くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

アメリカ軍事予算を削減で牙を剥く経済大国の本気度。日本に吉か凶か?

 

 私達日本にとって親日アメリカ合衆国は、さまざまな恩恵こそ受ける国であったわけですが、近年リーマンショックなどデフレ要因から完全復活を遂げた勢いのアメリカは、国の威信をかけた攻勢を仕掛け始めています。

 

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 特にビッグスリーと呼ばれた自動車御三家の低迷から一旦は日本や欧州中国に水をあける事態にもなったためか、新たなジャンル、自動運転や次世代自動車での、本家を自負するだけに、新しい刺客を差し向けているのは皆さんもご存知の通りです。

 もっとも脅威なのは、電気自動車スペシャルカーのジャンルを定着させつつある米テスラモータース社と、IT産業から新たな市場を開く米Google社ですが、着々とその触手を伸ばし、日本が目論んでいる新しい自動車社会の構想を阻むものです。

 

 アメリカと日本は、戦後から追う追われる関係をいい形でつないできましたが、アメリカはかつての経済ショックから学んだ轍を踏むまいと、日本国内の市場争奪についてはなりふり構うそぶりはありません。

 良いものは売れる、この一点において日本は技術力だけでは勝ち残ることはできませんから、より車のデザインや交通システムの構築を目指す場合、今まで以上にグローバルな視点でのモノづくり、販売方法に変えていかなければ勝てなくなるでしょう。 

 

 テスラモータース社のイーロンマスクCEOは、かつて提携もしたトヨタ自動車へのコケおろしはハンパ無いモノです。

トヨタを嘲笑うテスラの強気 「水素社会など来ない」(一部抜粋)

 向かうところ敵なしのトヨタ自動車にかみついている相手がいる。電気自動車(EV)で急成長する米テスラモーターズの最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスクだ。狂気をも感じさせるスピードと規模で事業を拡大するマスクはトヨタなどが提唱する「水素社会」は来ないと断言する。

 「どうして自社以外の技術を攻撃して対立をあおる必要があるのか。水素社会はまだ始まったばかりで、判断は早計だ」――。昨年11月13日、米サンフランシスコでトヨタ自動車が開催した燃料電池車「ミライ」の試乗会登場した開発責任者の田中義和は困惑した表情を浮かべた。

 「フューエルセル(燃料電池)はフール(愚かな)セル」。「燃料電池はクソ」。「燃料電池は永遠のミライ技術」

 マスクは昨年来、言葉を選ばず燃料電池車を激しく攻撃し続けている。価格が高く、エネルギー効率が悪いというのが主たる理由だ。トヨタ社長の豊田章男とマスクが米パロアルトで和やかに握手したのは、2010年5月のこと。トヨタテスラに5000万ドル(当時約45億円)を出資し、新しいEVの共同開発を発表した。

 だがトヨタは2014年に一部株を売却。その後も目立った提携の進展はなく、テスラからトヨタの多目的スポーツ車(SUV)への蓄電池供給も終わり、両社の関係は冷めたものになっている。

 トヨタの田中は「我々はEVを否定しないし、様々なエネルギーが共存すればいい」と語る。ただ、米最大の人口を誇り、エコカーの最大市場のカリフォルニア州では、2017年モデルからトヨタの強みである従来型ハイブリッド車エコカーとしてみなされなくなる見通し。「ハイブリッドの次」となる次世代エコカーの拡販を急ぐ必要がある。

 マスクが作り出した「EV対燃料電池車」の議論の構図は、こうした絶妙のタイミングで仕掛けられた。影響力は大きい。識者やマスコミも同調し、米では燃料電池トヨタに対し悲観的な論調が目立つ。


 それもそうかも知れません。同社が推進しているロケット事業での開発がようやく成功して、NASAから引き継いでいる宇宙産業の目処が立とうとしている矢先断なのですから、当然でした。

今度はロケット、イーロン・マスクがまた革新!
スペースXの「ファルコン9」、ついに垂直着陸に成功

 

 アメリカ政府も、世界の番人とまで自負していた、軍事予算を削減を明言した事で浮いた予算を、国内産業振興の投資に転換したのは大きかったでしょう。

米国政府、自動運転車の開発へ約4700億円投入

テキサスの新幹線、住民からの反対はあるけれど実現させます

 自動車だけではなく、高速鉄道もアメリカ本国での新幹線敷設交渉も、はじめは十町の様に見えましたが、どうしてどうして、ライバル中国との競争にさらされたり、日本が主導権を握るにおいても、地元の土地確保の交渉が滞ったり、なにより新技術を使った超高速鉄道の開発をアメリカ自体が後押ししている事で、逆に他国で交渉するより難航する様相を呈しているようです。

 

 ただ、米でも何もかもが上手くいっているわけではなく、その課題においては日本だけでなく、それなりに出ているようです。

 完全自動運転の実現に黄色信号!
どうなるグーグルカー?運転手の要らないクルマの未来はまだ先か

 交通システム改革で、最も厄介な問題は法律と倫理の問題でしょう。現在のそれらが新交通システムが普及する足かせになりえるという事です、トヨタ自動車も地元愛知県内で、自動車のAIと信号制御との連携でより効率の良い走行をさせるシステムを実験中だそうですが、国内に存在する縦割り官庁管轄のために、法整備や管轄の見直しなどが大変だそうです。

 

  そんな、アメリカからの攻勢を世界のトヨタ自動車も方針を変えざるを得なくなったと見られます。

 同社はこれまで自動運転車開発方針には、

「ドライバーを必要としないような自動運転車は作らない」とニュースでも宣言していましたが、ここに来て。
「すべての人」に「移動の自由」を提供する。
ドライバーが運転したいときに運転を楽しめない車は作らない。
運転したくないとき、できないときは安心して車に任せることができる。
Mobility Teammate Conceptのもと、人と車が協調する自動運転を作る。

(下記記事抜粋)

トヨタの自動運転、知られざる開発方針転換

 と、宣言しています。
 つまり、人を直接介しなくても走る車を造ると、方針転換しているわけです。

 日本自動車界をリードする同社は、始めアメリカの提案する完全自動運転と真っ向から対抗していましたが、米の自動運転コンセプトの完成度に、反発するのは無謀だとはそう転換をしたと思われます。

 日本の自動車産業界は、下記の記事紹介にもあるように、それでもプロダクトのみの魅力・先進性で勝負していく姿勢は、変わっていないようです。

【オートモーティブワールド16】
次世代モビリティの開発拠点を目指す…いわて産業振興センター

 

 それはそれで菅らしいのでしょうが、敢えて申し上げるとまだ日本の発想は技術以外の完成度においては、アメリカのそれと比べて遅れを否めない状態です。
さらに、まだまだ世界にアピールするには抽象的で説得力に乏しいと言わざるを得ません。上の記事で自動車用電池売り込みのケースがそれを端的に表しています。

 

 マスク氏は新技術売り込んできた日本企業に、技術提案でなく完成品で売り込んでほしい、と言ったそうです。

 つまり、日本の優秀な技術は、これから完成品として売り込んで、現行製品と差替えられるまでの提案をしていかなければ、競争力を失いかねないという事です。

 

 国際競争に打ち勝つ製品にするためには、今以上に製造工程の短縮・部品調達コストの削減がシビアに要求されなければいけません。

 単に技術を売り込めば受け入れられる時代は終わるでしょう。それに代わってより明確な提案・販売力こそ、逆に日本の優秀な技術をアピールする結果につながるのではないでしょうか。