あいちトリエンナーレ:21世紀の”芸術復興”だで。
愛知県は、県庁所在地の名古屋市を中心に古く芸術には力を入れていた県です。
名古屋市には芸術創造センターも1983年(昭和58年)からありそれを象徴するように、芸術振興に大きく貢献してきました。
その他にも美術・芸術に関心の高い同市は、中区栄に愛知県美術館はもちろん、東区に以前にも紹介した徳川家の名宝を所蔵する徳川美術館、瑞穂区には名古屋市博物館を抱えるなど歴史面でも芸術に力が入っています。
そんな土地柄ですから名古屋市制100周年を記念して1989年(平成元年)には世界デザイン博覧会開催をきっかけに、名古屋市科学館のある白川公園敷地に名古屋市美術館を新設するなど、名古屋市は芸術と共存する都市を目指して地道に発展し、知名度を上げてきました。
そして、日本各地でも芸術を核にした地域振興の試みがされる中で、名古屋もその流れを敏感にくみ取って新しい試みを2010年に興しました。
それが、『あいちトリエンナーレ』という、全く新しい試みです。
名前にもあるように名古屋市だけでなく愛知県全体を芸術によってリードしようとするムーブメントです。
その骨子は、あいちトリエンナーレ2010プレス向けインフォメーションの抜粋によると、
◆都市とアートが響き合う、3年に一度の国際芸術祭。現代美術と舞台公演、世界の最先端が集結します。
2010年8月、新しいアートの動向を愛知から世界へと発信する国際芸術祭、「あいちトリエンナーレ」がいよいよ開幕を迎えました。
第一回となる今回は、「都市の祝祭 Arts and Cities」をテーマに、国内外 131 組のアーティスト・団体が参加し、現代美術、ダンスや演劇等のパフォーミング・アーツやオペラなどの世界最先端の現代アートをご紹介します。
作品の多くはここ愛知でしか見られない新作または日本初演で、美術館や劇場のみならずまちなかへも飛び出し、都市の日常風景の中に魅惑的な光景を出現させます。
まさに街を歩くほどに体感できるアートの力。
街がまるごとアート空間となるスリリングな都市の祝祭にぜひお出かけください
イベントは名古屋市中心の取り組みでしたが、当時名古屋市の街おこしと国際的な芸術都市としての位置づけをしめす格好の機会となりました。
そしてこの試みは見事定着し、先の案内にあるように三年に一度の総合的なイベントとしてその後も2013年に第二回が行われて、さらに世界中の最新の芸術運動を取り入れ無事成功の裡に幕を閉じました。
さて、今度は2016年に三回目を目指して着々とプロジェクトは進行していますし、その関連イベントとして、今年2月には「アーツ・チャレンジ2015」が催されました。
◆この催しは告知サイトによると、若手芸術家を対象に美術作品の企画募集を行い、将来、あいちトリエンナーレを始め、全国や世界で活躍する芸術家をここ愛知から生み出すことを目指し開催するものです。
全国、海外より御応募いただきました107組の中から厳しい選考に残った若手芸術家13組(12名1団体)が、愛知芸術文化センターのアートスペースやパブリックスペースである地下通路、展望回廊など、その空間の特徴を活かした作品を制作・展示します。
このように来年で三回目を迎える、21世紀の”芸術復興”という新しい芸術の春を、着実に育んでいるのです。
筆者は、このような都市に住むことができて本当に幸運です。