮が抜け切れていません。

 社風として、一致団結する結束力はたしかに大事な要素の一つなのかもしれませんが、日本の場合はそれをプライベートにも持ち込む傾向があって、ほとんどの企業は正社員に対し副業を禁止しています。

 

 優秀な若者にとって、マルチキャリアは魅力に映っていて、優秀な者が会社を去っていくのを止められなくなっている中、その新しい世代を育てる前に、いかに企業の魅力を出して引き留めるか、逆に才能あるものに関心を持たれる仕事をどう発信していけるかは、企業努力と継承者育成のキーポイントになっています。

 

 この伝統的な企業体質は、かつてのように良い面よりも、社員の個性能力を均一にし、選択を狭める傾向が目立っているのに、危機感を感じざるを得ません。

  もっとも需要の大きいサラリーマンの世界でさえ、このような課題をかかえているのですから、職人のような技術が売りものになる職種での継承や教育方法の開発を急がねばなりません。

 

 そのヒントとなる事例や、キッカケは無いものでしょうか。

 以前すし職人を育てるスクールのニュースを見ましたが、ひところの職人の世界は、寿司屋に方向に出て十年くらいは寿司さえ握れず、下働き中心で上下関係が強く、漸く握る技を覚えるにも、技を盗んで覚えるのが当たり前とされていて、一概に実力が認められるのにそれ相応に時間と忍耐と努力が必要でした。 

 

 これはこれで、職人の世界は全うだとされてきたわけですが、いつしか3K職種の仲間入りして職人の世界を若い世代が関心を持たなくなっていきました。

 また、伝統産業などの世襲職でさえ跡継ぎがつきにくく、技のレベルは大変高いのですが、高齢化して技の受け継ぎさも困難な業種も多く、継承方法の大きな転換期が来ているともいわれています。

 

 いま国内外で日本食ブームに乗って、外食の一部が職人の技術継承に一つの解決手段として、成功している例があると言います。それは技術継承を外部のプロデュース企業に委託しているケースがあって、日本では寿司より人気の高いラーメンの学校が人気高いので、その具体例も多いようです。

 

 ネットで探しても結構見つかりますし、ノウハウを完全数値化して、たった1週間でラーメンのプロを目指すラーメン学校もあるなど、かなり高度なレベルで外食産業のノウハウのビジネス化が進んでいるという、驚きの事実があるようです。

 その技術やノウハウは、実際にプロとして店を運営している実践者の実際のノウハウが、余すところなく数値化・マニュアル化できたことで実現した、かつての慣習ではありえなかったことです。

 

 3Kの職種でもう一つ課題とされるのは、土木建築に携わる若手の減少がすでに慢性化していて、長期勤務者も高齢化が進み、海外移住者に依存しているところも少なくないとかという、深刻な状態なのですが、この業界でもようやくいくつかの見直しが進んでいるようです。

 

 若手が集まる、1か月半で職人がそだつ左官業システムを構築した左官業者でも、業務をしながら合間に効率の良い教育実習を組み込んで、集中的に習得させる。

 見て覚えさせるのでなく、要点を正しく理解される様に積極的に働きかける、学ぶ方も集中できて成果も見えやすく、モチベーションが続きやすいなど、新たなプロの育て方で人材を効率よく育てて、無駄な時間を業務に充てる方法は、注目されるでしょう。

 

 この課題に危機感を持った人や、新たなビジネスの切り口の開拓に動き出す企業が出ているようで、前出の寿司職人専門の専門学校で、ネタのしこみから握りなどの寿司職人の技術面を身に着けられるのはもちろん、客を引き付ける美しい盛り付けや、接客方法までが一定額の受講料を支払えば、もれなく学べるというものです。

 

 こういった工夫が行われる事業は、3K産業でも人気業種だけで、全体で見ればまだまだごく一部の改善例と言えるでしょう。

 若者世代は、ネットネイティブなどと言われるように、今までの世代が動いて体を動かして学んだり覚えたことを、比較的見聞きするだけで覚えられてしまったり、体験必至だった世代と比べると、仕事の嗜好はどうしてもデスクワークになりがちなようです。

 そうすると、経験や習得に時間がかかる職人系の仕事は好まれないようで、まずは体験の面白さから始めないと、なかなかその面白味や凄みが分かってもらえないとか、スタートラインからして、ハンディがあって継承すら難しいのでしょう。

 

 ここで、一歩次のステップへ進行するには、現役世代と若手世代の綿密なコミュニケーションが重要なカギになります。

 実際若者世代の中でも、手の器用な者や職人に魅力を感じている者は、少なからずいると思えますので、まずは地道に才能の芽を探していけるかが、カギになるのでしょうか。

 

 そのためには現役世代の方は、今一歩引いて周りを見回してみると、そこに有能な若者世代がチャンスを探しているかも知れないので、その機会をいかにたくさん作って、窓口を広げておくのが良さそうです。 

 その可能性の芽を放置するか、育てるのかは現役世代の腕の見せ所であり、職人であっても経営者の目を持つ、またはそういう人材を用意できるかにかかっていると言えるでしょう。

 

 かつて芸能でも文化でも、もちろん産業でも足で渡り歩いた行商人や職人によって、その交易が盛んにあったことを紐解く迄もなく、今こそその良き習慣を有効に使うべきでしょう。

 足繁く協業者を探して提携や連携を組む、近場の地域なら技術や職人そのものの共有も視野にいれないとならないかも知れません。

 

  そうでなくとも外の状態を知っていく若者世代が、可能性に引っ張られて出ていくのを見過ごすことはありません。

 彼らとて地元で成功出来ればそれに越したことはありませんから、たくさんの経験を地元を通してさせられれば、地域に有益な結果を期待できるでしょう。

 

 継承者を育てていくには、当事者がさらに一歩歩み寄り、積極性を感じさせられれば、興味を持ってもらえる地場産業はまだまだたくさんあると思えてなりません。

 いっそう自治体を巻き込んだ魅力づくりが、相手に届いてこそ本来の継承となることを、まず自分に問いかけ何度でも見直さないといけないのでしょう。