くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

住民の足、タクシー・路電・バスの採算性と利便性のバランスは?

 

 市民の足として、また今後見込めるであろう観光の足としての期待が高まる公共の移送手段として名古屋市では、LRTや基幹バスを市内・外で走らせていますが、その利便性などの声ついて記事ります。

 

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観光化を兼ねた、利便性の高い交通網

 

 国土交通省サイトではLRTについて先行して実用化に踏み切った富山県富山市の事例をもとに、「魅力ある都市と地域の再生」として、LRT導入を契機とした道路空間の再構築や、トランジットモールの導入などにより、中心市街地の活性化や、都市と地域の魅力の向上が期待されます。

 とうたっています。 

 先日放送のWBS特集では、北海道札幌市と栃木県宇都宮市の事例をもとに、その課題を指摘していましたが、バリアフリーの公共機関として関心が高まるLRTは便利ではあるようですが、便利だけでは運用が困難な課題も出ているようです。

 北海道札幌市の例では、42年ぶりに29億円かけて路面電車延長。市の中心地すすきのの回りをループ化を実施したそうです。またそのLRTも2年前から順次バリアフリー化、直接歩道から乗り降りできる乗降性を高めているとの事。

 利用者については、25000人/年と、前年度より3000人程増えたそうです。

 札幌市の事例は朝夕通勤だけでなく、昼間の利用も比較的多い事や、観光地化の促進も兼ねて、市民・観光客の足としてりようされている特徴があるようです。

 

 一方栃木県宇都宮市の事例では、大手自動車企業手配の通勤バスを走らせる現状を紹介し、渋滞緩和の声高くバスでは解決できないと判断した同市は、工業団地と宇都宮駅を結ぶLRT(次世代型路面電車)来年度着工予定との事です。

 同市は、458億予算で国の税金で229億園負担となるが、市は2年で黒字化できるとし、ネットワーク・コンパクトシティがキモだと分析する。

 しかしこちらは日中利用者は殆ど無くコスパは下がるとし、地方部は既に自家用車を使っているため利便性や赤字化が利用者の間でも懸念する意見をどう理解を得るかが課題の様子。

 

 地方としては、ある程度人口が多く利用が見込める市街でのLRTなどの大規模交通網の誘致は熱望されることは、仕方のない事なのかもしれませんが、2014年の統計では、下記の様に赤字と黒字路線の明暗が既に実例として挙がっており、その中での初参加の宇都宮市の事例は注目を集めるかもしれません。

 

路面電車事業概要(出典:数字で見る鉄道2014)

赤字路線

札幌市交通局函館市企業局東京都交通局豊橋鉄道阪堺電鉄軌道(大阪)、富山ライトレール万葉線(高岡市)、福井鉄道、京阪電機鉄道(大津市)、京福電気鉄道(京都市)、熊本市交通局

黒字路線

東京急行電鉄富山地方鉄道岡山電気軌道広島電鉄土佐電気鉄道(高知市)、伊予鉄道(松山市)、長崎電気軌道鹿児島市交通局

 

 日本でもっとも人口(潜在利用者)の多い東京都でさえも、運営の仕方次第で赤字/黒字の明暗が出ている事から、単に市民交通の足としてだけでは、運営は成り立たない可能性が高いとも言えるでしょうか。

 

 またWBSでは、タクシーでの事象実験の紹介をしています。

 65歳以上の事故件数の増加が深刻になるとし、1990年から2010年10万件超えから2014年迄横ばいを示すグラフを紹介していますが、これを受けて福岡市でカードを見せるだけで、1か月2万8000円でタクシー乗り放題の事象実験を始めているそうです。

 自宅、病院、スーパーを回るのに月平均2万8000円~6万4000円かかるとして、40000円/月かかっていたユーザーの事例によって、体験取材を通して新たな可能性を探っています。

 この事象実験は、旅行会社大手JTBと福岡市のタクシー会社と提携で実現。同社は今年4月からでも本格導入したい考えを示していました。

 あとググってみると、絶対数は少ないですが意外に、路面バスの便数増加で渋滞緩和と利便性が向上したという話題が、思った以上にあったのは良い意味で意外で、まだまだバスの利用方法を精査する余地を匂わせます。

 

 LRT以外の選択では、上記のようにタクシーの新しい連携を模索したり、既存のバスレーンを改善して利便性を高めるなどの、低予算で最大効果を上げる試みも積極的に行われている点は、大変評価されると考えます。

 今後、高齢者人口は増加を示しますが、やがてまた現象していくのが予想されますので、人口の多い都市部では大規模交通網整備での採算性も期待できますが、人口減少が判っている地域では、後者の様ような既存サービスでの工夫を余儀なくされます。

 

 長い目で市民の足として定着し、評価を得るには、採算性が軸となる地域の需要に合わせた方法を早くから、事象実施して確かめなければならないでしょう。

 自家用車所有者と、公共機関しか手段を持たない住民との区分を可能な限り明確にした上で、絶対必要数を元に、観光・商工業含めトータルで、収益性の出る仕組みがお止められます。

 また、これだけの事象の結果・統計、問題・課題が揃い出している今こそ、それらを生かした地域単位での利用者の声と地元交通企業との、ベストな採算性を官民総出で探ることが、公的利益の出やすい交通網づくりには不可欠と思わせられます。