想像を超える空の市場変化に、発展担うMRJのゆくえ
三菱航空機は先月30日、ようやくジェット旅客機「MRJ」の初飛行を10月26~30日の間に行う発表をしましたが、正式な日時は、ギリギリまで出なさそうです。
10月初旬に、愛知県営名古屋空港(愛知県豊山町)で本番に向けて6月以来の走行試験を披露しましたが、さすがに今度ばかりは延期は許されません。
そのせいか、かなり慎重になりすぎているきらいがあって、逆に周りを不安視させている気も無くはありまぜん。
MRJは座席数が70~90人程度の短距離路線用で、これまでに国内外の航空会社6社から計407機を受注している。初飛行に成功すれば、来年春から量産を始め、2017年4~6月期に1号機を全日本空輸に納入する計画だ。
機構改革として航空機安全統括室に型式証明統括部を新設したことを発表した。
2015年10月01日
確かに、旅客機は多くの人命を預かる安全性第一の商品であるために、時間がかかるのは仕方ない面もありますが、それでもMRJの初号機の初飛行延期の間に、刻々と市場は次へのし烈な販売競争へと突入しているようです。
ライバルとして想定している、小型旅客機の市場は長い間数社の定番航空会社で、ほぼ安定している状態です。
米大手ボーイング社は、大企業病を抱えながらも対抗機をこの春に投入してきましたし、近い将来中国の航空機メーカーも勢力を拡大するでしょう。
新参の航空機としては異例の技術力と、日本ブランドの信頼性を武器に鳴り物入りしたものの、業界では有名なエアバス社のマーケティング力程、営業力が長けていると言う訳でもありません。
日本政府のシンクタンクは、空港システムを含めたいわゆるセット売りで、アジアを中心に新興国などへの売り込みを計画しているようですが、先ほどの高速鉄道売り込みで中国に敗退したのを見る通り、外交・政治力も力及ばずの可能性も出てきました。
MRJを製作する航空会社が、三菱系列という大企業なのも気になります。
上でも少し触れましたが、航空会社大手ボーイング社でも企業病を深刻に受け止め、体制改善を進めているそうです。
三菱航空機が果たして大企業病なのかは知るすべはありませんが、ここまでの経緯を見てくると、いくら安全・信頼性を優先する日本企業とは言え、市場競争のタイミングとしては、ギリギリまできている緊張感が伝わって来ないのは、良からぬ憶測が立たないことをいのるばかりです。
いずれにしても、航空機市場は先進国の人口減少と途上国の人口増加と言った動きに伴い、大口は勢いのある後者へ移りつつありますね。
当面日本がつかむべきは、近隣アジアの航空市場ですが、その勢いでイスラム中東などを視野に入れて、市場への影響力を高めなければなりません。
ここは、一航空機メーカーに留まる話ではありません、今以上に政府による死にもの狂いの売り込み政策を進めていかないと、見込めるものも絵に書いた餅になりかねません。