くろま流 × NAGOYA式 ブログ

東海・名古屋からまちおこしヒント探し始めて、結局国際経済のしくみに行きついた

企業と大学が知財活用する時代、雇用者の知財活用も見直しを

 

 今国内の人口減少に伴う人材不足の深刻さを埋める努力が、官民合わせて勧められていますが、企業と公立大学の知的資産を生かす共同開発から、個人の眠れる才能を生かした起業まで、知的財産での二毛作に注目してみます。

 

f:id:kromaryu:20160108220432j:plain

 

 企業と大学との知的財産共有や、活用は政府が仲立ちするようになって、ようやく認知度が出だしたといった感触ですが、最も効率の良い研究技術・特許資産の活用は意外とスムーズではないようです。

 企業側はノウハウの漏えいを警戒し、大学側は公金を使い研究開発した成果を、売買・利益を上げることをはばかられてきました。

 以前紹介したトヨタ自動車名古屋大学のように、自動運転システムの開発でタッグを組んでいるように、大学は今や国公立の大学でもその研究資産を活用する動きをはじめ、民間企業との商業的な提携を積極的にアピールしだしていますし、その後押しを政府も積極的に大学側・企業側に呼びかけているようです。

 大学の研究成果を社会に生かすためのステップ-5 - 文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/06081622/002.pdf

 

 日本の大学の研究成果が、うまく利益に繫がらない現状に政府が打出すこの施策は、実を結んでいるのでしょうか。

 東京大学石川正俊教授は、そのコーディネーター的な役割を早くからになって来られたようです。

 今回も、カメラで人の動きを読み取るゼスチャーコントロール技術(1秒間に100コマを読み取る速さの技術)の商品化に企業とタッグを組んで実用化を進めているそうです。

 この開発で石川教授は、大学教授とチーフテクノロジーオフィサーの2足のわらじを履いて、二毛作をしていることになります。

 政府のうたう一億総活躍のポイントは、石川教授のように持ちうる才能を複数の場で活用する事が知的資産の有効活用ということでしょうか。

 海外では一般化するこの手法は、日本ではまだまだ明確な成果が出ているとは言いにくい段階ではあるようです、今年1年が注目の年になるかも知れません。

 

 大学教授のようなインテリジェンスに限らず、私たちも自己の持つノウハウを持ちながら、一つの仕事に縛られるのは、時間など物理的制約がなければ活用するに越したことはありません。

 では、個人資産の二毛作はどうかと考えると、企業は一部に社員の個人知財活用を奨励している例は散見されますが、日本の多くの企業は正規・非正規社員の、副業さえ認めていないことが多いようです。

 この中で、旧来の企業側の副業規制は既に時代に合わなくなっていると言えますし、個人レベルでも個人知財・副業での二毛作・三毛作を行うのは、今以上の市場活性化を期待するのには、自然の流れといっても良いでしょう。

 
 表面的な資格奨励やそのインセンティブのメリットが、終身雇用が保障されにくくなっている現状では、優秀な人材を引き留めることは難しくなっているようです。

だからといって、企業側は単に副業を認めたのでは個人知財の流出を招くだけで、ここはその知財を企業に有効に役立てる社内の仕組みを作る方が建設的かもしれません。

 企業と雇用者のに義理立ての関係は、かつての日本では普通でしたが、さまざまな変化によってその恩恵は小さくなっており、個人事業主としての顔と企業雇用者との二足・三足のわらじを履く準備を始める時期なのかもしれませんしまた、企業側も正規はともかく少なくとも非正規社員への副業の拘束は、廃止すべき時期に入っているのではないでしょうか。

 必要最低限の雇用賃金を舗装されない以上、副業禁止する説得力は無くなりつつありこのまま、企業がわの時代にそぐわない就業規則と、雇用者がわの雇用条件とのかい離が大きくなると、いくら法的拘束を主張しても、双方の関係は悪化してしまい、有効な人材活用とはほど遠くなるでしょう。

 この流れは、企業が雇用者を養うという日本従来の考えかたから、雇用者が企業を構成しているという考え方に移行している事を意味します。

 このようなマルチキャリアを目指す自由選択が、スタンダードとなる傾向をみなさんは、どうお感じになるでしょうか。

 今回は、政府の働きかけについては触れていませんが、政府にも課題はあると思いますが、まずは、企業と大学のWinーWinの関係、企業と雇用者との同様の雇用関係になるように、関係者は企業・大学・個人が持つ貴重な人材と知財を、それぞれが最大限生かすためにも、柔軟性や多様性を意識した行動を求められると思われます。