くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

女性の就業率向上は、愛知がかわれば全国もかわる、を考えてみる。

 

  実質上の就業可能人口では、その半分以上が女性と言われていても、実際の就業率は戦後から思うように向上していないと言われていて、今回はその現状に触れます。

 

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 最近どのTV局でもゴールデンタイムに、政治経済討論番組が目立ってきましたが、その一つの番組でコメンテーターが、タイトルの通り、

「女性就業率の増加は、保守愛知がかわれば、全国も意識がかわる」

と、女性有識者がのたまっていらっしゃいました。そんな名指しでむちゃくちゃな、と思いましたし、そこで愛知がプレッシャーかけられる意味が分からなかったです。

 仮にものの例えとしてとっても、そこまで敷居を高くされる根拠が曖昧ではありますが、しかしある意味そう比喩される心当たりはあるなとおもったもの事実です。

 

 女性を働きやすくするには、今ある様々な問題が残っていますが、例えば保育施設の拡充での待機児童数の実質ゼロ化は、よく言われる人口減少問題と根元がとても近いところにありますし、高齢者介護者の介護要員の充実と軽減化もそうです。

 その他には、一部大企業では改善されているような報道も出てはいますが、多くの中小企業などでは、女性の就業条件があまり改善されていない現状があげられます。

 

 まずは、子育て・介護にかかわる機会の多い女性が世界先進国の中でも日本は突出的に多く、子育て・介護問題を複雑にしています。

 名古屋は改善度としてはいい方だと言われているそうで、東京は全く足らない状態だそうですが、それでもさらに潜在的待機児童の話が沸き上がり、まるで全く解決されていないかのような空気は、自治体のモチベーションがダダ下がりな現状に、先の女性識者の言ったことの根拠が含まれていそうです。

 

 愛知県の女性就業率は、2011年には全国ワーストワンだったですが、5年で三分の一まで改善されている事実はまず評価されていいでしょう。

 ただ、女性労働可能者は全女性の36%いらっしゃるそうですが、そのうち働く意思のある女性は3割と少ないのも事実なのも否定できません。

 これは全国的にも多かれ少なかれい当てはまる女性意識と言えるでしょうが、東京を主に全国での女性就業意識が高まっているのに対し、愛知の女性は家庭に収まりたいと考える人が、どうしても地域的慣習から多いようで、全国的に見た女性キャリア志向の感覚よりは結構保守的のようです。

 

 愛知県は以前からも、筆者ブログで謳っているようにモノづくり製造業が盛んで、主に男性の就業の比率が多く、その環境も男性目線で構築された職場が大半を占めていて、女性の職場の選択肢は画一的で、女性が就業しにくい環境といわれても、やむなしな雰囲気はあります。

 女性で北海道や九州など遠隔地方から、東京から大阪までの大都市部への上京や就職が一般的であるのに対し、愛知県は地理・経済的に日本のほぼ真ん中にあるためか、上京といってもチョイ出くらいの意識しかなかったり、最悪Uターンして愛知に戻っても何とかそこそこ仕事があったので、どちらかというと大都市出向かず出不精になりやすい状況はあるでしょう。

 

 さらに女性においては、愛知は核家族化の進行が遅く、2世帯以上の家族が幅を利かせていて、家の世襲気質が強いのもあって、女性は家に収まり専業主婦になる、という意識が子どもの頃から染みついているケースが、全国のそれに比べて多いとも追われますので、女性自身の意識がそもそも独立意識が薄いのも、男性優位の職場改善の遅れにつながっているようです。

 

 ただ、それでも最近は製造現場で、今男性に代わって女性の就業者を増やす工夫がされているのだそうです。いったん働き出せが女性のほうが辛抱強いし、長く働く人が多いようで、特に製造業はごく一部大手を除き中小(零細)企業がほとんどで、体力も限りがあって、設備投資には困窮しながらも女性雇用に対応しようとしています。

 

 しかし、今までの愛知の就職常識が崩れているという懸念のほうが、まだ強いようですし、それでいまだに主たる意識が、転勤を嫌う女性意識が当たり前、転出してもまた愛知に戻って生活する、または家庭に収まるものだと信じて疑わず、今の全国感覚からして、ずれが顕著になっているという見解が、今回の問題の核心です。

 

 それでも今後も親が最悪食べさせてくれればまだ良いのだけれど、今までは可能だったものが、今どのくらいの家庭がそこまでゆとりがあるのか、未だに意識の低い人が少なくないのは、考えただけでもぞっとしますし、全国の意識と比較しても問題視すべきことです。

 こうした、男女含めた産業構造の改善を基本は、それに加え女性の就業参加意欲の向上の工夫を、今までにない未知の問題として、男性型タテ社会の仕組みのひずみが限界にきている現れです、女性型のヨコ社会の透明性の高い職場づくりへシフトしていけるかにもかかっています。

 

 こうした職場環境の急がれる改善がベースになって、男女の真の平等の意味での労働条件・福利厚生の標準化が見直されていきます。

 人間、生まれてから子供を生んで育てるだけが人生ではないにしても、それでももう少し子育てして生活しやすい環境は、改善の余地を持っていますし、先の識者の提案、

「女性就業率の増加は愛知が変われば、全国もかわる」

 という理屈も、ある程度統計的に見直されるに値するのかもしれませんし、そのくらいの意識を保守的な住民が持つことが、今の女性就業の難しさと共通点が多いようにも思いました。

 

 今後期待されるのは、職業復帰の機会を増やす企業体質改善や、女性も働いて稼いで、税金も納めて、その一方で男性も子育てにもっと積極的に加わる意識改善のバランスを意識したうえで、かなり強硬なほどの「夫婦の役割分担」という、子供時分からの刷り込みを一人ひとりが再考して、場合によっては強制的なルール化を、強いなければならないということです。

 

 ただ、愛知県にそれを強いるのはあくまで比喩であり、代表例としてわかりやすい事例ではあります。

 問題の核心は、以前の家庭や仕事の良き(かった)慣習が、これからの時代を担う男女にとっては、足かせにしかならない事実はあって、国内のこういった慣習を保守ほど強硬に考え直す危機感を持つべきなのは、間違いなさそうです。