くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

まち・ひと・しごと創生、価値ある予算の分配を考える

 

  石破茂地方創生担当大臣が今年1月に打ち出した、地方版総合戦略としての施策について、まち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」と「総合戦略」が実施されて一年が経とうとしています。(2015~2019 年度の5か年)

 

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 ようやく先行資金を元手に、候補地域で掲げたモデル施策の実施結果は、まだ出ていないようですが、11月27日677自治体に236億円の交付金を配布すると発表されました。

http://www.asahi.com/articles/ASHBW5HXPHBWUTFK00T.html 

 

 創生支援の「総合戦略」は下記の通りですが、先行して各地域で目標を掲げて施策の実施を図るために、既に実施をされているようです。

①地域産業の競争力強化(業種横断的取組)
・包括的創業支援、中核企業支援、地域イノベーション推進、
対内直投促進、金融支援
②地域産業の競争力強化(分野別取組)
・サービス産業の付加価値向上、農林水産業の成長産業化、
観光、ローカル版クールジャパン、ふるさと名物、文化・芸術・
スポーツ
③地方への人材還流、地方での人材育成、雇用対策
・「地域しごと支援センター」の整備・稼働
・「プロフェッショナル人材センター」の稼働
① 地方移住の推進
・「全国移住促進センター」の開設、移住情報一元提供システム整備
・「地方居住推進国民会議」(地方居住(二地域居住を含む)推進)
・「日本版 CCRC※2」の検討、普及
②地方拠点強化、地方採用・就労拡大
・企業の地方拠点強化等
政府関係機関の地方移転
・遠隔勤務(サテライトオフィス、テレワーク)の促進
③地方大学等創生5か年戦略
「小さな拠点」の形成
:「小さな拠点」形成数
主な施策
①若者雇用対策の推進、正社員実現加速
②結婚・出産・子育て支援
・「子育て世代包括支援センター」の整備
・子ども・子育て支援の充実
・多子世帯支援、三世代同居・近居支援
③仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現(「働
き方改革」)
・育児休業の取得促進、長時間労働の抑制、企業の取組の支援等
定住自立圏の形成促進
:協定締結等圏域数 140
①「小さな拠点」(多世代交流・多機能型)の形成支援
②地方都市における経済・生活圏の形成(地域連携)
・都市のコンパクト化と周辺等のネットワーク形成
・「連携中枢都市圏」の形成、・定住自立圏の形成促進
③大都市圏における安心な暮らしの確保
④既存ストックのマネジメント強化

 この内、平成27年4月に内閣府 地方創生推進室が出した資料中、基礎交付分 取組事例集によると、地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)の対象となった東海地方例で紹介すると、

課題解決型図書館サービス推進事業
三重県 紀宝町(きほうちょう)>
小さな拠点
交付金:1,120千円

事業概要
○地域に新たなビジネスや雇用を創出し、高齢化や後継
者問題が深刻な農林水産業の新規就業や後継者育成を
図る拠点として、課題解決型の図書館サービスを提供
する。
○そのため、以下の取組を行う。
① 農業データベースである「ルーラル電子図書館
などを導入するとともに、ビジネス支援関連図書を設
置する。
② データベース活用講座やビジネス支援講座を開催
するとともに、新規就農等に係る相談窓口について町
役場内でのワンストップ化を推進する。

現代農業、農業技術体系、病害虫・雑草・鳥獣害、登録農薬情報
農業入門書、農作業ビデオ、日本の食生活集、食品加工

重要業績評価指標(KPI)
○データベース利用者数:80人
○ビジネス支援コーナー年間図書貸出冊数:300冊

地方版総合戦略に盛り込む予定の基本目標等

ポイント
○図書館の活用として、町外から紀宝町への若者の移
住・就労を促進するための知的情報インフラ拠点とし
て位置付けている。
○図書やデータベースの整備のみならず、その利活用を
支援する講座をあわせて実施することで、事業の効果
を高めている。

 

不妊治療休暇制度促進事業
三重県津市>
少子化対策
交付金:15,200千円

事業概要
○津市は県内で唯一、妊産婦に対する医療費助成制度を
導入しており、不妊治療費助成についても個人向け助
成制度を既に導入するなど出産・子育て支援政策の充
実に取り組んでいる。
○しかし、夫婦共働き世帯においては、不妊治療を受診
したくても休暇が取りにくいという現状があり、働く
人々が安心して不妊治療を受けるためには、不妊治療
休暇制度の整備が不可欠であり、その実現に向けて企
業の理解を求めつつ職場環境整備を進める必要がある。
○そのため、不妊治療休暇制度を新たに導入する中小企
業等に対して奨励金を支給することで、働きながらで
不妊治療を受診しやすい職場環境づくりを進める。
あわせて、広報番組等を通じて当該事業のPRや新た
不妊治療休暇制度を導入した企業を紹介することで、
制度導入の効果的な促進を図る。

重要業績評価指標(KPI)
不妊治療休暇制度を新たに導入した企業数:20件

地方版総合戦略に盛り込む予定の基本目標等

ポイント
よる経済的支援に加え、不妊治療休暇の取得促進とい
う職場環境整備を行うことで、不妊治療の普及・促進
を図っている。
○その取組を広報番組で紹介することにより、導入した
企業における不妊治療休暇制度の定着を促進している。

 あくまでも全国の各地方都市のサンプリングモデル施策の一部ですので、東海地方では三重県の2例になっていますが、どちの事例も生活する上で、その地域に重要なものであったり、図書運営の事例が前回紹介した図書館の新たな活用例として、可能性を持っていたり、子育ての問題に重要である不妊治療の対策に取り組むのは、少子化対策の行方をうらなう事例に他なりません。

 

 愛知県でも、政府の創生施策に準じて「総合戦略」を策定、基本方針をまとめ、来年度2016年度予算を決定して、独自の施策を積極的に進めようとしています。

 愛知県、地方創生で総合戦略策定

 愛知県は26日、2060年までを見据えた「人口ビジョン」と、今後5年の取り組み方針をまとめた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定した。

 愛知県、16年度予算で基本方針

 愛知県は26日、2016年度の予算編成について基本方針を各部局長らに通知した。国の補助金が付いた公共事業では県の支出を前年度に比べ10%節減するよう求めた。

愛知県、女性の活躍促進を議論 名古屋市で「サミット」 

 愛知県は26日、女性が活躍できる企業の環境づくりを議論する「あいち女性の活躍促進サミット」を名古屋市内で開いた。

 あくまで、当ブログは名古屋周辺の動きを中心に紹介するため、全国の動きまでは詳細に追えませんが、当然どの地域でも同様の方針を打ち出しているようです。

 いよいよ来年は、その「長期戦略」の2巡目になるわけですが、より具体的な施策の公開と予算配分の詳細が明らかになるでしょうから、引き続きも守っていく必要のあるものではありますが、全てが初モノの試みですので、まずは積極的な動きが見て取れるのは評価されてよいのではないでしょうか。

 大胆な成長戦略を国が推し進めるうちに、各自治体でのそれなりのリスクを見込んでの施策に積極的に取り組む必要があると思われます。