ウーバーに触発されて街で進化する市街移動サービス
2020年、日本にとって外国人観光客招致が劇的にかわると期待される年とされ、国を挙げて、そのおもてなし準備に余念がありません。その中で周りの移動サービスの今を考えます。
東京は、オリンピック会場都市のため、公共機関や広報・案内サービスの充実に相当力を入れていますし、その他地域の都市や筆者の住む名古屋市でも、観光客の増加を見込んで言葉の壁をなくす工夫や、効率の良い観光地巡りや、買い物をサポートする、さまざまな工夫が進められています。
その恩恵は、すでに現在でも国内市民に対しても、利便性の向上が起こっているようですので、その現状を移動サービスを主に見ていきたいと思います。
移動サービスの進化は、タクシーやバス、少し遅れますがリニア新幹線などで実現されるものですが、名古屋は自動車中心の都市づくりと言われる割に、駐車場確保が最もしにくい街だそうです。
実際、郊外を除いて都市部の駐車場事情は、地価高騰のおかげでまとまった駐車場の確保が困難で、大型ビルや広い道路・公園の地下駐車場がありますが、昔から現在に至るまで、大規模に増加した話は聞きませんし、イオンなどの大型スーパーが建設されても、それ以外の利用には限界があります。
具体的には、県外・海外からの訪問者で、知名度の高い名駅やそれ以西の伏見栄、繁華街の錦・広小路・新栄は、車で来ると駐車場探しにぐるぐるしばらく周りことになりますので、筆者でも公共機関か歩いて行った方が圧倒的に効率的と実感するほどです。
名古屋城や、徳川園などの歴史観光施設、県美術館や科学館など文化施設も充実していて、それぞれ駐車場もそれなりにあるのですが、近隣施設や買い物にくる人も併用するため、圧倒的に足りません。
それが分かっていても、物理的に増やすのが困難なのが現状、最近隙間空き地・休遊地にコインパーキングが点在していますが、一か所に止められる台数は数台・しかも狭くて街に慣れていない人には、使いづらいのが実情です。
ただ、名古屋を起点に自動車で郊外へ遠出を予定される観光者には、自家用車やレンタカー、カーシェアサービスはとても便利でしょう。
将来的には、地元トヨタ自動車が積極的に進める、次世代移動サービスに向けてより便利なサービスになると、期待されています。
しかしながら市内観光や買い物などでは、自家用車での名古屋観光は賢明でなく、地下鉄・市バス・タクシーを活用するほうが圧倒的に効率的でしょう。
ただ初めての観光者や名古屋に不慣れな訪問客にとって、それでも敷居が高いように感じるところをどう解決していけるかが、課題です。
例えば、東京ほどでないにしても地下鉄の利用は、乗り換えは容易でないし市バスは安くて慣れれば重宝しますが、市民の筆者でさえ路線の把握と行先の見極めは、結構苦労します。
今、各公共交通の駅やホームで、サインや案内表示の見直しを事象実験を含めさまざま取り組んでいますが、実用の域には達していません。名古屋駅や、いくつかのモデル駅では、今急ピッチでスムースな移動の可能な工夫が試されています。
名古屋市は初名古屋観光者向けに、また名古屋を効率よく観光したい訪問者向けに、メーグルと呼ばれる、東京でいうところのはとバスのようなバスが市内をめぐっていますので便利です。
市バスはそれに加えて安くて自由度が高いので、市民の足としての機能に加えて観光者向けの利便性を加えることができれば、交通量の整理ができる可能性があります。
単に観光利用者が増えただけでは、市民の足としての利便性を欠いてしまいますので、時間・曜日毎の便数を増やすなどの小規模の工夫を加えてダイヤを調整できないものでしょうか。
あと、市民の足として郊外型のデマンドバスの普及もトヨタ中心に進めてくれるとより、効率化を図りやすいかもしれません。
最も現実的なのは、餅屋は餅屋でタクシーなど土地勘のプロに任せるのが楽ではありますが、運賃もかさむし業界も厳しい状況に立たされていて今後の展開が気になるところですが、最も現実的な移動手段であるのは変わりありません。
その中でも、今ウーバーなどの新業態導入の動きが活発化されており、まだまだ変化が起こりそうです。
名鉄タクシーグループは22日、中部地方で初めて導入したトヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「ミライ」のタクシー2台の運行を始めた。
「環境に優しい」との触れ込みだが、燃料を補給できる水素ステーションはまだ少なく、遠距離利用には不向き。予約客中心で流しの営業はしないが、課題は多そうだ。
待機場所の名古屋駅近くの高層ビルで同日午前10時から出発式があり、関係者が拍手でミライタクシー2台を送り出した。すでに10件以上の予約が入ったという。最初の客となった中部運輸局の諏訪達郎自動車交通部長は「車内がすごく静か。
余談ですが、名古屋の某メジャータクシー会社には、幻の「金のタクシー」が走っています。運賃は変わらないですが、台数が殆ど無いので、偶然乗れればラッキーなタクシーです。(筆者も乗ったことはないです)乗ると記念のシリアルナンバー付きのカードがもらえるそうで、実に名古屋らしいサービスですね。
今後も競争原理や、近未来のタクシーサービスが構想されていますので、期待したいですね。
自動運転タクシー 2020年までに実用化へ | NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160520/k10010527761000.html
無人タクシーも夢じゃない? クルマ業界に技術革新の波:朝日新聞デジタル
郊外へ出たときは、道の駅という観光ポイントがありますが、この道の駅へのスムースな誘導は、各郊外観光地への道しるべですので、さらなる工夫やインフォメーションの充実が期待されます。
また、自動車道路の利用優遇制度も積極的に、自治体で見直しを進めてもらいたいことの一つです。
地方創生へ「道の駅」支援 : 最新ニュース : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20160329-OYS1T50019.html
最後に国外の事例の話題ですが、欧州やアメリカ主要都市の移動サービスは、世界に先行するかのように進化の一途を辿っていますので、大いににいいところは取り入れて見習うべきでしょう。
まだまだ時間があるとはいえ、こういった公共サービスの工夫は時間がいくらあっても足らないほど難易度の高いものですが、この未曽有の観光発展のチャンスを前に、各自治体が切磋琢磨を期待して、いい意味での競争意識を持って、向上してほしいです。