くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

料金値下げ話だけで納得する?発送電分離開始

 
  電気事業法改正案・政策の第2段階の「発送電分離」の2020年4月開始が共同通信より報道されました、その行きつくところはさて、是か非か。
 

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 これまでに、工場・設備などの企業に対しては、既に電力業者選択の自由化は実施されていましたが、いよいよ一般消費者までの拡張が現実になります。
 これによって最も私たちが期待するのは、公共電気料金に競争原理が持ち込まれることで、電気料金が下がる事ですよね。
 政府も「下がる」と言って法案を通しています。
 その通りなら、単に競争による値下がりするケースや、電力事業者の関連サービス(IT系等新規)とパッケージで下げるケースが想定されます。

 また、サービス開始直後は、世界のそれと比較しても元々相当高額だった日本の電気料金ですから、冷静に見れば下がって当然とも言えます。

 国内でも既に参入を検討する業界の反響も上々のようで、1月創刊の日経エネルギーNext誌(業界向け・購読料年9万円)に既に1000社以上の購読申込みがあるそうなので、今から相当の盛り上がりを見せるのでは?と期待も膨らみます。
 
 先にも書いた通り、元々高額な電気料金は当面値下がりは十分期待できます、これをさも「企業努力」で下げましたとすれば、利用者が納得するとふんでいるのかもしれませんね。

 百歩譲ってそれでもいいでしょう、下がるのは事実ならば……問題はその後です。
気になるのは経産省の資料では、自由化した諸外国の電気力金は値上げをしていると明記されていたそうで、それを承知で踏み切った意図とは何でしょうか。

 海外の前例で、電気料金自由化パイオニアのアメリカでは、10年前NY市ではブラックアウト(大停電)が発生した事例があります。
 これは、業者間競争が過激になった結果寡占状態になり、緊急時のインフラ選択ができなくなったために起こっています。
 電力料自由競争は、値下げ競争で疲弊した電力企業が、送配電設備・バックアップシステムの設備投資できなくなってしまう怖さを持っています。
 今までの様に「設備投資の目減り」を呼んで、安定供給が危ぶまれるのです。
 では、慎重さでは比較的日本に近い国はどうでしょう?
よく日本と比較されるドイツ、この国でも自由化をした後は、料金が値上げになった事は知られています。
 こちらは、恐らく日本がこれから進むであろう経緯に近いと思われますが、アメリカの様な競争原理優先した設備投資の不備対策をした結果、どうしても高額になる設備投資金額を、需要拡大だけでは吸収できなかったのでしょう。 
 
 また、単に喜べない幾つかの事情が考えられます。

 地方では需要が少なく競争原理が働かず、値下がりにつながらないと言う意見。
あと重要なのは「自由化」によって、新規参入する企業は海外企業も含まれる点。
あれ? と思うなかれ、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)には、電力事業も含まれるのです。
 つまり外資企業の参入を許して、例えば人件費の低さで低価格を狙う中国。アジア諸国や・ノウハウを持ったアメリカが参入すれば、競争力の無い日本企業は駆逐される可能性が高くなるのです。
  
 この可能性を裏付ける6月25日ニュースでは、急きょアメリカ議会で難航していたTPP法案が突然可決された事実です。
 
 これによって電力事業だけでなく、いよいよ日本も徐々に関連国間での貿易自由競争に晒されていくでしょう。
 なんか、かつてあれぼどバッシングを受けた「護送船団方式」が恋しくなって来るほど、日本は容赦ない経済戦争に投げ出されていくのです。
 
 そして、もう一つ重要な点は、発電手段の問題です。
真に求める発送電分離による電力値下げの達成は、クリーンエネルギー利用化を目指す上で、どこまで原発擁護するか、しないかの公平性の問題でもあります。
 
 
 
【経済Q&A】発送電分離 20年スタート 原発優遇なら改革逆行
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/economic_confe/list/CK2015061802000162.html

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